「あたしね、手をつなぐのが好きなの。だって、何かあたしたちは、ラブラブなんですーって、言っているみたいで」 「いや、俺はだめですね。なんか、人前で手をつなぐだの、肩組むだの、いちゃいちゃは嫌いです」 「あたしも嫌いだよ。いちゃいちゃは。けど、手をつないで歩くのは好き。うちのだんな、手をつなぐのだめな人間だから、なんだかなーって感じなんだー」
「ねー、振られた事ある?」 「ありますよ」 「泣いたりした?」 「いや、正直無いですね。ていうか、友達で女に降られて大泣きして三日三晩飲んだくれたやつとかいましたけど、俺的には考えられないです。一人の女に振られてそこまで?みたいな感覚です」 「だよね!!」
これって、あたしたちがただのバイト同士の関係だったときにした会話。
今じゃ、どうだか。ねぇ。
あいつは、変わった。あたしも、変わった。
あいつは、今じゃ手をつないで、顔をさわって、髪を触りながら人前を歩く。
あたしは、振られたら泣くだろうし、やきもちも焼くようになった。
そして、最近こんな会話も。
「もし、りりかさんに振られたら、てか、何かあって俺のせいでとかで別れたとしても、俺は泣きますね。しかも、1週間は引きこもって飲みまくりますね」 「あれ?でも、前にそんなことするやつの気持ちが分からないとか言って無かった??」 「いやー!今では痛いほど、分かりすぎますねぇ!」
今は笑いながら話しているこの会話も。 いずれは、泣きながら思い出すのかな。あたしたち、お互いに。
だから。 それまでは、手をつないで、二人で歩こう。 先が見えない道を、二人で今はつくって行こう。 その道をどちらかが、またはお互いが、面倒になったりして、作るのをやめたくなったとき。
手を離せばいいよね。
|