あたろーの日記
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2007年06月17日(日) じたばたの日々でもデトックス。

 旧暦5月3日。
 
 すっかり週末更新の日記。申し訳ないです。
 今週の目標は、平日にちょっとでも更新すること。
 他の課の担当で、3ヶ月で退職する派遣社員さんの引き継ぎに来ていた新しい派遣社員さんが、昼休みに誰にも告げずに突然退社、その後音沙汰なし、というとってもレアでハードな状況の職場です。そんでもって、四半期決算だし、というわけで、しばらく掛け持ち状態の私です。ははは。そういうの、大好き。いや、強がりじゃなくて。楽しむしかないじゃないですか、そういう場合は。文句言ったって始まらない。課せられた仕事頑張って、四半期決算、なんとか綺麗な数字出せるといいなと思います。どうせ働くなら、楽しまなきゃ損。あたふたしながらも毎日笑顔で乗り切りたい。

 そんなわけで怒濤の日々、連日深夜残業になっちゃってますが、ほんとは6月、残業減るだろうと踏んで、自宅近くのスタジオで催される落語会の予約を平日に入れちゃってるんですよね。その日だけはなんとしてでも定時退社するぞ!
 
 と、前置きは終わりで、昨日の土曜は、ちゃっかり落語会に出掛けてきました。千代田区にある昌平幼稚園の付属施設である昌平童夢館で行われた「昌平童夢寄席」。
 会場は50人ほどかな?お客さんはほとんど地元の方々です。「童夢寄席」、数ヶ月に1回の割合(不定期のようです)で開かれているとのこと。隣席のおばさんに訊いたら、チラシが回ってきて、木戸銭の500円玉握りしめて、じゃあ行ってこよ、となるんですって。いいなあ、そういうの。落語はそういう庶民のためのもの。8500円もの高額チケットを苦労して入手しなければ聴くことができないなんて、もはや落語とは言えない。だって落語に出て来る登場人物は、ほとんどがその日その日をかつかつ暮らしてる八っつぁん熊さんだもの。・・・おっと、話が逸れました。最近ちょっと疑問に思っていたことをつい・・・。

 で、昌平童夢寄席です。まさに、庶民の暮らしの一部にある落語会という感じ。
 今までこの落語会にどなたがいらしたのか分からないのですが、今回は、津軽三味線の若手落語家2人が加わった元九郎一座、という趣でした。

 柳家さん若さん:千早ふる
 太田家元九郎さん:三味線漫談
 柳家初花さん:寝床(素人義太夫)
 仲入り
 ふたたび太田家元九郎さん:今度は三味線をじっくり

 しょっぱなは初花さんじゃなくて、さん若さん。
 「千早ふる」。物知り顔のご隠居さんのところに、娘から百人一首の業平の歌の解釈を訊かれて困っている男が駆け込んで教えを乞うが、実は、ご隠居さんだってなあんにも知らない。が、素直に知らないと言えずに知ったかぶりをして破茶滅茶な物語を作り上げ、歌の解釈とする。この出鱈目物語に、ご隠居さんのある種の才能を感じさせるところがこれまた妙に面白い噺。
 さん若さんの「千早ふる」は、ご隠居さんがいよいよ歌の解釈を語り出す前の場面にも力を入れていて、結構引っ張っていた。自分より学のある娘に問われて追いつめられて慌てている男のせっかちな物言いと、実は自分も知らないということを隠しつつなんとかその場を切り抜けたいご隠居の苦し紛れのもったいぶった喋り。そのやりとりを、人物の心情を表現しつつ笑わせる方向に持っていく技量はなかなかのものだと思いました。寄席で何度も聴く噺でも、こういう風に噺家さんが自分の工夫を入れてくれると、嬉しい。その噺を、噺家さんが自分のものとしてるかどうかが、ここで別れてくるような気がする。でもそれは、結局は稽古量にかかってくるのかも。基本がきっちりできてからの話だから・・・。
 と、素人が生意気な事書いていますが、ご勘弁を。
 あとでさん若さんと少し立ち話をする機会があったのですが、ちゃんと噺の感想を言うのをしそびれました。反省。
 相変わらず、基本しっかり、稽古みっちり、その上に元々素質があるのでしょうか、登場人物それぞれを、表情や声色を巧みに使い分けて演じている。まさに、いずれは・・・、と期待させるところ大の、逸材だと思う。

 元九郎さん、「なぁんてったって、ニッポン代表だかららねぇ〜」の台詞で思い出す、寄席でお馴染みの三味線漫談の方。三味線で「コンドルは飛んでいく」のトレモロは呆気にとられるほど巧いし、ベンチャーズ「パイプライン」はノーキー・エドワーズ氏にも聴かせたい位だし(競演見てみたいなぁ)。出身地青森の郷土話を盛り込んでからの和讃、今回特別披露のようで、ちょっと得した気分。やはり、民謡をされるだけあって、声に張りがあって、聴き応えあります。この「和讃」、庶民にも親しみやすく仏教の教えを歌にしたもので、聴いていると心が穏やかになるので私は結構好きです。グレゴリアン・チャントなんかもよく聴いているのですが、両者かなり通じるものがありますね。それから、「木遣り歌」など、祝いの席や祭で歌われる歌も好きです。言葉が大切にされ、言霊が人の声によって空気中に立ち現れるような、聴いている側の魂にまで触れてくるような、そういう歌なんですよね。。。
 ありゃ、話がどんどんずれていく。・・・というわけで、元九郎さんの「和讃」、間近で(最前列にいたので)聴くことが出来、良かったです。
 「津軽じょんから節」。寄席ではいつも途中で「禁じられた遊び」に切り替わってしまう。今回も最初のご登場ではそうだったのですが、なあんてったって、今日は二席だからね、2回目はじょんからをじっくり聴かせてくださり、満足満足。津軽三味線の音は、佐渡島の鬼太鼓の音とともに、最も好きな日本の音です。そばで聴くことが出来てほんとに幸せでした。
 
 初花さんの「寝床」。なんだかちょっと駆け足だったかなーと。うまく客席を笑わせてくれるのですが、みんなが逃げ出す旦那の義太夫の恐ろしさが、今ひとつ伝わってこなかったかな?という感じがしました。義太夫を聴きに来る筈の長屋の面々や、ついには店の者まで何かと言い訳を作って逃げまくる、それを矢面に立って旦那に言い訳する番頭さんの、落ち着き払った演技&あたふた必死&追いつめられて・・・という流れの中に、旦那の義太夫語りの恐ろしさが沸々とこちらにも伝わってくる、それから最後は状況が一転して、みんなが義太夫の会に来るのだけれど、旦那の語りとみんなの攻防戦が、噺家さんのアクションも交えて面白可笑しく繰り広げられる、というのがこの噺の魅力であるような気がするのですが、うーん、初花さん、ちょっと何か、足りませんでした。素人が生意気書いて申し訳ないのですが・・・。でも、次回に期待。上手な噺家さんであることは確かです。

 そういえば、先日職場仲間と飲んだとき、私がストレス溜めてるだろうから、言いたいこと吐き出してデトックスしろ、デトックスしろ、と皆言ってくれたのですが、私の場合、落語を聴くことがデトックスになってるのかもしれません。
 落語はデトックス効果大!ですよ〜。

 
 


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