マラリアで心臓を撃たれてのた打ち回り、アフリカと同じ熱さに脳の中を掻き乱されて意識を混濁し、永遠に苦しみ、狂うがいい。お前のための音楽がやがて鳴り出す。狂うがいい。やがて音楽は幻聴ではなく本当に止まなくなる。鼓膜を金具で突き破っても、だ。 白いサハラが脳を呼んでいる。かろうじて意識はその砂漠を読んでいる。高熱で眼球は朦朧とする。階段が永遠に続いているような不穏さに怖くなって大きな声でお前は泣くだろう。その鳴き声につられてより多くのハマダラカが飛んでくる。マラリアはもっと感染する。 救われる道は断たれた。狂うがいい。お前はもうエイフェックスツインを聴くことは出来ない。ただ蚊の羽音と、脳髄が焼ける音と、髄液がマラリア原虫によってぐずぐずと吸われる音だけを聴きながら生きている。それらの音の恐怖から逃れ、唯一の希望を手にするために、お前は砂漠がサラサラと涼やかな音色で砂を流す音を耳にしたがるだろう。手にした希望を聴覚に宿すために脳は真剣に、幻聴を現実に換えようとする。 真っ白な砂漠に、理性を失い、そして、狂うがいい。 |
writer*マー | |
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