『何がどう変わったのかを、何処を基準にして見れば良いかが、まず解らないんだ。 何処も似たり寄ったりだし、今ここ、が、何処なのかが、少なくとも僕には不明だ。・・・戦争でも起きない限りは、社会や時代の明確な変化点を意識するのは、難しい』 『新たなビートが主旋律に加わり、突発的に擦りが入る。キョッ、キュッという空気を切り裂く音がする。 だがそれ自体が、曲を一気に破壊するのではない。曲は規則的にビートをまた、配列通りに刻む。 新しい転調が割って入って、何か全く新しい曲が始まるのかも知れないという予兆を、フロアの人間に伝える・・・』 『しかし、新しい音も、突発的に入れられた空隙も、バリバリと鳴る爆音も、永遠とも思える鉄のパターンを今まで以上に美しく見せるための働きをする。 パターンの反復が、規則的に、極めて正確に打ち出されてゆく。そして規則がはっきりと、明確であればあるほど、何故か気持ちが良い。意識をパターンの中に、トランスさせて、酩酊できる』 『カタストロフィーのような強い攻撃音、長いワープ、落とし込み。それらも、鉄のパターンに上乗せされるための音源に過ぎない。もしくは、規則的に連綿と打たれる旋律を場に、劇的に登場させるための準備だ』 『鉄のパターンが存在している。人々はその打ち込みの中に意識を突っ込んで、色んな微細な変化を感じ取り、快感を得る。 パターンの内部では目まぐるしく、半音上がったり、新たなハイスピードのビートが寄り添い、また別れて消えたりする』 『それは快感だ。 人の神経に過剰適応しているんじゃないかと思えるぐらい』 『現状を曲に例えてしまった。よく解らない話になってしまったね。僕にも殆どの事が整理の外にある。整理できるのは財布の中身や机の上ぐらいだ』 『電信柱にステッカーを貼り歩き、下りたガレージシャッターにロゴをマークしても、何かが変わったとか、何かを掴めたとは実感出来そうもない』 『こうしている間にも新しい命が生まれたりしているだろう。彼らにはどんな音楽を伝えればいいのだろうか。今の僕には思い付かない』 『絶望という言葉は、僕は好きではない。それを使えば、僕は全てに傷付き疲れ果ててしまいました、という意思表示をしてしまうから』 『思考停止、諦念の表明。それは危険なことだと思っている。何故なら、死んだも同然だからだ』 『国内で昨日、もしくは一昨日、どこかで規模の大小に関わらず、暴動や封鎖、爆撃の類は起きていただろうか。 僕はそういった知らせをここ数ヶ月ずっと、どのメディアからも聞くことが無かった』 『こんなことを"成人向け"な"日記"ジャンルで言ってるのは、ちょっと不必要だとは、僕も知っている。 この"エンピツ"という日記場に必要なのは、もっとみんなが、無条件に楽しめる内容。僕は僕自身の言葉の中に、陥り過ぎている』 『そう、ここで誉められるべき内容とは。まずは恋愛だろう。恋人や、愛人、2、3番目の恋人について。 若しくは、相手にとって使い捨ての端役に過ぎない扱いながらも、相手のことを好きになってしまった、己の、悲劇の身の上・・・。』 『状況はミニマルな急速展開を多発して、一大進化を次々に遂げたかのように見える。が、どうだろう。アイモード以降の携帯電話が人々の関係性を一変させたのは事実だ。 いつでもどこでもスイッチ一つで繋がっていられる関係を手にして、僕等は確かに20年前の連中とは別物になっただろう』 『だが、・・・寂しい奴や、不安な奴等の人数が、20年前と比べて、激減したとも、激増したとも、思えない』 『状況は一様に、同じだ。誰もが、恋人を3,4人引き連れていても、婚約者がいたとしても、寂しさは変わらず襲い続けているようだ』 『仲のいい友人が5人は居ても、ある夜いきなり手首を切ってしまう。 やらなきゃいけない事が目の前に山積していて、それを成し遂げれば確実に成功すると、解っていながら、指一本も動かなかったり、 思わずその指で、錠剤や粉末を口にしてしまう』 『一日24時間なんて、あって無いようなものだ。何だか僕は、怖くて、ここからどうすれば、 完璧に逸脱出来るのか、 そればかりを、考えている・・・』 |
writer*マー | |
★↓729参加・総合リンク↓★
☆テキスト・アート☆
☆☆ダークゾーン☆☆