ユウキドラッグ729 私は19の冬に従姉妹の姉に会った。 彼女は、私に似ていた。 自分自身に似た異性を 私は初めて見た。 まるで自分を女にしたような、 彼女はもう一人の自分のような。 女性として生まれ変わりたいと思った。 女性として私を求めたいと思った。 私は私しか愛せないとその時感じた。 私は永遠に自分のもう一つの可能性に対して 執着し続けて生きるだろう・・・その予感を 感じざるを得なかった。 ここにいる私は永遠に幻のようなもので、 不安定なフィクションに思える。 ここにいる私は具体的な、魅力を持たず、 私としての、資格も力も、持っていないように思える。 何が揃えば愛せるに足るのか。 姉貴を見ていてもそれは解らない。 姉貴は綺麗だった。 話し掛けられないほど惚れていた。 だが姉貴に・・・姉に人並みの想いがあったのではない。 私は気付いていた。 私は私の可能性を姉に投射して 気が狂いそうなエクスタシーを沸き立たせていた、 私にとっての最も魅力的な、自画像のモデルだ。 私自身が魅力に感じる私、は、私の中には無い。 それはいつも、永遠の異性として、限りなく外にある。 ・・・私は私と言う異性と一つになるためにこんな、 こんなに気持ちのよくないことをずっとし続けている、 そんな気持ちで今は、一杯だ。 到底辿り着くことの無い相手に向かって私は 歩き続けて歩み寄ろうとしている・・・それは、 路上に映し出された己の影のようなものだ、 だが私は影とこの身とを一つにしなくては、ならない、 どうすればいいのか自分では、判らない。 |
writer*マー | |
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