告白。ただ、どうしようもない、告白。

2003年03月02日(日)

起きて居間に下りると、母が朝ご飯を作ってくれる。
それがいつもの朝の始まり。

その日、居間には一人暮らしで家にいないはずの姉がいた。
母と姉、二人の声は、とても慌ただしい感じがする。

階段を下りてきた私に、姉は興奮した面持ちで話し掛けてきた。

大学2年に上がる為に何日も、それこそ何十日も掛けて作成したレポートがあった。
とある先生に、「これを提出すれば2年になれる」と言われて、その言葉の通りに姉は頑張って作ったレポートがあった。
(私は知らなかったんだけれど、姉は一人暮らしの時にも大学を休学していた時期があったらしい。レポート作成はその分を取り返す為の物だったとか。)

だけど、そのレポートを提出したのに姉は2年に上がれないと言われた。

姉にレポート提出を言った先生の勘違いだったそうで、その先生は泣きながら姉に謝ったそうだ。

…泣きながら謝られた姉の気持ちはどこにぶつけたらいい?
先制で泣かれた姉は、きっとさして感情を荒げる事もできずに許したんだろう。
泣くなんて卑怯だ。本当に泣きたいのが誰かを考えれば、涙なんて流せないはずだ。
泣いている人を慰めるのは、本当に泣きたい人だったなんて質の悪い喜劇のよう。
この時、姉は自分の感情を出せなかったんだろう。
そして、内に向かった感情は、行き場をなくして爆発したんだろう。


姉はこの大学のレポートの話を早口でぺらぺらと捲し立ててきた。

「今私すごい早口やろ?
 ちょっとおかしいねん。自分でも分かる。」

うん、おかしい。
こんな姉は初めてみる。

母が私に
「今日ちょっと朝ご飯作られへんから自分で食べて。」
と言った。
私は姉のこの状態と、母の慌てている様子がよくわかったので、
「うん。」
と言った。

普通でしょう?
慌てている母を止めて、無理に朝ご飯を作れ!なんて言う方がおかしい。
特に取り立てていうまでもない、普通の行動でしょう。
だけど姉は、私に言った。

「深海がこんな良い子になってくれて私は嬉しい!
 ほんまに嬉しい!」

途中から感極まって涙まで流しながら言った。



なんなの、この人。


また、姉が遠ざかる。
信じられないくらい遠ざかる。

また、姉が怖くなる。
信じられないくらい怖くなる。



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