バロンは僕の手を引いてこの夢から逃げ出そうと、走った。 なぜならば、 世界は安定を求めているそうだ。 存在を選ばれ、キャンセルされる不安定要素。 通称、僕。
走り去る中、思い出せない母の顔。 もし僕に母がいるならば五回愛して、六回殺す。そのうち二回は絞殺。 しかし、そんなことはない。僕に母はいない。つまり、思い出せるはずがない。
崩れ去る楽園の花畑には赤く染まった死体が倒れていて、 誇らしげに笑う彼を足蹴に、赤い赤い花を踏み潰したり、 僕はとにかく必死だったのだろう。
逃げ惑う僕、バロンは消えた。 僕を追う影、姿の見えない恐怖。 笑うのは誰か。幸せなのは誰か。 嘆くのは誰か。不幸なのは誰か。
存在を消され過去に葬り去られる、そんな恐怖。 ならば、僕は一秒でも過去を刻み、生きていく。 そうすることで、バロンに、彼に償えるんだと思う。
*あとがき 未完成
|