| 2005年02月01日(火) |
少女の描いたキャンパス |
消えかけたキャンパスに色を重ねて、 薄れた色を鮮やかにしていく筆は、 きっと僕ではなく君の右手だ。
僕は誰だ、とその答えを一番知っている自分が他人に尋ねるのはおかしい、 それなのにたずねてしまうような不思議な絵。 自分が書いた絵を上から色を重ね塗りする右手は、 僕の存在意義と証明を鮮やかに消し飛ばした。
広く広がる青空と少女の絵は、僕の描いたそれよりも鮮明で、 僕しか知らない風景のはずなのに、薄れた記憶の色よりも鮮やかに蘇る。
過去、何度もこの風景を忘れまい、と描いてきた絵は、 僕の記憶を補助するための絵でしかなかった。 故に、その少女の悲しみを知らなかった。
その少女が描く絵は、僕の目線から自分を描く不思議な絵で、 僕は誰なんだ、と尋ねた時、答えは、君は君さ、と模範解答を得た。
そのキャンパスの色が薄れることは二度となかった。
*あとがき
少女が誰なのか、それが一番の謎。 実在する少女なのは確か。と主人公が思っているのは、幻だったのか。
少女と空を見た主人公はその風景をひどく気に入り、絵に残した。 けれども、その絵は道具でしかなく、少女が何を思い何を見ているのかなぞ考えてもいなかった、それゆえ記憶は薄れていった。
しかし、少女自身の手で再現される絵から主人公は知って、二度とその色は薄れなかった。
意味ワカラン。
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