アルは昨日の日向の腕の中で
もう
別れない
って思ってしまった。
だって別れる理由がないもん。
どんな建前を言った所で 本当は別れたくないんだもん
日向も。
だったら、別れる事ないって 思ってしまった。
日向はそうは思ってなかったみたいだけど。
日向は自分の持つ価値観や
自分の生活環境や
長女であるが故の
家族に対する責任感や
そういった物に縛られて
自分の望むとおりに行動する事が出来ずにいたから。
だからどんなにアルと付き合いたいと思っても
そういった物が許さないから
付き合えないって思ってた。
日向はよくアルに
アルは愛されてる子だ
って言ってた。
神様に祝福されている子だ
って。
我侭かもしれないけど
でも
私を好きな人なら
私を大事に思ってくれる人なら
私が望む事を反対するはずないって
信じてる。
私も同じように私の周りの人々に
そう思っているから。
その人が望む事が出来る事は
幸せだから
出来る限りの事はしてあげたいと思う。
その辺りが
日向とアルの違いかな。
でも兎に角
アルは日向と別れないって思って
昨日までのブルーはどこへやら
日向に甘えまくり。
素敵な日向にちょっと照れつつ
日向のリクエストの観覧車へ。
なんで観覧車だったのかな。。。
何かの時に話してたんだ。
二人で観覧車とか乗りたいねって。
デートってそんな感じだねって。
あ。
そうか。
アルはもうこの時別れないつもりだったけど
日向は最後のつもりだったんだ。
それで、観覧車は絶対乗りたいって言ったんだ・・・。
そっか。
日向はずっと切ないまんまだったんだ。
気づかなくてごめんね。
アルは改めてデート気分で
そういうのあんまり無かったから
デートっていう雰囲気に呑まれて
ドキドキしっぱなしで
観覧車に乗っても
ジェットコースターに乗っても
変な感じの緊張したまんまで
普通に楽しめなかった。(笑)
それから
アルの母親の母校とか見に行ったり
雰囲気の素敵な小さな喫茶店でお茶したり。
クリスマスにデコレートされた横浜を歩きながら
あっという間に時間は過ぎて。
港の見える丘公園に着いた頃は
すっかり日が沈んでた。
きらきら光る夜景を見ながら
切ない顔をする日向を
愛しく抱きしめるアルを
日向は抱きしめてくれた。
なんだか複雑な表情で
アルをぎゅって抱きしめる日向。
私はのほほんと
抱きしめてもらえる幸せに浸っていて
その時の日向の葛藤に気づいておらず
腕の中で幸せを満喫していた
けど
日向はずっと切ない葛藤を続けていた。
そして
日中は人目を気にして
スキンシップをさけてた日向が
日が落ちて
全てが影に隠されてしまえば
アルを抱きしめずにはいられないって
言った。
アルが愛しいと言ってくれた
私は昨日のキスで
分かってたから
今更何言ってんの
別れられるわけないって
思って
でも
日向がそう言ってくれるの嬉しくて
うん。
って言った。
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