★KINPEI★
◎ □心の奥にあるもの ◎

ホテルについて
部屋に入ると
二人っきりの時間


本当だったら
何でもない会話しながら

でも
だんだん距離が縮まって

ちょっとしたきっかけで

ちぅしたり

ぎゅってしたりして

そして離れられなくなっちゃうんだけど

今日はそういうのなしだから

友達だから
って私は勝手に言い聞かせてて



折角日向が
キスしようとしてくれてるのに

逃げて

そして
明日が終わってしまったら
さよならだっていう現実を
受け入れたくなくて

でも

もう

友達として
今日過ごしてきて

今更やだって言えなくて


ただただ

もう

戻れないんだって事が

悲しくて


日向は
私が好きじゃないんだ

恋人でいるより
友達でいたいんだ

その方が日向はいいんだって


日向の望みは
友達になる事なんだ

それを叶えてあげることが
私に出来る唯一の事なんだって


日向が心から
私と友達に戻る事を望んでる

だから
その望みを叶えよう

そう思わなければ
日向と別れる事なんてできない


でも

でも

悲しい

外にいて何かすることがあれば

笑っていられる

だけど、こうして二人の時間になって

何も出来ない事が

これから先、ずっとずっとこうである事が

悲しくて悲しくて

涙が止まらなくなってしまった



なんでこんなに泣けるんだろうって思うくらい

涙は止まらない


本当は日向の胸で泣きたい

でも

出来ない


日向は今日まではって思ってるから
私を慰めようとしてくれる

私はその腕から逃げて
ただひたすら
涙をこぼしてる


キスしようとしてくれる

首を振る

しないで。

もう友達に戻るから

しないで。


そう言ったら日向は困った顔して
でも軽く頭をなでてくれて
でも近づきすぎない
微妙な距離を取ってくれた


日向だって
泣きたいよね
泣きたいくらい
胸が痛かったはず


どれくらい
そうしていたんだろう

解決を見ない状況が嫌いな日向は
私がいつまでも泣き止まないから


ねる?


って聞いてきた。

うん。


一緒に寝る?


うん。

一緒に寝たい

いい?


いいよ。

一緒に寝よう



一緒のふとんに入って
日向の腕の中に包まれて

日向はキスしようとしてくれた

私はそれまでと一緒で
逃げた。


私の望みは
この腕の中で寝る事

それ以上は望まない


それ以上もらったら
私は友達になんてなれない

折角の決意は脆く崩れ去る


だから

友達になるなら

キスはしないで


言葉に出来ないまま

しないよって

首を振って

キスを拒否する


それまで日向は
私が友達として過ごそうとしているのを感じれば
手も繋いだりしないし
必要以上にくっついたりしないし

キスも逃げれば
それ以上追ってこなかった


だから
そういうの望んでるのは私で
日向はそれを叶えてくれようとしてただけなんだ
って

いつもしたかったのは私で
日向がしたかったんじゃないんだって
少しずつ実感していった


私が望まなければ
日向はしなかったんだ

日向は優しいから
私の願いを叶えてくれてたんだ

だから
これ以上
望んじゃいけない

もう終わり


望まない

望まない

望まない



そう思って
日向の腕の中で
我慢してた



でも日向は

キスしようとしてくる


そりゃ
あれだけ泣いてれば
泣き止ませたくなるよね

キスされたら

私は
泣けない

悲しいなんて感情
どこかに行ってしまう


日向が愛しくて
そして
愛しい人にキスされる
喜びで

悲しいなんて感情
すぐにどこかに吹き飛んでしまう



それはほんの一瞬

でも
私はその喜びにつかまって
ふりだしへ戻ってしまう


もう一度拒否されて

悲しい思いをいっぱいして

心を傷つけて

そして

もう愛されてないって
自覚する

その道のりを
もう一度歩まなくてならない


だから

逃げた



でも
それでもキスしてくれようとする日向に

私が最初に思った
あれ。

骨折したときの
ボルト。

そんな一時期的に支えられたら
後がもっと痛いよって
分かってるのに

そうやって慰めてくれようとしてる
日向を拒む事ができなくて

だって、拒めば拒むほど
日向も傷つける


だから

日向のキスに慰めてもらおうって


そしたら もう一回 初めから

傷つきなおさなくちゃならないけど

でも
私はこの人が好きだから


泣く私を
慰められたという事が
この人を慰めるなら
それもいいかって
思ってしまって


結局

キスしてしまった


そしたら
日向が分かった

日向の必死の心が分かった

どれくらい
日向が私を好きか

分かった



日向の理性は
別れる事を望んでいる

常識と倫理観をもった日向は
これが間違った事だと認識してる


だけど

だけど

本当の日向は

もし

そんな常識なんてものがなければ
世間の目なんてものがなければ

本当は
私を愛したいって事が


人目がなければ
こうして二人だけの空間にいるなら
抱きしめずにはいられないくらい
私を好きなんだって事が

私が望もうと望まなかろうと
日向は私を抱きしめたいんだって

分かった


キスされて

キスをして

それが分かった



なんだ

日向は私が好きなんじゃん

なんだ
なんだ
なんだ

すっごくすっごく
私を好きなんじゃん

そう思ったら

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   − 2000年12月05日(火) −             next

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