ぼくはとべるって とべるって とべるって とべるって とべるって るって って っ て っ て 、 +++++ のこされた ちいさな て は しわをつけずに かみをにぎりつぶそうとするようにまるめられ そのとき ぼくは くしゃり というおとをきいた。 +++++ ひどく場違いなバースデイ・ケーキの 縁のクリームだけを食べつくして ケーキをその場に融和させたのは わたしのおじいさんの英雄譚。 +++++ さびしいなんていってはいけない、 くしゃみをしてはいけない、 たいくつだからってようふくかけにぶらさがってはいけない、 どしゃぶりをわすれてはいけない、 こどもべやのかべにうちゅうをよんではいけない、 ピエロが来るよ。
こころのかべをこわそうとしたら あのこ さいぼうにかべをつくって しょくぶつになってしまった +++++ ドリーム 、 不在する、 イ の存在。 +++++ ぼくは昔、 リ の発音が苦手だった。 リリー、という発音がどうしても出来なくて リギー、リギー、 と言っていた。 左の奥歯で発音していたせいだった。 +++++ 犬の眼に塗ったマニキュアがどうしても剥がれない 二度塗りなんてするんじゃなかった +++++ ヒューズ 、 ウ の不在、 チーター、 双子の イ の不在。 +++++ 霧吹きを買ってきた あの娘に水をやるために けれどもあの娘はもう 夕立と契約して 雨を手に入れてしまったんだ +++++ ケープ。 不在する、幻の エ 。 絵のなかで 娘は蔦を伸ばしてゆく、 その先端は奇蹟のようなものへ触れようとしている +++++ ねえ リギー、 わたしは一晩で百合の花束を枯らしてしまったよ。
ぼくは溶解する と 決める。 ひだまりに触れると、 ぼくは溶解する。 さあ、外へ出よう。 +++++ サンダルは揃えておいてあったのに、 どうも履き心地が悪かったのは ぼくの足が左右入れ替わっていたせいだった。 夜中にこそこそ入れ替わっているのは知っていたが、 昨夜は元の位置に戻るのを忘れてしまったらしい。 最近は腕までやたらと真似したがって、 いつのまにか入れ替わっていることがある。 おかげで恋人と指きりしたつもりが いっしょうけんめい指相撲をしていた。 +++++ きみのすかーと、 ぱらしゅーとになって ぼくを地上に運んでくれ! +++++ 犬の鼻だけが唯一の水分だった。 渇望の沙漠、 わたしは犬の鼻に頬を寄せて 目をつむる。 しっとりとした闇、 わたしはくにのことをおもう。 +++++ きみの水色のすかーと、 かさになれ! どしゃぶりの日の、 ぼくの、きわめて個人的な青空。 +++++ 溶解したぼくをかきあつめて (少しくらい別のがまじったっていい) びんに詰めて はちみつ代わりに使ってください。 ただしお皿を綺麗になめないと 海が汚染されるか もったいないおばけが出ます。(もしくはぼくの復活) *****
敷居に吊られた生乾きの作業服がいっせいに踊りだす、 ぼくは工場へ戻らなくてはならない。 +++++ チューイン・ガムの化石を見つけた、と 興奮して走ってきたヤスユキくんに ノブヒコくんは 「それ、ぼくの父さんの骨だよ」 と冷たく言った。 +++++ 手首を回転させて ヘリコプターを発明しよう。 今日は、地上から離れるのにもってこいの日だ。 +++++ 大きく振った、バットの内部に 水色の女性が見えたのは錯覚だろうか? +++++ 同じかたちをした工場が一帯に並んでいて ぼくはしばらく見まわしていたのだが、やがて どの煙突から入っても同じ部屋にたどりつくことを思いだし ぼくはいちばん近くの手すりにとびついた。 +++++ (ここでものすごい夢を見たための空白) (なんてとろけそうで、くどくどとした夢だったのだろう!) +++++ 水色の女性がこちらを見て必死で口を動かしている。 大きく目を見開いている。 けれどもわたしは彼女を錯覚と認めてしまったのだ。 *****
かもめ という発音のどれかに 海が隠れている と聞いて ぼくは昨夜から かもめ とくりかえし呟いている +++++ とうめいまにきゅあをはがしたつめは とうめい をすっかりわすれてしまった +++++ 真夜中に襲ってきたブーメランの大群は、 そのひとつひとつは小さかったせいで 余計に耳障りな羽音をたてて、 わたしは布団をかぶって耐えていた。 明け方頃にブーメランは元来た方向へ帰っていったのだが、 その時にわたしの姉がブーメランに飛び乗って そのまま群れと一緒に行ってしまった。 彼女が敵国の王子と恋に落ちていたことを わたしは初めて知った。 +++++ かもめ とくりかえしているうちに ぼくはどこかで言いまちがえたことに気がついた。 その時、波音が近づいてきた。
きせつふうにあおられたかいぶつは ちいさなこまのもんすたーにぶんれつして はげしくまわりはじめた。 +++++ わたしはとろけていったりしないんだけど、 ゆうかいというほうほうはしっていて、 どちらにしてもあなたのからだは そらよりもやわらかい。 +++++ もうとんだりしないで。 そう言って彼女はどこへも通じないバルコニーへ出た。 +++++ 季節風をのみこんだ、 喉は大海へ繋がっている、 宝の地図は幾度もめくれあがって ぼくたちを招いている。
はじけだす よ、 わたし。 +++++ 織り姫! 輝きなど必要ない、 ただよぞらがせりあがってくる、 わたしは 帳 という音を手でつかむ。 +++++ 粘土に目を作らなくちゃ、 彼は棒のようなものを探しに教室を出ていく、 ドアの閉まる音はしない、 いつのまにか参観日がはじまっている、 僕の父はどこへ行ってしまったのだろう? +++++ なきごえのひとつごとに ことりがころされてゆくのだよ。 あめがあがる、 こまかいはねがまいちる、 めをとじていてもはだをかすめていく。 +++++ ねえ、 空がとても近い。
わたしのヘリコプターが飛んでいく。 プロペラ、 その回転に目をまわすニンゲン続出、 わたしは彼等を とても優しいフィールド と呼んだ。 +++++ 割れた硝子で 子供たちはモザイクを作りはじめる。 「何を作っているの?」 「ドラゴン・キッドさ、」と子供たちは答える。 「彼にはもうスカイが無いことを証明するのさ」 「スカイは少し前に盗まれてしまった」 +++++ ちきゅうぎのきょくせんにそって わたしはからだをそらした +++++ 最後に残ったのは二枚貝の殻だった、と彼はうめいた。 殻は帰り際に海に投げた。けれども、 なんてことだ、ぼくは殻のちょうつがいに生えていた羽毛を見逃していたんだよ!
わたし の てのひら 、 すべて というなのものにむけて。
今日の午後、雨が降りだしたので 僕の犬の両目に透明なマニキュアを塗っていた。 +++++ 天井に階段がある、 いちばんうえから電気の紐が二本垂れているのが見える? それをひっぱれば どうしてかなしみなのかわかるよ。 +++++ とても大きなバットを振れ! 遠心力で世界を変える! +++++ 今夜は月が出てないのに、 犬は濡れた瞳で僕を見あげる。 やがて、その眼球はひびわれてゆく。
彼女の部屋のベランダからは、 幾度も約束を破った王子のための 無数のロープが垂れさがっている。 +++++ 晴れ。 虚しいほどの、晴れ。 まるで世界がここで終わっているような、 +++++ 今日もまた、小鳥の共喰いがはじまった。 わたしはどちらの小鳥に味方するべきか、 それぞれの正義や輝きを比較しながら考えた。 その間中、啼きごえは絶えなかったのだが、 気がつくとやわらかな羽根が宙を舞っていて、 わたしは両腕を広げた。 +++++ この世界がここで終わっているとしたら、 わたしは髪を燃やして 夕焼けになろう。
ようやく牛乳の呪縛から解かれた子供たちは 迷宮森から脱出するために走りだした。 +++++ はんとうめいになってとけてもいい、 さかなのめだまになってしまってもいい、 あなたのもうまくとわたしのもうまくがかさなるならば。 +++++ 教室の後ろに並んだチューイン・ガムの彫刻を見て気がついた、 一つ、 鋭く犬歯の痕が残っている。 このクラスに、犬が混じっている。 +++++ 義務とガムって似てるね、と彼は口をもぐもぐやりながら云った。 +++++ 僕たちは日々魔法を使いながら生きている、 それがめったに禁断の魔法でないから気がつかないだけのことだ。 +++++ わたしはかつてスチュワーデスだったということを昨日思いだした。 自分の記憶にだまされたのに気づいたのは、今日になってからだった。 おめでとう、エイプリル・フール。
わたしは奇跡を起こすために じゅうたんを織ろうと思った。 +++++ かみかけのチューイン・ガムしか与えられなかった者の悲劇、 彫刻に残った歯型の深さがそれを示している、 +++++ 地下鉄にはできるだけ遠くまで乗るのが良い。 +++++ ペパーミントにたどりつく前に、 映画ははじまり じゅうたんは一国を燃やし わたしは奇跡を起こした。
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