はじけてゆく泡の色 指のあいだを埋める サイダー・ピジョン、 耳をつぶすほどの鳴き声で いつまでも はじけだす +++++ ぼくは地図のよみかたを知らない。 空中によんのじを、限りなく描く。 +++++ とても透明で、 ぼくのめだまはなくなってしまったのかと思うよ。 さかなまで 透けてゆくんだ、 この位置では。
かくざとうのそらに さざなみはしろくうちよせる そのばしょにのこるあしあとを ぼくはひとつずつふみつぶしてゆく +++++ 犬はもう笑わなくなった。 横たわる頭、よだれが地面に地図を描いている。 しかし (ステイ) それよりも (ステイ) 死んだ犬の声ばかりが響いているのだ。 響いている? ちがう、ひびいっている。 +++++ この空はぼくだけのものだから、 リュックのなかにしまっておいてもいいんだ。
犬は音をたてずにチューイン・ガムを噛みながら ぐるりとわたしを見渡した。 「ちくしょう」 と犬は思った。 「ふすまの味しかしねえ」 わたしはおそるおそる床下の生き物のことを尋ねる。 犬はとつぜん唸りだす。 「あれは俺のもんだ」 わたしは後ずさる。 「もとは俺の埋めた骨だ。手を出すんじゃねえ」 +++++ つくりものの輝き、 ジャンプを続けていれば いつか空にも触れよう +++++ 父親参観の日、 ずらりと並んだチューイン・ガムの彫刻を見て あのひとは泣いた。
ニュース・ペーパー で つくった 家。 庭で吠える イトムカデ、 床下で 誰か 縛られているよ、 わたしは屋根裏の彼から物語を聞く。 +++++ グルーヴ、の ヴ、の発音が好き。 ヴ ではなく ヴ。ではなく ヴ、 +++++ 十字架の角度が少し歪んでる、 彼はその隙間に棲んでるんだ、って。 +++++ とても賢いあなたはにこやかな顔で手品のように縄を取りだす。 そしてもう一度念入りにチョコレイト・ムースを縛りなおす。 わたしたちは震えながらその様子を見ている。 彼はやがてその茶色い物体を床下に埋めに行く、 冷たい夜気が入ってくる。 ムースの重心からミントの茎は脱出する、 闇のなかを心許なく、街道を飛んでゆく。 +++++ 「ムースを解放するためのヒントはブルドッグだ」と彼は云う。 それよりも、わたし、庭への行きかたがわからない。
つくしの花束で告白された ぼくはふかくふかくふかくちゃいろのフードをかぶって 脱げなくなった ぼくを摘むな! ぼくを食べるな! +++++ でっかい蛇口がぼくを監視している 定期的になめつける +++++ はしめてふれたては とてもやわらかなよんほんゆびで のはらにさいていたら いちばんにつんであげよう とちかった
って、屋根から転がりながらいうなよ って、泣きながら、わたし、 笑ってた。 +++++ かびんがしずかにふたつにわれていくんだよ。 あなたはそのあいだに いっしょうけんめいはさまろうとしてる。 まにあわない、よ あなたのて、 そんなにのびないもの。 せめて、はげしくうちあわせて、 かわりにおとをだしてあげて。 +++++ とてもきれいなはなだね。 さくらっていうの。 +++++ もやすと、とてもいいかおりだよ。 +++++ やきいもやさんが ぼくをうらぎらないように、 ぼくは やたいをすなばにうめた。 +++++ ぼく、われたかった。 われたかったんだ。
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