再生するタワゴトver.5
りばいぶ



 『段ボール箱の宇宙'13』パンフ掲載文。

演出の戯言

演じるってなんなんだろうねえ、人間てなんなんだろうねえ
そんなことを問い続けながら、今日という日を迎える。
現代劇だろうが、翻訳物だろうが、古典だろうが悲劇だろうが喜劇だろうが舞台は俳優同士の心の交流、エネルギーの交換があって成立する。

俳優の仕事って、極論すれば自分の、自分たちの想像力を駆使し、その上で、結果観て下さるお客さんに想像を渡す仕事だ。
だから感情はなくちゃダメだし、感情だけでもダメだ。
まずは自分の経験なり、読んだり見たり聞いたりしたことから作品を、役を考えることになるわけだが、
人を造作するって一筋縄にゆくわけはないし、自分の尺度だけでわからない事から目を背けていては、人物の奥行を理解しきることなどできるはずもないし、想像が巡らせられても、今度はその表現力が試される。そのために、作品世界の理解力、身体性、言葉の発し方など『技術』とゆうものが必要とされてくる。
仮説を立て、それを稽古で試し壊し、自分をさらし、積み上げ、また壊し、その現場ならではの真説を見つけていく。
難しいことを簡単に見せて、簡単なことをすごく奥行きのあるものに感じさせてこその芸術(私が言ってるわけじゃない)。その事を担ってゆく彼ら。

人物、事象を様々な角度から眺め検証してみること想像すること、具現化すること。
全ては翻って自分自身を高めることに基礎があるー

実に皮肉と悪戯心に満ちたこの作品。
どうぞ最後までこの演者たちとの右往左往、お楽しみください。
はてさて、その先に垣間見える人間の本質みたいなものがあぶり出されてきますかどうか…


藤井ごう




2013年07月31日(水)



 七月ももう終わる。。。

中間発表『段ボール箱の宇宙』、
二ヶ月費やして、ダブルなので、各二回ずつの公演、
彼らなりの今できる精一杯以上を少し見て、
さぁて、修了公演の演目何にしよっかなあ…なんて思っている。
でも今は、そんなことに脳みそを寄せている場合ではなく、ありがたいことにドンドンと次作が近づいてくる。。。
だるま座は久々スペースBeに稽古場移動、仮組して稽古できる。

その後の話は、心は収まらないが何はともあれ話し合って、条件出してやることにして、もっと先の話は、次の具合で決めようと思っている。
対応グレーなままでは、いや。
しかし怒るのも、だが、
怒り続けるのも、輪をかけてエネルギーのいるものだ。
ムダなことのよで、
なんか、六月の中旬からこっち、怒りが動力で走り続けているのかもしれない(漠)(笑)

『段ボール箱〜』は同じ空間で七年ぶり?
いろいろ引っかかる場所とか、自分の変化とか、生徒の変化とか、改めて感じることの多かった時間。結構、こうゆう場所で同じ演目をやり続けていたりするのに否定派な私だったけれど、寝かせて時間取るのは悪くない…と思ってみたり


2013年07月30日(火)



 風物詩的な?

例年の養成所の中間発表シーズンです。

スターダス・21俳優クラス中間発表
『段ボール箱の宇宙'13』
構成・演出:藤井ごう
7/29・30
会場:スターダス・21アトリエ
開演:15時30分
18時30分
全席自由(無料)
東京都板橋区小茂根4丁目18−16

お時間ある方は覗いてみてください。


2013年07月26日(金)



 あれやこれや。

さてもさても
稽古の日々。

方や周りをグングンと音のするように動かして行く(動いてもらう)稽古。
久々、ワークショップ的な要素にもじっくり時間をかけて、一番いい状態で稽古を重ねて行く。
奇を衒うつもりは全くないけれども、今まで通りではないモノづくりにしてもらおうと思っている。
諸事情でまだキャスティングの詳細まで決まっていない中での見切り発車部分もありながら、
いいリアクション、アクションをつくってくれているので、
こちらも回転の緩むことのないまま進んでいる。
楽しんで創る、今回はこれ。(ま、いつもそうか…⬅いずれ苦しくなるのも)
中心から放射状に伝わって行くのも稽古場の一つの形なら、
周りから中心を促していけるのも稽古場だと思う。
いつも肝に命じることだけれども、
僕の仕事の中心は、
俳優さんに一番いい状態で本番の舞台に乗ってもらうこと。
そうゆうことやあれやこれやを鑑みながら、
ゆっくりと、でも確実に歩を進めてみる。

腰以外、こちらも元気。
お盆以降のことは、未だ見えず。
なぞ言っている今日は、だるま座公演一月前である。

2013年07月14日(日)



 8月情報。

 8月公演
劇団だるま座本公演
「笑って死んでくれ」

作:相馬杜宇 
演出:藤井ごう(R-vive)     

2013.8/14(水)〜18(日)
at  座・高円寺1 
ticket 
前売・当日4000円 高校生以下3500円 サポータークラブ3400円


心から笑えないために成仏出来ない「浮遊者」と、
笑われることに飢えている「芸人」の霊が集う
“寄席場”。
笑いを巡る七転八倒のうちに、
芸人が人生のうちで最もウケたという
戦地慰問の話になっていき……。


   公演日程
14(水) 19:00
15(木) 19:00
16(金) 14:00★
17(土) 14:00
18(日) 14:00

★8月16日はアフタートークあり。(アフタートークあり:相馬杜宇+剣持直明、ゲスト:鈴木聡+嶽本あゆ美)


本城さん七月に続き出演…
円の青山さん、
だるま座 剣持さん、塚本さんを筆頭に大勢出演!
とにかく楽しく、が、モットー?

                                                     

2013年07月12日(金)



 次々。。。

余韻に浸る間もなく、次々と現場は始まっている。
なんだかんだと言われつつ、太平洋食堂の全体評価高さは費やした時間分だけの勇気と圧倒的な感想を貰うし、キャスティングの妙と言葉を替えて言ってもらうよに、キャストの魅力と作家さんとその劇団と周囲の人たち支えられた公演だった。
でも、激烈に怒っていたりする部分はまた別の集団さんとの戦いになっていくのだな…
はて、こちらの真意を汲み取ってもらえるかの信頼すら既にこちらにはなく、こじれるは必至。あ〜くだらない、との思いもありつつ、
ハンパな思いの仕事も思いつきももういらぬ。(ここに載せておかないと、ナアナアになる危惧…)さんざかお世話になりましたけれど。その節節はありがとうございました。としか言えないじゃないか。。。僕は勝手ですが、一番の味方と思っていましたが、残念。。。
ま、余計なことは新しく考える作品には関係がない。


まずは両方やりつつ、まずは末にある養成所中間発表。
皆、座・高円寺で続く八月の話の心配ばかりだが、
それは、養成所がテキトーってこと?

僕としては、どちらも演劇を初めて見る人がいるかもしれない、とゆう意味では同じ責任。

稽古場は伊達でない状況をまず。

かたや商業でない芝居、だけどNG当たり前の価値観の現場で、どこまでモノゴトを追求してつくれるのか、とか色んな事を模索しつつ、
こちらはお盆時期とゆう集客大変な設定ながら、主旋律でない人々がイカに重要なポジションにあるかを日々研鑽しながら造っていけるか。。。

ようやく三週間ばかし続いた杖生活を終え、
養成所の『やってみせ』で苦しむのである(笑)



2013年07月10日(水)



 『太平洋食堂』パンフ掲載文。

演出の戯言 

あなたは今の世界をどう見ていますかー
本稽古が始まるこの五月に、和歌山県新宮市にある墓の前で問いかけた。

過去の革命は少数偉人の手により為されたりといえども将来の革命は多数凡人の自覚によって行わるべしー
自分は決してストライキそのものを善い事だとは云えぬ。併し悪いものを悪いと主張する元気や、嫌なことを嫌だと言いぬく自由の精神は最も尊重すべきものではないか、こういう元気と精神を青年の頭から取り去ることは即ち、青年を屠ることと同じであるー
今から百年以上前、こんなことを書き記した人物がいる。

大石ドクトルこと、大石誠之助である。劇中、大星誠之助、大星ドクトル。
大逆罪という汚名をきせられた人物の一人。
その発想の豊かさ、自由さ、奔放さ。そして人間らしい身勝手さ。
この人物に惚れこんだ嶽本さんの筆圧は強く、物語は紡がれていく。

もちろん、これはそこに材をとったフィクションである。
明治後期という時代のうねりに右往左往しながら、煌く生きていた人物たちのイキイキとした『現在』が舞台上にあるよう、
稽古場にて、俳優さん、スタッフさんたちとの対話を重ねながら、
今の日本の問題はこの時代に目をつぶったことの多くから未だあるのではないか、なんて思っている(その後二つの大戦を通り過ぎるのだが)。
チェーホフのようでありブレヒトのようでもあり、大衆演劇的(?)でもあるこの嶽本戯曲フルコース。正に一つのテーブルに寄り集まって、最善を探る日々である。

あなたには『今』がどう映っていますか?

ふと思う。この事件に連座した一人一人、またその友人知人にいたるまでどれほどの物語が蓋されてきたことだろうー

本日はご来場いただきありがとうございます。
最後までごゆっくりご覧ください。


藤井ごう

2013年07月08日(月)



 総括しとく。。。

まあ、色んなことはあるし、
色んな意見もあったけれど、
概ね(相対多数の。当日券の出方もすごかった)『太平洋食堂』は評価を受けたようで、
兎に角、作家でありつつも、この実現の為に走り回り、財布の紐を解き、かつ、書き直しも続けた嶽本さんのアツサがこの結果を生んだのだよなと思う。
嶽本さんがもっともっと注目される人になる一助になれていればいい。
[売れたら、返してね(笑)]

全身全霊でバックアップくれた人々、
名前だけで商売に転化した集団、
真摯に作品世界、稽古場に向き合った方々、
向き合ったつもりで別方向を向いていた人たち、様々いながらも、
全てはマンパワーの結集にてあった結果である。
それは良き作品を生み出す為の素晴らしき
誰が欠けてもこの『太平洋食堂』の成り立ちはあり得なかった。感謝。

中盤からの僕自身のオブラートゼロの物言い(汗)、イロイロ裏ストーリーみたいなものを舞台上に展開させながら、
とはいえ、やはり、舞台は俳優さんのものであることを、痛感させてもらえたし、
こだわり続けた変化が、舞台上でおきた(楽日だから、そうゆう意味では遅いのだけれど)一俳優さんの変身から、それを[きたー、待ってましたー]と受け取る周りの化学反応は、爽快でさえあった。共にマイノリティーであるやり方のお墨付きをもらった感もある。。

思えば、一年以上の長きに渡って思い続け、書き直しに同席し、ようやく陽の目をみた作品。
作品世界を成立させる美術から、効果から、絵から先行し、の一人旅はなかなかコンセンサスもとれず、
なるほどうちの師匠なぞがぼっちで進行する感とは、こうゆうことなのかもしれんなあ、と、感じたりして(もちろん、最終的に一致に至るのだが)張り続けるのはなかなかにしんどい。よき疲労感もあるけれど。


とにも角にも、
ご来場くださいました全ての方々に感謝いたします。

時は待ってくれない。
浸っている時間などない私である。
中間発表、
だるま座さん、
二週間強のペースでやってくる。
ない時間の中だが最善の準備を!

2013年07月07日(日)



 『太平洋食堂』告知



脚本 嶽本あゆ美
演出 藤井ごう
期間 2013/07/03(水) 〜 2013/07/07(日)
会場
座・高円寺1
出演 間宮啓行、吉村直、北直樹、清原達之、原陽三、明樹由佳、清田正浩、佐古真弓、桝谷裕、本城憲、長谷川敦央、清水ひろみ、青山雅士、上村圭将、渡邉守、藤光子、原尚輝、丸山修司

料金 2,500円 〜 4,000円
【発売日】2013/05/07
前売り・当日:4000円 (日時指定・自由席)
学生     3000円(主催団体のみ取り扱い)
プレビュー  2500円(7/3 18:00の回)
サイト
http://taiheiyousyokudou.com/

タイムテーブル 7月3日(水)  /18:00 (プレビュー公演)
7月4日(木)13:30*/19:00
7月5日(金)19:00
7月6日(土) 13:30/18:00*
7月7日(日) 13:30

*7/4(木)13:30:劇作家協会presents“新しい劇作家シリーズ・トークイベント”(ゲスト:小松幹生+相馬杜宇 司会:中津留章仁)
*7/6 (土) 18:00:ポスト・トーク(ゲスト:坂手洋二+早野透(桜美林大学教授))


説明 日露戦争開戦の年、和歌山県新宮の医師・大星誠之助はレストラン「太平洋食堂」をオープンする。ヘソ曲がりの誠之助は、戦争景気に沸く町内で「太平なる海に平和の灯を浮かべ万民が共に食卓を囲む」テーブルを作ろうとした。だが、客は一向に増えず開店休業状態となる。同じ頃、嫌われ者の僧・高萩懸命は餓えながら葛藤していた。「何故、人に上下の区別があるのか?」
第12回新人戯曲賞受賞作家・嶽本あゆ美が大逆事件をテーマに描く渾身の戯曲。


スタッフ スタッフ
美術:乗峯雅寛
照明:和田東史子
音響:近藤達史
衣装:宮岡増枝
舞台監督:伊藤龍彦
演出助手:佐藤萌子
制作:奥田英子・福山啓子・竹内洋  
制作協力:青年劇場
宣伝デザイン:(株)アトリエキノコ


とゆうわけで、
新しい劇作家シリーズ四本のスタート。いやぁ、骨太。
なぜやら四本目もやることになっていますが、
最近ガッツリ組んでいる方々、お久しぶりの方々、お初の方々、入り乱れての乱打戦。新劇に行けば小劇場の人と言われ、小劇場に行けば新劇と言われる隙間産業の私としてはやり甲斐(笑)

2013年07月03日(水)
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