2014年11月02日(日) |
齋藤孝『雑菌主義宣言!』★★★★☆ |
齋藤孝『雑菌主義宣言!』
メモ。
「心の免疫力はどうやって鍛えられていくか。 (略) まずは、経験の数を重ねることだ。 とはいえ、いろんなことにトライしても、その体験が自分の経験値として集約されていかないと意味がない。」(p53)
「心のあり方というのは制御できないものではなく、きちんと概念化して現実的に対処していく道筋をつければ変えていける。」(p65)
矛盾を取り込む形でのステップアップ。「弁証法的な成熟」。
「自分を否定する他者を自発的に取り込んで成長していくというのは、実に『雑菌主義』的な生き方だ。」(p71)
「現実で生きていくというこは、答えが一つということなど、ほとんどない。白でもなく、黒でもなく、グレーのなかで、自分で答えを導き出していかなければならないことだらけだ。」(p74)
「免疫の『自己』と『非自己』を峻別する力は、脳が峻別する力よりも強力で根源的だという。」(p94)
「脳は免疫系を拒絶できないが、免疫系は脳を異物として拒絶する。」(p95)
「すべての菌を敵だと考えて軒並み排除しようとすることは、免疫力を下げ、自分の健康を損ねることになる。」(p96)
組織も同じことがいえそう。 大腸も、悪玉菌がバランスよくいないと善玉菌もいい動きができない。
「これからは『抗菌』よりも『好菌』だ。」(p96)
そのために、
「率先して発酵食品を食べる。」(p97)
クセのあるモノ、ヒト、コトを取り込むことで自分を強くできる。
「本当の自分は、つねに自分のいるところにある。『本当の自分』は探しにいくものではなく、いまここにあるものから、自分でつかむしかない。」(p110-111)
武豊騎手の言葉。 「圧倒的に多い負けを無駄にしない人が、ほかの人よりちょっと多く勝てるのではないか、と。」(p142)
「免疫とは経験値を活かすということ。しかも最近を拒絶して排除するのではなくて、自分に取り込んで活かしていくこと。」(p143)
どんな問題に対しても、まず言ってみる「イッツ・ソー・イージー」(p144)。
「心のもちようとして、ハードルは下げておいたほうがいい。(略)どんな仕事も積み重ねれば結果は出る。だから『簡単だ』『楽勝だ』と思って取りかかろう、と。」(p146)
「人は他者から求められている実感がないと、こんなにもやさぐれるんだということを、身をもって知っている。」(p462) だから、自分から雑菌を振りかけられる環境に身をおこう、と。
「規範、ルールというのは、何かを杓子定規に判断するためのものではなく、ことに当たってシンプルに頭と心を整理するためにこそ活用すべきものだということを菊池寛の自己規範は教えてくれる。」(p167)
「めげそうになりながらも、我慢して続けていると、途中からあるゾーンに入る。単純作業を継続していると脳に快感物質が湧いてきて気持ちよくなってくる。『ゾーン』に入ってしまえばしめたもの、最後まで読みきれてしまう」(p192)
島本和彦さんの漫画「逆境ナイン」から。 実際に板に選択肢を書いて、手で選びとる。 「二者択一という言葉が、単なる言葉ではなくて、自分の強い意志をもった決断として迫り来る。」(p198)
「心というものは、頭でこうしたらいいと考えて変えていけるものではない。心のもちようを変えるには、行動様式を変えることが手っ取り早い。」(p199)
「棋士の森内俊之九段が、二十代の頃は勝つ将棋にこだわっていたが、『勝っても明日につながらない将棋』より、『負けても次に生きる将棋』を目指すようになった、という話をしていたことがある。」(p301)
齋藤孝『雑菌主義宣言!』
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