2012年12月27日(木) |
玄侑宗久『自燈明』★★★★☆ |
玄侑宗久『自燈明』
メモ。
「『これから』などという日は来ないのです。いますぐ、楽しみはじめないと『やがて』というときは来ないのです。」(p32-33)
「心配したい方は、じつは好きで心配しているのですが、そのことを自覚していません。心配をやめるためには、たったいま、それをやめるしかないのです。」(p40-41)
「このNK細胞を調べた研究によると、この細胞は、緊張した状態、つまり左脳優位の状態で増えるのです。ところが、このせっかく増えたNK細胞も、リラックスした右脳優位の状態にならないと活性化しないというのです。」(p78)
陰陽のバランスが大事。 金剛界と胎蔵界。 薬師如来と阿弥陀如来。 理知と瞑想。
「鬼というのはもともとは死者のことなのです。」(p107)
「禅では常にいまが最高、という考え方もします。」(p127)
「だから、いつ死ぬかわからないんですよ、どんなに素晴らしいことをやっていても、ということですね。ということは、将来にいいことが起こるために努力するというのでは、報われない可能性があるということです。 では、どうしたらいいのでしょう。 将来に『貸し』を残さない。いま、この場で満足してしまうことです。」(p131)
「今日は我慢した、というのは、今日を冒瀆したようなものです。 『いい一日だった。このまま死んでもしょうがないな』 と思いながら、毎日枕に頭を持っていく、というところまでいくと大変なものです。」(p132)
これが道元禅師のおっしゃった「修証一等」ということだそうです。 修行そのものが悟りだと。 今を楽しむ。
「まず、同じ人間じゃないか、と思って見る。そこに大きな共感を得た後で、同じ人間だけれどもやっぱり違う。やっぱり違うと戻ってきたところで、具体的な動きができるわけです。」(p152)
バランス。
「陰とは、基本的には根っこを生やして動かない、ということです。 陽とは、動き回って枝分かれするということです。 その両方がなければいけない。じっとしていることも大事だし、たまには出かけなければいけない。」(p178)
「陽は、充実した陰によって初めて花が咲くのです。花が咲くというのは、確かに陽なのですが、根っこが充実していなければ、それはできません。」(p179)
苦楽の中道が大事。
ストーカーとボランティアの違い。 「それは、自分がやっていることが正しいという自信を持っているか、いないかです。」(p184)
「『私が何をしてあげたいか』ではなく『何を求められているのか』ということが最も大事なんだろうと思います。」(p190)
「マイ・プレジャー」をどこまで心の底から思えるか。
「いまできないことは、おそらく来年もできない。いまやっていることの結果を将来に期待するということは、いまという時間を殺してしまうことなのです。」(p192)
それはもったいない、と。
「いま目の前で起こっていることの中で、何が一番大事なのか。そのこと以外はいいじゃないかという、心の底の核心のようなものがあれば、どんな風が吹いても風が楽しめる。」(p197)
それを禅では「風流」という、と。
根っこがしっかりしているからこそ、それを楽しめる。
玄侑宗久『自燈明』(楽天)
|