2011年04月26日(火) |
坂岡 洋子 『老前整理』★★★★☆ |
坂岡 洋子 『老前整理』徳間書店
第1章は、老いるほど、捨てられない 第2章は、モノの整理は、心の整理「わくわく片付け講座」 第3章は、捨てれば、心も暮らしも軽くなる 第4章は、よりよく生きるために、いまからできること
心に残ったところ。
「多くのお宅ではモノが多すぎて、せっかく取り付けた手すりが使えなかったり、廊下や通路は車椅子が通れなかったりすること。床に置かれたモノが転倒の原因になる場合もあること。」(p21)
基本的に年金生活者である高齢者は、収入があるわけではないので、決められた年金と貯蓄を取り崩して生活をしていると。だから、減っていくお金に対して、モノだけでも減らさずに維持をしたいと思う。それがモノを溜め込み手放さないことにつながる、と。
「現場でわかったのは、ある程度の年齢を超えられた方ほど、モノがあることが安心感につながるということでした。ガラクタであろうが中身がなんであろうが、これまで一緒だったモノたちに囲まれていることで安心されるのです。」(p25)
「遺品整理が大変なのは、疲れる、時間がかかるといったことだけが理由ではありません。より大きいのは、心の痛みです。」(p32)
遺品整理は自分が死んだ後に残された人がすること。視点は死後。 生前整理は自分が死んだ時に困らぬようにしておくこと。視点は死亡時。 老前整理は自分が死ぬまでの日々を困らぬようにすること。視点は今日から残りの日々。
生きることに目を向けての整理。
老前整理とは。 「それは、財産や相続といった、自分がいなくなった後のことに気を揉むのではなく、それまでの人生の棚卸しをして、棚をすっきりと整理する『シンプル化(simplify)』の実践でもあります。」(p38)
シンプル化する対象は、モノだけではなく、目に見えない時間や人間関係やお金やパートナー。 これらを見直すことにより、ストレスのない、これからを前向きに生きられる自分になろう、というもの。
「いまをよりよく生きるため、未来の自分自身のための片付け」(p38)
そのためには、一つ一つのモノと向き合うこと。 そして決めれば、前に進むことができる。 「一方で、今後、どうするかということが自分の中ですっきりしない限りは、まったく前に進めません。」(p50)
著者が講座に参加される方とお話していて思うこと。 「『片付けられない女』よりも『減らせない女』」(p60)の方が正しいのでは、と。 確かにそうかも。 減らすは鍵となる行為だけれども、もっとも抵抗があることかも。
外枠の概念。 ゆるいゴムのズボンにすると、どんどんゆるくなっていくウエスト。 枠を越えない覚悟と判断と選択が大事。
問い。 「いまのあなたの状態を教えてください」(p68) 「もし、いらないモノが全部なくなったらあなたの生活はどうなりますか?」(P71) 「いちばん大切なモノはなんでしょう?」(p72) 「ラクダで砂漠を旅するとしたら、何を持っていきますか?」(p73) 「三つの望みが叶うとしたら何を望みますか?」(p78) 「これからの生活を色であらわしてみましょう」(p80) そして具体的なリストを書いて宣言。
基準を決める。自分のものさし。そしてそれを守る。
鉄則。 「鉄則1 一度に片付けようとしない! 鉄則2 最初から完璧を目指さない! 鉄則3 家族のモノには手を出さない! 鉄則4 片付け前に収納用具を買わない! 鉄則5「使える」と「使う」は違う!」(p99)
量から質へ。 迷ったら5W1Hで問う。心に上岡龍太郎をw
収納のポイント、すっきり(NEATに)。 ・最短で(Nearest) ・簡単に(Easy) ・知らせる(Announce) ・問題なし(Trouble-free)(p111)
継続するため、リバウンドを防ぐためにはカレンダーとシールで意欲を維持。
おひとりさまの老前整理では、「常に人を呼べる家にしておきましょう」(p152)と。 人が呼べればひとりぼっちではなくなるし、楽しい時間も過ごせる。 一人では病気になった時にもっとも困るが、それも防げる。
良好な人間関係の構築が、安心して暮らすためには老後は(老後も)必要となるが、それを片付かない家が邪魔しないように。
生き生きと暮らすために。 「自分がどんな生活をしたいか、どんな人生を送りたいのか? なぜ、これだけは残しておきたいと思っているのか、必要なのか?」(p186) これらの問いに答えることで、自分が見えてくる。
大切なのはいま。 そしてこれから。 何を選び、何をするのか。そのヒントになる一冊だと思います。
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