2010年04月21日(水) |
やました ひでこ『新・片づけ術 断捨離』★★★★☆ |
『新・片づけ術断捨離』 やました ひでこ マガジンハウス
心に残ったところ。
著者の仕事は、クラター・コンサルタント。
「住まいに溢れるモノたちを見つめ直し、モノとの関係性を問い直しながら、今の自分に『不要・不適・不快』なモノを取り除くための助言やお手伝いをすること。」(p04)
「モノの片づけを通して自分を知り、心の混沌を整理して人生を快適にする行動技術」(p5)、そして「家のガラクタを片づけることで、心のガラクタをも整理して、人生をご機嫌へと入れ替える方法」(p5)が、「断捨離」。
要らないモノを断ち(IN)、ガラクタを捨て(OUT)、執着から離れて自由になる。
ポイントは、主役が「モノ」ではなく「自分」であること。
「モノに向かい合うことは、自分に向かい合うこと。部屋を整えていくことは、自分を整えていくこと」(p8)
私がブログでモノに向かい合い、捨て続けてきたことも、同じ「動禅」だったのかもしれません。(私は一向にゴールが見えてきませんがw)
問いかけるのは、「このモノと自分との関係は生きているかどうか」(p27)
マイセンのカップは自分にはもったいないからしまいこむ、という自分に対するネガティブイメージが使うことで変化していくというのはいいと思います。
モノの変化だけではなく、それによって空気、気分も変わっていく。 「人間の最大の罪は、不機嫌である」(p30)
ご機嫌な私に。それによってご機嫌な夫。ご機嫌な子どもたち。ご機嫌な友達。 環境からアプローチしていこうというのが、断捨離。
著者が変化したきっかけ。
「そもそも、ここにあるモノたちが、こんなに手間ひまかけて、時間もお金も労力もかけて収納に値するモノなのか?」(p33)と思ったこと。 その後も「断」の発想がなかったため、すぐには変われなかったと。
タンスの中に服はいっぱい入っているのに、着たい服がない。 「あるのにない、ないのにある」(p35) 「そこにあったのは『愛着』ではなく『執着』だったのです。」(p35)
セルフイメージについて。 「自分にテキトーなモノを与えていればテキトーな扱いを受ける。」(p35)
自分自身に対しても、他人からにしてもテキトーならテキトーになる。 きちんとすれば、きちんとして見てもらえる。 自分をどう扱うかと、自分がモノをどう扱うか、は決して無関係ではないということ。
自分でコントロールできたといえる状態までやってみる。 「存在するモノの在処をすべて把握でき、使いこなせるかどうか。」(p38) ここまでできて初めて家が「物置」から「住まい」になったと言えると著者は言います。 収納術もそれからですよ、と。 もっと進むと、「住まい」が「自在空間」になる、と。それがゴールだそうです。
モノとの関係について。
「モノは使ってこそ モノは、今、この時に、必要とされるところへ モノは、あるべきところにあって、美しい」(p43)
第二章では、片づけられない、捨てられない理由についてレクチャーしてくれています。
捨てられない人を三つに分けると、現実逃避、過去執着、未来不安にわけられるそうです。
今を生きること。 そしてそのために必要なモノと暮らすこと。 不要なモノとは別れること。ですね。
捨てられない。 捨てたくない。 捨てられたくない。
問題は、モノ?それとも心?
「部屋にモノが堆積しているのに慣れきっているのは、便秘で感覚麻痺を起こしていることと相似形なんです。」(p66) 必要なら下剤の力も借りて、スッキリしましょ、と。
ガラクタ3タイプは、「使っていないモノ」「使っているモノ」「想念の強いモノ」。呪縛、混乱、怨念。
キーワードは、時間軸、加点法。要・適・快、量x場所x期間、住育、知行合一、俯瞰、三分割、その都度。
変えられるモノは変える。 モノ、言葉、仕草。 自分で自分をもてなす。寛ぐ空間にしていく。
第三章は思考の鉄則の紹介。
「本来モノは『私が使う』から価値がある。」(p97)
そしてその使うモノは、親友といえるとっておきのお気に入りであれば上級だと。
「捨てるときに、『ごめんなさい。ありがとう』と思いを口にしましょう」(p14)
収納は、見えない7、見える5、見せる1。
「なりたい自分になるために、まずは日常使いの器から意識改革を始めます。」(p174)
「運気というのは、実は自分で変えられる。コツは楽しみながら、日々住まいをメンテナンスすること。」(p182)
「せっかく持つのなら、『ま、いいか』よりも『これじゃなきゃ』と思えれば、維持管理も楽しいもの。」(p184)
そしてすべてのモノは地球からの借り物だと思えるようになったら、感謝や畏敬の念を持って大切に扱えるようになる。 今の環境、モノ、ご縁を大切にし、移りゆく途中を楽しみ、別れを告げる。 潔く生きる。 それが著者の断捨離に込めた願い。
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この本を読んで、思い出した『賢愚因縁経 大聖武』の一説。
過去を追うことなかれ。 未来を追うことなかれ過去はすでに過ぎ去れり。 未来はいまだ来ざりき。 ゆえに、ただ今なすべきことを、そのところにおいてよく観察し揺らぐことなく、動ずることなく、よく見極めて実践せよ。 ただ今日なすべきことを、よくなせ。 誰か明日の死あることを知らん。
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