2010年03月08日(月) |
多湖輝『「片づけられる子」に育てよう』 |
多湖輝『「片づけられる子」に育てよう』
心に残ったところ。
「片づけられる子は『学習習慣』が身につく (略) 片づけられる子は『時間管理』ができる (略) 片づけられる子は『ものを大切にする』」(p7-9)
「子どもの頭の中を変えるためには、いまの無自覚を改めることです。片づけないのは『悪いこと』だとはっきり教えなければいけません。」(p26-27)
「社会には社会のルールがあり、家庭には家庭のルールがあります。 でも基本は同じです。他人に迷惑をかけないということです。 『片づけること』も同じです。自分は平気だとか、気にならないというのは、片づけない理由になりません。本人がどんなに平気でも、そのことで誰かが迷惑し、イヤな気持ちになっているとしたら、ルール違反なのです。」(p27)
散らかしたモノを家の中に放置するのは、公園でお菓子の包み紙をポイ捨てするのと同じこと。
「お母さんが掃除するのは、家の中をきれいに、清潔に、快適に保つためです。家族みんなに気持ちよく過ごしてもらうためです。(略) それがお母さんの役割だとすれば、家族はみんなでお母さんが掃除をしやすいように協力しなければいけません。」(p33)
片づけない子どもは、協力どころか邪魔をしている。それにまず気づかせる。 そしてお片づけができていれば、母親を助けることになる、自分が役立っていると思える、それも都度喜びを伝えることで自覚させる。
親として、毅然と伝えること。ご機嫌取りしないこと。
「ダメなものはダメ、悪いことは許さない。その判断が少しも揺らぎませんでした。 片づけや身の回りの整頓もおなじです。 自分が散らかしたものは自分で片づける。 家族に迷惑をかけない。ものを大切にする。」(p45)
弱気になって、子どもを甘やかさない。スポイルしない。
「片づけはたんなる整理整頓ではありません。 お手伝いやお片づけを通して、子どもは他人の気持ちを思いやることを学びます。」(p45)
公園にゴミを放置する、家の中の散らかした状態を放置する子どもは、どちらも自分さえよければいい、他人の気持ちに思いが及ばない。
「自分が使ったものは自分で片づける。みんなで使ったものはみんなと一緒に片づける。それができるということは、公平の意味がわかっているということです。他人に対して公平なだけでなく、自分自身に対しても公平な目を向けているということです。」(p60-61)
学校ではできて家ではできない理由。 ・代わりにやってくるお母さんがいる ・時間割がない ・自主管理するスペースがない
コツ。 「片づけるタイミングを教えるためには、つねに早めに切り上げることを教えなければいけません。」(p74)
段取りを学ぶチャンス。
「家の中でも片づける子になってほしいのでしたら、行動に区切りをつけさせる必要があります。かんたんに言えば、遊ぶ時間、勉強をする時間、テレビを観る時間といった子どもの時間割をつくることです。」(p75)
「子どもが何かを始めるときには、その子にとっての『ちょうどいい量』を与えて下さい。」(p78)
「家族の共有スペースを子どもに使わせることで、自分のスペースを小さくすることと、一つのことが終ったらかならず片づけること、その両方を学ぶことになります。どちらも片づけのしつけの基本です。」(p84)
「共有スペースには、必要なものだけを持ち込ませる」(p85)
「ものをどこにしまうか、その定位置さえ決まっていれば子どもは慌てずに済みます。」(p90)
「日曜の夜は筆箱の中身をチェックしよう」(p97)
月曜に困ること無くスムーズに学校生活を送れるように、準備し、整える。オーガナイズ。
「その子どもが好きなことや得意なことがあったら、道具や用具、ウエアのメンテナンスをどんどん任せてみてください。一人前の自覚が生まれれば、片づけぐらい自分から進んでやるようになります。」(p103)
「折にふれて、片づけのできた子どもの自尊心をくすぐってあげると、子どもは内心で『こんなことぐらい、できるよ』と得意になっています。こういうお母さんが、いわば『片づけられる子』に育てるのが上手なお母さんなのです。」(p104)
あまりのできなさに、負けそうになってしまったお母さんに。
「でもお母さん、負けてはダメですよ! 片づけや整理整頓は小さな問題ではありません。『元気な証拠』と見過ごしていい問題ではないし、お母さんが代わってあげて済む問題でもありません。 なぜなら、すべてのしつけがめざすものは、『自分のことは自分でできる』子どもに育てることです。」(p110-111)
そのためにできること。 ・ペナルティーを与える ・片づけないものは使わせない。 ・多すぎるなら減らす。 ・捨てるルールを決める。 ・約束を守る。 ・片づけられるなら使っていいと教える。 ・ごみ捨てルールを教える。 ・スッキリ!を教える。
「『片づけられないものは勝手には使わない』というルールは、子どもを萎縮させるためのルールではありません。 むしろ逆で、自分でちゃんと始末できるなら、家族みんなの持ち物を子どもが自由に使うことは許されるのです。」(p122)
「とにかくきれいに片づいた部屋を、子どもの大好きなもので飾ってみてください。 すると、自分の部屋や身の回りが好きになります。 片づけるって気持ちいいなという実感が湧きます。 心がゆったりと落ち着いてきます。これは子どもだって感じることなのです。片づけや整理整頓の向こうに、心地よい世界が待っているとわかってくれるはずです。」(p129)
怖い現実。
「現実に、自分の将来にはっきりとして夢や目標を持てない若者が増えています。 彼らはそのことを社会のせいにしたり、あるいは自分の運のなさのせいにします。 でもそれ以前に、日々、やるべきことから逃れたり、目標や計画があっても先延ばししたり、あるいは誰かが手を貸してくれることを待ち望んでいることが多いのです。 その姿は、片づけられない子どもにダブります。 面倒なことから逃れ、親が代わりにやってくれることを期待し、楽しいことや自分が夢中になれることだけを追いかける『片づけられない子ども』の姿そのものになってきます。」(p131)
だからこそ、お片づけのしつけを親はしっかりと子どもにしていくべきだと著者は主張します。 それが、子どもの生きる力を育むからと。
まず捨てること。
「ものが多すぎる現代の暮しでは、まず余分なものを『捨てること』が、ものを『大切にすること』の始まりになるのです。」(p146)
もったいない、まだ使えると思った時は、
「そんな時は、『前に進もう』と子どもに言い聞かせてください。 これからどんどん、新しい勉強や面白い本、楽しい遊びや夢中になれるスポーツと出合うんだよ。そのときに、終ったことが片づいてないと『前に進めないよ』と話してあげてください。」(p152)
「捨てることで、何か新しい楽しみに出合える。 それをわかってもらえば、子どもは捨てることに納得します。」(p153)
片づけができるようになることで、子どもに身につけさせられるだろうこと。
思いやり、責任感、公平、社会と家庭のルール、生きる力、創意工夫、朗らかな日常、正直、優しさ、自立(子ども自身と母親の自立をも応援)、学力
こんな贈り物が待っている「お片づけ」。 始めるのに遅いことはない。 親子で、スタート。
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