2008年01月17日(木) |
森川 那智子『こころがラクになる本』★★★★☆ |
『こころがラクになる本』 森川 那智子 大和書房 (1995/09)
心に残ったところ。
「時間と戦うのをやめるには、ほんの少し、自分と時間との関係を変えてみる必要があります。 たとえば、あとで『ゆっくり落ち着く』んじゃなくて、時間に追われて焦っていると気づいたときに、今、『ゆっくり落ち着く』ことです。このとき、焦っている気分を変えよう、せいている気持ちを切り換えようとすると、ややこしくなります。」(p37)
じゃあどうすればいいか。 その答えは、「動作をゆっくりする」。 ゆっくりお茶を入れる。待つ。ゆっくり、ゆっくり、味わいながらいただく。
なんとなくわかる気がします。 戦国武将が好んだ茶の湯。 あれは「今」をきちんと味わうための装置だったのだな、と。
こころをいまにつなぎとめておくために。
いまを生きるために。
「疲れている、休息が必要だと感じたら、思い切って、休息を取る。(略)さらにいえば、グズグズ、ゴロゴロだって、『意図して積極的に』実行することで、呼び水たる行動になります。 (略)今、やっていることに集中するということ。」(p45)
2章「こころを軽くする方法」では、心が軽くならない理由、思い込みについて書かれています。 代表的なもの。
「1、一日にもっと多くのことが私にはできるはず。 2、どんなこともストレスや疲れを感じないでやれる方法があるはず。 3、やるべきことをやらないとホッとしない。」(p57)
あるある、思います。 そしてできなくてがっくりくるとこまで、毎度のこと。
そうして重くなる心を軽くするためにできること。
「そんなとき、息をフーッと吐いて、おだやかに自分に尋ねて下さい。 正しく生きたいの? それとも幸せに生きたいの?」(p70)
ずっと、正しく生きなくちゃダメだと思ってきました。 結婚して、子どもを産み、病めて、過去を振り返って、そうじゃない生き方が選択できることに気づきました。 それからは、幸せに生きることを願ってきたけれど、ついつい顔を出す昔の習慣。
こうやって自分に問いかける時間を持つことも軌道修正するために必要なことなのでしょう。
「感情には『良い』も『悪い』もありません。(略)「なぜ」「どうして」とあれこれいじくりまわさないで、あるがままに感じ、受け入れると、その感情を無視したり、逆に巻き込まれて過剰に反応することもなくなります。」(p82-83)
昔電話相談ボランティアの訓練でスーパーバイザーの方に「感情にいい悪いがあると思ってきたのね」と言われて号泣したことがあります。 目から、両手で持てないくらいのウロコが落ちました。
今でも持て余して振り回されてしまう、感情とうまくつきあえない私。 あるがままにどんな感情も受け入れて、認めることがこれからの課題。
「社会性を身につけた一人前の大人になるということは、依存を排し、誰にも迷惑をかけず、誰にも心配をかけず、自分で自分の面倒をみていけることなんだと考えてられているふしがあります。(略)でも『健康な大人』になるためにはもう一つの大事な条件があります。人に頼ったり頼られたり、甘えたり甘えさせたりというバランスのとれた相互依存の関係、『持ちつ持たれつ』の関係を作っていく能力です。」(p90)
これも目からウロコがおちたこと。病んでみて気づいたこと。 誰にも甘えず、迷惑をかけずには誰も生きられない。甘えない、自立する気持ちは必要だけど、甘えなきゃ無理!な時には甘えられること。それも大人の条件だと気づきました。 ただ長いこと、甘えることも甘えさせることもしてこなかったから、今でもぎこちないというかよくわからないというのが正直なところ。
3章は「こころを楽しませる方法」を紹介。
「『楽しむ』というのは、能力であり技であり、ひとつの生き方です。こころを、今、行っている行為に集中して、内的・外的に体験していることのすべてをもらさずに『味わう』ということです。」(p131)
意識しないとネガティブになってしまう自分。 楽しむのが技術で生き方だというのも非常によくわかります。努力が必要だから。 こうかな?こういうことかな?と少しずつわかるようになってきたと自分では思うけれど、まだまだ。
今を楽しむ達人に、幸せに気づく人に、なりたい。
4章は「こころをタフにする方法」。
「どんなことにもリスクはともないます。リスクのない選択はありません。『このまま』でいることも、一つの選択であり、リスクをともあっています。(略) タフであるということは、失敗を恐れないことではありません。不安がないというのでもありません。現実に即してリスクを考えることができることです。簡単に言ってしまえば、失敗したからといって、命まで取られることもないのだから、もっと気をラクにして、思い切ってやってみよう、ということです。」(p146)
悔いのない生き方。
毎日充実している生き方。
喜びを作り出していく生き方。
まずは気持ち。
次に、何をするか。どのようにするか。いつするか。 どんどん具体的にして、やってみる。
一度の人生、やらなかった後悔をしないで済むように、何ごともチャレンジ。
そんな気持ちが高まった一冊でした。
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