2008年02月09日(土) |
津田 晴美『気持ちよく暮らす100の方法』★★★☆☆ |
『気持ちよく暮らす100の方法』 津田 晴美 大和書房 (2001/04)
なんだか気持ちよく読み終えることができない一冊でした。
「気持ちよく暮らすための100の方法」の本に収める必要があったのかな?と思う章もあったり、エッセイをまとめたからなのか、ちぐはぐな印象が残りました。
自分に向かう厳しさ(例えばモノ選びに何年もかけ、見つかるまでの不自由に耐えるとか)は読んでいて背筋が伸びるけれど、ところどころに他者を貶めるというのか、そういう厳しさはなんだかイヤな感じ。
1章「気持ちよく暮らす100の方法」、5章「シンプルな生活を楽しむ春夏秋冬」そして「エピローグ」がなければきっともっと共感しやすい本になったんじゃないかと思います。
それでも、有益で、ためになるところもある本でした。
心に残ったところ。
「『不要なものはタダでもいりません』 『必要なものならきちんとお金を出して買います』 という考え方、物事の本質に目を向けようとする姿勢が大事。」(p53)
粗品は即使う物(洗剤やめんつゆ)でなければ断れるようになってきました。 ボールペンは、これからきちんと断ろう! 家に入れるすべてのモノに自分が選び責任を持つという意識が、自分にとって居心地のいい空間を作っていくのだと思います。 そして、
「ものは家に迎えたその日から、命を全うさせるまで使う。」(p56)
そういった暮らしをするためには物選びから変えていく必要があります。 その選び方の指南。 建築家でありインテリアデザイナーでもあったアイリーン・グレイのスクーター選びを好例としてあげています。
彼女が80歳を過ぎてから購入を思い立ち、メモった調査項目は9つ。
必要経費に税金、メンテナンス、故障時の対応、二人乗りは可能かどうか…。
「私たちは何ひとつ買うにも、実はこのようなはっきりした注文書を作れる人でなくては、いいものに巡り合うことなどありえないのである。」(p109)
巡り合えたとしてもその価値に気づけないかもしれない。 豚に真珠ですね。
モノ選びに関してはずいぶんと慎重に探して探して、これよりいいものが出ても悔やまない、これが好き!と思えるまでは買わないようになってきました。 でもまだ失敗も多数。
見分けられる目と、使いこなす意志と、手入れの技術を身につけていかなくちゃなぁと思います。
3章の中の「美的生活実感を毎日の暮らしに生かそう」の中でマイブームについて推奨されています。 グラスやシーツやカトラリー、リネン、パジャマにバスローブ、その時々のこだわりたいものに徹底的にこだわる。 そういった美しいものを取り入れた毎日で気持ちよく暮らそう、と。 ただし、
『マイ・ブームには資格が必要だ。その資格とは、マイ・ブームの対象物をきちんと手入れすることのできる技術と、それを所有するにふさわしいキャリアに達したかどうかである。』(p128)
つまり豚に真珠猫に小判女子高生にヴィトンとならないように、ということ。
私がこれからマイ・ブームにしたいこと。 カトラリー、リネン、圧力鍋、万年筆。
使いこなす技術と覚悟(お、お財布もね)を持てたその時に手に入れようと思います。まだ早いかなと思うのでもうすこしじっくりと選びたい。 モノからも、選んでもらえてよかったと思ってもらえるような自分になってから。
最初にひどいことを書いたけれど、この一文に出会えたからやっぱり読んでよかったと思います。
「豊かな生活とは経済効率のいい生活ではないと知る。やっかいでめんどうな日々のことを、手を抜かないで、楽しみやよろこびに置き換えることなのだとつくづく思う。 絵空事のような未来がある日突然舞い降りてくるわけはない。今日をどのように生きたかによって明日のあり方は変わる。その変化は目に見えないようだけれど、人の暮らしは着実に変ってゆくと思う。」(p220-221)
少しずつ、着実に、でもいつか、絵空事のような未来へ向かって。
『気持ちよく暮らす100の方法』(Amazon) 『気持ちよく暮らす100の方法』(楽天)
|