活字中毒のワタシの日記

2007年04月30日(月) カレン・キングストン『ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門』★★★★☆

ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門
ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門
カレン・キングストン 田村 明子
小学館 (2002/04)

アマゾンのレビューを読むだけでも片づけのモチベーションが上がりそう。

スペース・クリアリング(空間浄化法)という手法を編み出し、世界各国にその教えを広げている、1年の半分は住まいと決めたバリ島で暮す著者。

人生変わった!と絶賛されるこの本、やっとこ借りられたので読んでみました。

つけたふせんの数、おさえめにして12。
考えさせてくれるポイント多々、捨てたくなってきた気持ち大、モチベーション大幅アップ!でした。

心に残ったところ。

ガラクタとは。
・使わないモノ、好きではないモノ
・整理されてない、乱雑なモノ
・狭いスペースに無理に押込まれたモノ
・未完成のモノ(p32)

あるある、まだある、いっぱいある…。
これらを全部なくした暮しはまだ想像もできないけど、きっとものすごく快適でストレスがないように思います。
ホテルや旅館はまさにこれ?
このガラクタを減らす、無くすことができたら…。
そうしたい、と強く思います。

「『ガラクタ』の鬱積したエネルギーは、あなたのエネルギーを奪い取って落ち込ませることtもあります。(略)(鬱状態に陥るのは、あなたの内なる存在が、新しいことを始める時期だと判断してそれまでの活動をやめさせようとしている場合が多いのです。)」(p46)

もと鬱で、ブレーキとアクセルを同時に思い切り踏んで、傍から見たらごろごろしてるだけなのに疲れきって動けなかった経験をしたことのある私、これか!これだったのか!という気持ちになりました。
ガラクタともども鬱積していたあの頃。
もう戻りたくないけれど、何がきっかけだったのかわからないけど(たぶんこどもの存在)、あの時期のおかげでそれまでと変われた、変わった結果今があると思うと、無駄な経験て一つもないなと確信できます。

「いらないものを処分すれば、もののお手入れなどに時間を使うかわりに、本当に大切なことを処理することに頭がいくようになります。」(p54)

あるはずのDVDを観たかったのに、探し物に時間をとられて結局見つからなかった痛い思い出。ガラクタと、ガラクタを捨てられない自分が邪魔をしたから。
ガラクタってとっておいていいことって何もないんですね。

「要は、ものを所有することが幸せにつながりはしないと、気がつくか気がつかないかだけ。生きていく上で役に立つものもありますが、生きる目的そのものではありません。」(p63)

片づけを始めてから少しずつ死蔵ってイヤだな、という気持ちが強くなってきました。使わないで置いておくことのデメリットを実感できるようになってきたからかもしれません。
この本を読んで、その思いはいっそう強くなりました。
必要なモノ、好きなモノ、使うモノ以外は置いておきたくない、と。

とはいっても、所有欲や執着心というのはなかなかなくせないもの。
それを断ち切るためのヒントは7章にあります。
彼女が尊敬するスチュワート・ワイルドの著書の一節には、はっとさせられました。

家に帰って来てステレオがなくなっていたら、「盗られた!」と大騒ぎするのではなく、「取りにきたんだ」と思おうと。
ステレオはたまたま今日までここにあっただけで、次に行くべき場所へ行っただけなのだと。
ステレオがなくなったことで、静かに考える時間を得ることができた、と。

リアルで起きたらやっぱり警察に連絡するわけですが、その心持ちは真似たいというか、どんなことにもプラス面はあるから、「でも、○○でよかった」といつでも思えるような自分でいたいと思います。

コレクションについて考えさせてくれるのは、第10章。
「きっかけが何であれ、私たちが何かを集めたいと思うのは、それが『たまたま偶然』であっても、実は自分の成長のために何かを欲している本能のなせる技なのです。」(p105)
でも、人間は成長、変化するものだから、必要なエネルギー(風水でいうところの「気」)をそれらのモノから得たら、もう用済みであり、新しいことを始めて良いと彼女は言います。

私の、お店開くんかい、仕入れかい、てなほど集めた旅先でのポストカード。
行った先々で探して買わずにはいられなかった。
あれにはどういう理由があったんだろう。
買うことで、何がしたかったんだろう。
ある意味マーキングだったんだろうか。
自分の記憶に自信がなくて、思い出が消えてしまうのが怖くて、モノに頼ることでその不安から解消されたかったのだろうか。

今のままではただのガラクタ。
私が死ねば、ただのゴミ。

生かさなくちゃ。
筆まめになりたい、その気持ちを行動に移すいいチャンス。
コレクションについて、そんなことを考えたこともなかったので、自分を見つめ直すきっかけになりました。

いただきものについて悩む人は多く、それについてのヒントは第12章に。

「大切なのは気持ちだということを、忘れてはいけません。貰い物を保管せずに、もらったことを感謝する気持ちを保つことだって出来るのです。(彼の家を、欲しくなかった貰いもので混雑状態にしたくないでしょう?)」(p122)

私もいただきものを手放し始めました。
くださった方が聞いたら憤慨されるかもしれない。
それでも、おそらくこないその時を恐れて、いらない物があるプチストレスに耐え続ける暮しをする方が嫌だと思ったから、気持ちだけしっかりいただいて、行くべき場所へモノを送り出しました。
これからも、それは続けていこうと思っています。

自分だけではなく、家族のガラクタはどうすればいいか、のヒントは第14章。

「他者を変えることは決して出来ないことを、悟りましょう。あなたが変えることが出来るのは、あなた自身だけです。」(p133)

といってあきらめよう、というのではなく他者を変えられるかもしれない方法として紹介されているのが、「教育」と「手本」。
片づけはうつる、というのは自分の家族を見ていても本当のようで、急には変わらなくても確実に、少しずつ、変化してくるようです。

せっかく縁あって一緒に暮らす家族だから、お互いの共有スペースを大事に、快適にしようとするちょっとした努力は皆でしていけたらいいなと思います。

いざ、捨てようと決心したものの、何から手をつけたらいいのか、どういう基準で捨てたらいいのかわからない人への3つの審査方法は第16章。

「1.これを見たり思い出したりしたら、私は元気になるかしら?
2.私は心から、これが好き?
3.本当に使っている?」(p160)

この三つの質問にイエスと答えられないモノはガラクタなので処分するのが無難だと著者は言います。

元気にならないモノ、好きじゃないモノ、使ってないモノ、かなり処分してきたつもりだけど、まだまだあります。確実に、イエスなモノよりノーなモノの方が、まだ多い。
そんなのできるわけないじゃん、と以前だったら思ってました。
でも、今ならかなりイエスが多い家に、できるんじゃないかなと思えます。どれくらい時間がかかるかわからないし、イエスだけの家にするのは無理かもな〜と思いますが、近づくことはできる。

ある程度処分した後、入り込んでくるガラクタを阻止することが大切で、これがまた難しいのですが、そのためのヒントが第17章。

いくつかあるけど、ちょこっとだけ紹介。
・とりあえず、という言葉を使わない。
・何かを買ったら何かを捨てる。(p172)

これらを習慣にすることで、毎日が違ったものになるはず。

第19章では、心をきれいにする、きれいに保つコツが紹介されています。
私がこれは身につけたいと強く思ったのは二つ。

「手紙はそのつどきちんと書く」
「やりたいことを、優先させる」(p196)

ついつい、「時間があったら」とか「やることやっちゃってから」と後回しにしてしまってタイミングを逃したり、そのまま忘れ去ってしまいがち。
「今を生きる」ことを大切に。

この本を読んで、手紙とカード、6人に書きました。
写真の処分もちょこちょこ進めています。
この調子で、ガラクタ処分、居心地のいいおうち作りに励もうと思います。

ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門



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2007年04月29日(日) 坂川 栄治『「光の家具」照明』★★★☆☆

「光の家具」照明
「光の家具」照明
坂川 栄治
TOTO出版 (2005/07)

今、間接照明がブームになっているそうです。
我が家も多すぎるモノを減らし、少しインテリアのことも考えてもいいかもという段階になってきた(と思いたい)この頃、照明を物色中です。

デザイナー、装丁家、文章家、写真家である著者による、照明への愛情いっぱいの、あかりを楽しむためのヒントがいっぱい。
居心地の良さそうな明かりのある写真にも、うっとりしちゃいます。

心に残ったところ。

ガーデニングブームが日本に広がりつつあるということに言及して。

「日本では『見せること』『見られること』を見栄を張ることと勘違いして、家の造りよりも玄関ドアの方が立派な家をたまにみかけることがあるが、それもやっぱり変なことだと思う。それよりも意識を変えて幸せそうに見える窓を作る方が、はるかに心豊かなことのような気がする。」(p24)

「快適さと居心地の良さは、似てはいても違うものである。つい勘違いしてしまいがちだが、お金があれば『快適性』は得られるけれども、お金があっても『居心地の良さ』が得られるわけではないのだ。」(p43)

快適さと、居心地の良さは違う。
そのへんも曖昧だった私はなるほど!と目から鱗。

では、その居心地の良さを得るために必要なのは何かと言うと、工夫と、時間。

「大事なのは焦って部屋を作り込まないこと。何が必要で、何がいらない物か、ゆっくりじっくり時間をかけて決めることである。つまりそれなりの時間と手間をかけなければ、居心地の良さは得られないということなのである。」(p44)

眺めているとそれがよくわかるという著者おすすめの『スモールスペース』という本、見てみたい!

『部屋も生きものである。だから人にも部屋にも成長する時間が必要になる。』(p49)

だから、必要なのは、こうしたらどうだろう?これは?という想像力と、ほんとうにそれでいいのかじっくり検討する時間。

ホテルに泊まることから学べること。
一つは、シンプルに生活すること。
もう一つは、照明。

無駄のないホテルや旅館の空間はほっとする。
そのほっとできる理由を考えて、持ち帰り、自宅に生かす。

やっと白、とか統一する、とか必要最小限にするとかそういったことに取りかかれるようになってきた(と思いたい)この頃の我が家、たまのお泊まりでそういうヒントをどんどん取り入れて、ホテルのようなシンプルな、ほっとする家にしていきたい。

「人間は生活するために、多くの道具を必要とする。それが他の生きものとの最大の違いである。しかしその道具も、与えられたスペースにただ置いてあるだけでは部屋も倉庫となんら変わりがないのである。そこに住む人が気持ちよく、居心地がいいと感じられる『巣』としての整理の方法が必要なのだ。その上で『住む人らしさ』がそのスペースにどう反映されているか。私はそれが『インテリア』だと思っている。」(p91)

がつーん。
倉庫。
置いてあるだけなら部屋ではなく倉庫。
そうかも。居心地の悪さはとりあえず置かれた(倉庫として使っている)物に囲まれた倉庫だから?
倉庫で暮らしたくない。
だったら、倉庫にしないで、部屋にする。

あかりについて書かれた本なのに、がつーんときたのはそれとあまり関係ないところというか、私がまだそれ以前の状態だからなのでしょう。
でも。
あかりだって素敵にしていきたい。
「明かりの足し算」(p128-129)のポイントをおさえながら、取り入れていきたいと思います。

トロメオ、欲しいなぁ。


「光の家具」照明



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2007年04月23日(月) 齋藤 孝『段取り力』★★★☆☆

段取り力
段取り力
齋藤 孝
筑摩書房 (2003/11/11)

副題「『うまくいく人』はここがちがう」。

『うまくいってない』職場の人みんなで読もうよコレ…と思ってしまいました。
派遣で働き始めた今の職場。
以前のマニュアルぎちぎちのところと正反対で、ほとんどマニュアルなし、体当たりの当たって砕けて、仕事は丸投げ押し付けあい、何もわからないのにいつのまにか責任者になってて不備を責め立てられる…。

フルオーダーの家具を作ってもう納品、という時まで金額が決まらないわ、「あ、この引出し引出せないんだよね」と言い出すわ、といった感じ。
一部上場でもこんなもん?

そんな職場なので、いかに先手先手を打っていくか、責任の所在をあきらかにしていくか、いかに段取りよく進めていくかがとても重要。
私自身、この本に書いてあるようなことはもう当たり前という感覚でいたいと思いつつ、なるほど!と思ったことも多々あったので、私も段取りの悪い人間なのだということですね。

少しでも学んでテキパキ気持ちよくミスなくこなしていきたい。
仕事も、家事も、やりたいことも。

心に残ったところ。

「自分がいる場所でただ言われたことだけをやっているのではなく、全体で何が起こっているのかを、マニュアルを構築する側の立場に立って見通す。これがマニュアルを盗む力だ。」(p48)

「突発的なトラブルが起きたとき、回復できるようなシステムを作っておくのは、高度な『段取り力』だ。」(p68)

「先が見えない努力はつらい。しかしこれを続けていれば、必ず質的な変化が置き、少しでも変化すればそこを増幅すればいいと分かれば、反復も続けていける。これが上達の基本だ。」(p75)

「続けるコツとは、段取りを遂行している最中は考えるエネルギーを無駄遣いしないということだろう。」(p78)

「だから『段取り力』を鍛えるやり方としては、今何のためにこれをやっているのか、ということを意識して口で言う、あるいは自分で意識化するということだ。」
(p82)

「最初に迷わず仕分けできる物からやり始める、これがキッチンや部屋の収納のコツだ。」(p110)

「仕事の段取りとしては、まず自分たちに必要な情報とは何かについて追い込むことが大切だ。(略)つまり情報の精度を高めていくのだ。」(p129)

本当の意味で仕事ができる人できない人をわかつポイントがよくわかるのが、第三章の子どもの読書推進に関する会議に筆者が参加した時のエピソード。
抽象的な意見しか言えない他の委員の中で、具体的な案を出したのが筆者。
彼の案は「強制的だから危険」「安直」と批判される。
「影響がありすぎて安直」それを筆者は「最高のほめ言葉」と言う。

簡単にできて、結果が出てしまう。

これぞ、ベストな方法なのに。(彼が何を提案したのかはどうぞ本書をお読み下さい)私だってそう思う。
具体的でかつ本質的な提案を行う。フォーマットを作る。そして出るべくして結果を出す。
職場や仕事の内容が変わっても、段取り力があれば、マニュアルを作り出す力があれば、応用力があれば、どこでだってやっていける。
どんな仕事も段取り力を鍛えるためのレッスン、チャンスだと思えばいいと著者は言いいます。
お金をもらって力をつけてもらってると思えばありがたいことです。

仕事に限らず、料理だって家事だって家の片づけだって掃除だってそう。自分を鍛えてどんどんできる自分になりたい。
段取り八分。
そんなわけで、いろんなことを段取りよく軽やかにこなしていきたいなというモチベーションが上がった一冊でした。

段取り力



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2007年04月22日(日) 伊坂 幸太郎 『ラッシュライフ』★★★☆☆

ラッシュライフ
ラッシュライフ
伊坂 幸太郎
新潮社 (2005/04)

伊坂幸太郎さんの群像劇ははずれなしの面白さ。

まだ『死神の精度』とこの作品しか読んでないけれど、他の作品も面白いに違いない!と思えました。
しかもこの作品に出て来たあの人は別の作品にちょろっと出てくるとか、あの人はあっちの作品で、とかそういうのってとても読みたくなるのは私だけ?

錯綜する、別々の人生を歩く(迷走する)人々。
拝金主義の画商と買われようとする新人画家。
40社の採用面接に落ち家族にも見捨てられた男。
愛人の妻の殺人計画を立てる精神科医。
淡々と仕事をこなす一匹狼の泥棒。
新興宗教の教祖に惹かれるデッサンがうまい男と「神を解体しよう」という指導者。

プラス、さらなる脇役が彩りを添えながら、それぞれに進んでいく物語が、からみあったりすれちがったり、先が読めそうで読めないところにドキドキさせられながら一気に終焉へ。
読み終えた時にそれぞれのストーリーがすとんと落ちるところへ落ち、リストラ男の豊田のかっこよさが際立つ爽快な読後感。

小憎い小道具もぴりりと効いていて、本当に飽きさせないストーリー。
小説はまだまだ面白い!
楽しい時間をありがとう。

ラッシュライフ



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