2007年01月28日(日) |
山本 ふみこ『台所で元気になる―したかったのは、「少し」の生活』★★★☆☆ |
『台所で元気になる―したかったのは、「少し」の生活』 山本 ふみこ 大和書房
三十代の初めに二人の子どもを抱えて、母子家庭へ。 勤めていた会社もやめて、フリーに。
新しい人生を始めるにあたり、たちまち貧乏になった著者が決意したこと。
「貧乏になったのなら仕方がない。貧乏を楽しもうじゃないの、と。」(p1)
これは赤毛のアンに出てくるアンの友人、フィリパ・ゴードンの台詞だそうです。
この思いを胸に、著者を鍛えてくれた日々。 著者が学んだこと。
「少ない材料で美味しいものをこしらえること、衣服を直したりリフォームすること、そしてものは少しだけ持ち、それを大事にすること。」(p2)
その「さかさに振っても何も落ちてこない財布」の日々が、彼女がほんとうにしたかった「少し」の暮しに導いてくれた。
そんな「少し」の幸せな暮しをかいま見せてくれる一冊でした。
心に残ったところ。
「なんでもない日々の、ほんとうはなんでもなくない幸せに、おめでとうを言おう。」(p25)
ちょっとした日常のよかったことを、嬉しがり、「おめでとうごはん」をこしらえる。 庭の花が咲いた。 試験が無事終った。 友だちから朗報が届いた。
そんな一つひとつをお祝いする習慣をつけたいな、と思いました。
時間の使い方について悩むというか、うまく使いたいと思っている私へ、参考になるパラグラフがp82-83の「家の仕事は朝のうちに」。 著者はたいてい5時台、遅く手も6時前には起床して早朝のうちに家事を終えてしまうとのこと。 テキパキこなしている人にどうも共通するらしき、この早寝早起きと早朝家事。
「でも、それは慣れだ。昼間は仕事をしなければならないから、家の仕事の五分の四くらいは朝のうちに片づけてしまいたい。そういうと、勤勉風だが、夜は九時以降、家事も仕事もしないで『くつろぎたーい』というのがいちばんの理由かもしれない。」(p83)
あああっ、私も言えるようになりたい。 なります。がんばるぞぅ。 だって、くつろぎたいもの。図書館から借りてきた本に手を伸ばしソファにごろんと横になる。そんな習慣をつけたい。
各家庭の洗濯物の干し方をチェックしてあれこれ想像しては楽しむ、という著者の洗濯物の干し方へのこだわり。私もそれ、わかります。 色とか、下着は内側とか、乾きやすいように、とか全体のバランスとか、考えながら干すのって楽しい。 任せる前に、家族への「干し方検定」を受けてもらうつもりだという著者。
「些細なことだといえば、それにちがいはないが、その些細がいかに暮しを語っていることか。」(p87)
一事が万事。 こういうこともおろそかにしないことが自然、になっていきたい。
片づけと掃除の相違にも言及。
「乱暴な話だが、『掃除』と『片づけ』を土俵に上げて闘わせたら、それは『片づけ』に軍配が上がる。たとえ掃除が行き届かなくても、片づいていた方が家はきれいに見える。」(p100)
なるほど。 確かに。 うちはその昔を思えば、これでもずいぶん片づきました。 だから安心しちゃって何もしない→掃除しないので埃がたまる→片づけたのになぜ?
そっか! 掃除の習慣がついてないから私のうちはスッキリしても(私基準)気持ちよくならないのね。 埃まみれだから。 掃除しないから。
やっと片づけの大切さに気づいて、やっと片づけを実行し始め、掃除の大切さにも気づいてやってみた、ところまでは到達できたようです、私。
あとはそれを維持すること。 (維持の前にまだ片づける場所やら最初の埃の塊をなんとかしなくちゃなところやら、あるのですけれども。)
日々続いていくものだから。 日々、ちょっとの掃除を。
次。洗濯機を持たない友人の話から。
「『みんなもっているから』という考え方、無意識のうちに物を必要だと思うクセこそ、手放さなければいけないのではないかしらね。もしかしたら、それがあるために使っているだけで、なくてもすむ、ない方がいいという物もあるのかもしれない。」(p138)
うちにも、まだまだない方がいいものがいっぱいあります。 そして欲しいなと思っているものの中にも、ない方がいいものもきっと。
著者は免許証も切れたままにし、車を運転する暮しと決別したそうです。
「手放したもの、それは移動の速度が遅くなったことで失った時間。 得たもの、それは速度がゆるやかになったことで、自分の目で見つけたもの。」(p153)
欲張りな私はほんと『モモ』の時間泥棒に時間を搾取されてる人間のように日々暮らしてます。 そうでないとやっていけない部分と、そうではなくてもいい、そうじゃなくてもいい部分を見極めて、自分を豊かにすることにもっと心を砕きたいとこの頃思うようになりました。
ゆったり、のんびり。 少しでも幸せ。 少しだから幸せ。
そんな日々に私もたどりつけますように。
『台所で元気になる―したかったのは、「少し」の生活』 山本 ふみこ
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