2008年10月05日(日) |
扉を叩く日は来なくても |
そばにいたい気持ちが走らないように 自分の立ち位置を何度でも確認する 傾いていくのは急激で引き止める術もなくても 言い聞かせる せめてここに 居ないことが許せる自分であるように
ゆるく落とした指先に 眠るひとの睫毛の 震えるのが触れて 独占する時間の短さに眩暈がする
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雨音に耐えきれずベランダへ出て久しぶりの一本に火を点けた。 濃いバニラの両切り煙草。 味も何も、わからないままでも白い霧の様な煙で視界が一瞬途切れて こんな 場所があったとはね、と 舌を刺す苦味に慣れず眉根が寄るのをどこか安堵している。
雨の破片の混じる風が吹きつけて目を閉じた。
ここに、 あなたがいてもいなくても、 そんなことをまだ呪文のように考え続けている どこまで行けば、なんて 果てを望むようだった日々はもうこんなに遠いのに、 悟りきったつもりでいても時折無意識に祈りのようなものがよぎる
ここに、 あなたがいてもいなくても、
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