あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2007年07月23日(月) where's lust





週の初めだというのに飲みに行く。
最初はご飯だけのつもりだったのが、ついつい美味しさにつられて杯が重なってしまう。
今日のはすごく美味しいお酒。
楽しかった。

少し年上のひととご飯にいくのは良い。
安心だし、気を遣わなくて済むのが良い。
どうやら僕は同年代とでは容易に気を許せずにいるらしく、微妙な緊張感が酒の席では居心地悪い。


延々と5時間ばかり居座って飲む。
一度は切り上げる雰囲気になったものの、話が終わらなくてとうとう追加に梅酒と冷酒(玉乃光)を頼んでしまう。
つるつると喉をすべる淡麗な酒。
居酒屋はなんだか寝転がることを推奨されているような卓で、ダブルベッドにも似た座面の上にだらしなく足を伸ばし半分寝たような格好でだらだらと喋る。



途中、寝不足の相手はうとうとと寝入る。
無防備すぎてなんとなく誘われているのかな、と思う。
恋もしない、結婚など考えたこともない、と言った相手にふらふらと口付けそうになる僕も相当焼きが回ったなと思う。
恋かな、これは。
何度か酔った頭で自問する。
・・・恋じゃないな。
残念ながら。



ヒトが眼を瞑っていたのはせいぜい5分。
妙にほっとしながらまただらだらと話を繋いでいく。
3年ほど前、まだ青葉の残る5月に出会ってから、恋かと錯覚するような時期はもう過ぎたと思っても、仄かな執心がここにあるらしい、とそう思えば眼を合わせるのが少々ぎこちなくなる。
少し深く酔い過ぎたような素振りで目を逸らし、暗い中にライトの当てられたテーブルの上のヒトの指先を見る。

何故か僕の好きになるヒトは指の綺麗なヒトが多い、

とそんなふうに思えばこの物思いを恋ではないと否定するのも馬鹿馬鹿しい










↑その苦味で縛るように。

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・・・試されたみたいな気がするな、とひっそりと呟く。


耳の奥では惜しかったねとあなたが笑う





2007年07月22日(日) 死に至る病





毎日いっぱいいっぱい。
ここんとこ試験勉強が続いているので内臓の調子が悪い感じ。
たぶん消化器系にガタがきてる。
あるいは夏バテかなー。
朝に目が覚めると胃が痛くて動けない感じ、なんかすごい久しぶりかも。
けっこう前にもあったんだけどどういう状況下だったのかよく憶えていない。




自分で自分の能力を下げていく。

そんなのできないと思っていたけど、どうやらけっこう簡単にできるみたい。
自分が少しずつガラクタになっていく。
正直怖い、それに苦しいけど、どうしたらいいのかわからないしかなり諦めも入っている。
こんな自分に期待をかけてくれる人たちにはとてもすまないけど、僕はもう、ここにある自分の歴史をなくしてしまいたいっていう切望に囚われてしまっている。
愛情とか、好奇心とか、そういうものの源泉が早くなくなってしまえばいいって。


『もっとたくさん恋をして傷付いて、良い詩をたくさん書いてくださいね!』

そういえば昔言われたなぁ、と思い出す。
R、君は少し間違ってた。
たとえばゴムの樹肌につけられる傷は、前のものよりも深いか、前のものに重ならないようにつけられなければ意味が無い。
つまりいくら恋をしても(、なんてそうたくさんできるはずもないけど)前のものよりも深い傷にならなければ新たに傷付けるはずもない。
古い傷口は硬く黒ずんで強張るだけだ。
そうしてゆっくりと、僕は血の巡りを止めようとしている。








↑嘘。もう今さら泣けるはずもない

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なんでこんなに何も思い出せないんだろう、と茫然とする。


―――傷が欲しいんだ。

でなければ生きていないような気がする



2007年07月19日(木) ゆくはるを





急に蝉の声に気付く。
あぁそうか夏なのだ、と妙に納得。
まだ一度も冷房を入れてない。暑いなぁと思っていても、なんだかそういう回路に結びつかないみたい。

あぁなんだか今日は少し、あつい




ゆく春を惜しむ。
そういう意識がどこにあったのかわからないけど。
なんだか今日は妙に、夏に行きたくなくてぼんやりする。








2007年07月15日(日) あらし





台風一過。

と言うより台風が去った後のほうがよほど風が強く嵐めいている。
ごうごうと風の音。
はためく風に、しぶきのような細かい霧雨が視界を覆うように降っていて、そんな中を本が濡れてしまうのを気にしながら出かけてゆく。

ところどころで眩しいほど白く雲が切れていて、空は無防備な脇腹を晒すように青く瞳を開けている。
街中は祇園祭の熱気を取り戻していて、なるべく近寄らないようにしていても四条烏丸あたりは人いきれにむせるようだ。
祇園祭と言うと大阪方面からは何故か河原町まで行く人があるらしく、河原町から烏丸へ、人の流れができてしまっていて逆方向は歩きにくい。

ようよう乗った帰りの電車は、夕方でも帰路につく人が多く普段になく混雑している。
烏丸から桂へ、特急列車は停まらず走り続け、途中西院を過ぎて地上に出れば傾きかけた陽射しの鮮烈さに眩暈がする。
あぁようやく夏なのだ、と今更ながら首をもたげて息をするような気がする。
まるで夢から醒めたような。
深い酔いから浮上したときの、気狂いを惜しむような不思議な感情がする。
なんだかもう少し、そこに沈んでいたかったみたいな。


ひとを想う。
想うのはひとのことばかり。
あえて他の色んなことを深く考えないようにしているのだから当たり前のこと。
ひどく煙草が吸いたくなって、だけど急に吸える場所もなくて、とぼとぼと家に帰る。

煙草を吸うと、いくつかのことがリセットされる。
吸わなかった間の貞淑じみた自分のこととか。
まるで正直者であるかのように思い込みそうな自分のこととか。
ひとのことを忘れてしまえばいいのに、と考えている自分のこととか。
もう戻れようがないところまで戻って、リセット。
偽善者め、という言葉がなんだか芝居じみていて苦笑する。

あいしてる、愛してる
もうそれが誰のためのものかもわからない
少なくともあのひとのためじゃない










↑笑うのかい。

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そうしていつの間にか僕は決して幸せではないという自己暗示から抜け出せなくなってしまう、
幸せではない誰かのために僕もまた幸せではないという矛盾に溺れてしまう。
これが恋ならいいね、と僕はもう笑うしかない。
これが絶望的な恋ならいいね。







2007年07月13日(金) 水溜まりには左足から




連日、雨。
傘がいつもしっとりと湿っている。
足元が濡れていくのでどことなくうつむいて歩いてしまう。
はっきりと夏だと断言できない空気。
浴衣を着て出かけてみたいのに、祇園祭は今日も停滞中の雨の下でぼやけている。


今日は気の置けない友達とはしゃいで笑ってつい飲みすぎてつらかった。
ぐったりしたいのをこらえながら一生懸命喋っていた感じ。
店を出る頃には酔いがすっかり醒めていておかしかった。
喋りすぎてなんだか喉が痛い。





ファンタジー。
君のいないどこか、遠く。
その遠くへ行ってしまっていつまでも帰ってこないでいられるという、願望。
いつか叶えばいいね、と、他人事のようにぼんやりと笑っている。

ねぇK、明日がとても、遠いんだ。
あなたのいなくなった歳に僕はどんどん近づいていく。
それなのにただの『明日』はとてつもなく遠いんだ。
早くどこかへ逃げてしまいたいけど、それは別に今日でなくてもいいはずだったのに、いつの間にか何もかもが褪せていってしまうような感覚がするんだ。
苦しいとは言わない。ここにある何が苦しみか僕にはわからない。
ただあなたに会いたいと、まだ僕は言うよ。
会えないことを知りながら。
会えると言う人を蔑みながら。


ねぇK、君の日々は幸せかい、そこで?










↑僕はただ君に追いつきたいだけかもしれない。

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どれもこれも酔っ払いの譫。
----just some mumbling words.




2007年07月07日(土) 未詩





訥々と、声は語らず、恋を
開いては散っていく花びらの香りだけが届くように
目を
閉じたままでいる


訥々と、声は語らず、心を
いつだってここにだけは無い何かを憎むように
あるいはここにしか無い何かを痛むように
花が
そこに咲いている


訥々と、声は語らず、としつきを
落ちれば消える花びらが瞼の裏に焼き付くように
形も無くほころぶ花の
不在を
人づてに聞く



訥々と、





2007年07月05日(木) 軽くなるほど遠く






きずだらけ。


本当にちょっとしたことに拘ってしまってカッとなってしまってあとに引けなくなって追いつめてしまって今ごろ後悔、
本当に久しぶりの後悔だ。

後悔しないことに決めている。
後悔するようなことはしないと決めているからだ。
そして後悔しても意味がないからだ。
取り返せるものなら後悔しない。
取り返せないのだから後悔しない。

すこしずつ心が磨耗するように疲れていたらしい、ということにしておく。
明日はようやく金曜日だ。




日曜日には東京へ行く。
月曜日に朝から用事があるから。


遠くへ行くのはいい。心から遠くはなれるような気がするから。
僕を手繰り寄せる強い引力に逆らって、たとえ少しでも遠くへ行けば弱まるものを覚えるからだ。
  線路の上を心を置去りにした身体が飛んでいく、なんて
  なんて軽いんだろう、と
  思いながら



反対に帰ってくるときは夢見心地。
空になっていたものを満たしていくような、同時に重く絡みつく鎖を思い出すような。
飛んでいく感触は帰りの方が強い。
帰りたくないと思いながら引きずり寄せられる僕の身体。思いに関わりなく滑るように走る新幹線の暗い窓。
富士を過ぎるころ夕闇が伸びてきて、
  どこか遠くへ、逃げられたかもしれないのに、と
呟く心。








↑朝になれば消える夢みたいな

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―――軽くなるほど遠く
---far away to the Moon.


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