よる
ばらばらと雨が降ってきて さやさやと木々を揺らす 穏やかな それはもう冬の雨ではなくて 僕はとりあえず傘をたたんで くるくると回しながらぬばたまの夜のアスファルトの上を 踊るように空を仰いで帰ってゆく
時折 ざ ざ と 強くなる雨風とともに からっぽの心がふらふら揺らぐので 真っ暗な坂道の上をよろめきながら 黒一色の僕が白い傘片手にのぼってゆく
雨粒を見上げてシリウスを探す 僕の足元を しらじらと街灯が濡らしている 濃い雨の匂い 無くなってしまえば楽なものがたくさんたくさんあるのを僕は知っている
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もう冬じゃないねぇ。 なんだか惜しい。もう少しぎりぎりと食い入るような寒さを体感したかった。 分厚いオーバーもロングコートも活躍の場がないよ。 まったく。 しかし油断するとまたぶり返しそうで怖い。 朝寒いのに気付かずに出掛けて、帰り道が凍りつきそうに寒い、ってのが一番イヤだ。
さてさて頑張れ僕。 明日はまだまだ遠いぞ。
そうすれば浮気してもバレないじゃないか。
ただそれが浮気でしかないのが切ないというだけのお話。
心を閉じて、もはや幾年。
暗闇に遠く鴉の啼くのを聞く。 不吉な音。 アルコホルの兆させた眠気はとうに醒めていて、しらじらとした夜更けの冷気が足元から這い登るのをじっと耐えている。
笑う僕は幼い。 ひどく醜く、それをわかっているだけに淡くあろうとしている。 冷えびえとした心の底を誰にも覗かれたくはない。 ましてやそこを埋めたいと望んでいるなんて、たとえ誰が言い聞かせても僕自身が納得しやしない。
笑う僕は幼い。 それを誰に見られたくもない。
鴉が啼く。 嫋々と星が光り、夜は更けゆく。 忘れたい心があるのを僕はもう咎めない。
融通の利かぬ自分を馬鹿だと罵ったことがあった。 しかしそれは同時に誇りだった、揺るがぬ意思とその正しさは。
まずは弱音を吐こう。 今は希望がほしい。たとえ僅かでも微かでも、ただありのままの希望という名で。 美しいものを見ると痛むので、極力何も感じないようになりつつある。
弱音。あぁ弱音だ。 ぎりぎりと心を絞るような日々を、今一度ここに戻すべきか。
僕はあなたを想います
そうして僕は君の朝を少しだけ妬む
この焦りとも嫉みともつかない痛みを
まだ僕に残す君に遠く霞んだ日々を思う
ひとの手首に残した時計の音を夢見に聞き
その遠さに遥かな距離を思い朝の遠さを知る
明日の君が削るその命になりたい
明日の君が吸うその息吹になりたい
憧れを
喰らい啜った日々を忘れたいのだ
やる気なくだらだらしていたら風邪をひきました。 職場で流行っていたので(罹患率50%超) (と言ってもうちの部署は今のとこ計7名しかいないので、4人ってことだ) 危ないなーと思っていたら案の定、連休にしっかりひきこみました。 大概こういう休みになると風邪をひいたり熱を出したりで心ゆくまで楽しめない。 そんなわけで憮然とする。
明日は仕事行けるのかしら。 てか行く気力があるのかしら。
癒える恋なら恋ではないと思っている。 言い得る恋なら恋ではないと思っている。 得うる恋なら恋ではないと思っている。 知り得る恋なら恋ではないと思っている。
僕の世界は二つだけだ。 あのひとのいる世界と、 あのひとのいない世界。
そういう愚かで哀しい理屈を、僕はまだまじめな顔でこねてみたりする。
そうして必死に、僕のいる世界はあのひとのいない世界だと信じようとしている。 あのひとがいないと思えば世界は闇だ。 ただしあのひとがいると思えば世界は灼熱の地獄だ。ここにいたくないと想う自分を抑えられない。 あのひとは太陽で、僕をあまねく照らし出す。 あのひとは太陽で、どこにいても僕にその存在を見せつける。 僕は翅を無くし身を焼かれるのをわかっていながらも、あのひとを目掛けて飛ばなくてはならない。
僕は正しく樹になりたい。 大地に縫い止められながらもただ太陽を乞う樹になりたい。
これがただの願望だったらいい、 そしてそれが絶対に叶わないのだったらいい。
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