言葉のサラダ
黄と藍



 色色

伝たえられてた雪の白さを
誰でも当たり前に知ってた
この瞳覆う色眼鏡で
白は赤く汚れていた
裸眼で見る青い雪花
間近で見る醜い雪景

現実を覆す真実
夢中になれる嘘
難解な立体図形
容易な現実逃避

虚構の白
現実の赤
理想の青

この赤い世界を壊してくれ
正義の味方を殴り飛ばして

2003年12月31日(水)



 乱暴

軽い軽い喉飴
卑しい卑しい言霊
甘い甘い罠
妖しい妖しい道
短い短い選択肢
優しい優しい言葉
強い強い時計
硬い硬い拳

2003年12月30日(火)



 キング

みんなに誉めてもらいたい、と
思うのに
誉めてばかりの人は信用ならない、と
思ってしまう

いつも肯定されたい、と
考えるのに
肯定は最楽な行動、と
考えてしまう

バカな人は救えない、と
感じるのに
バカに生きたい、と
感じてしまう

嘘吐き
矛盾
抵抗
乱戦
止めてしまえばいい
脳内を往復するなんてこと

2003年12月29日(月)



 砂漠

いい加減な記憶
適当な口調
人任せな未来
安直な行動
素直な反応
後ろ暗い心
天国の大雲
いっぱいの抵抗
集中する視線
注目の接戦
嘘吐きな毎日
確実な失敗
泣かせる話
すれ違う感情
焦らせる時間
滑らかな共感
重いボストンバッグ
ただ回転する文字

2003年12月28日(日)



 ライト

ライトが映す
浮かぶどす黒い壁
ライトを照らす
消えた薄暗い影
ライトを向ける
照る醜い顔の縁
ライトが消える
暗い世界が窓を閉める

2003年12月27日(土)



 名人

最期まで足掻いてみる
まだまだまだ穴には落ちない
日が沈んで体力が続かなくなっても
気合とか根性とかそんなもんで耐えてよう


いくらなんでも長すぎる
大好きなあの言葉を捜す
ライトの照らす暗い物置
最近気付いた一つの真実
長い目をした老婆が語る
地獄に落ちた黒い死神
切り株はまだキノコを生やさない
間抜けな面した狼が走る
転んだ姿も間抜けに見える

大きな時を刻んで鍋に滑りいれる
ちょっぴりこぼれても気にしない
下に落ちたなら諦めてしまうから
僕は今日優しい薫りを君の元へと
鍋と並んで数時間ただ匙を持ちかき回す
混ざって蕩けて煮立って焦げて
海の中にさようなら

2003年12月26日(金)



 ハイハイ

言葉を発掘
探索隊

緑の野菜は
生野菜

大きな声で
号令掛ける

小さな君に
一目惚れ

言葉を発見
いい言葉

いいことあったね
また明日

2003年12月25日(木)



 積雪

今日降る雪は大雑把
レストランで削る塩みたい
しょっぱそうで大きくて邪魔な君たち

今日の雪はさらさらりん
片栗粉みたくもきゅもきゅしてる
大きな結晶が手袋で溶けた

今日はシャカシャカ大雪空さん
降っても降ってもじゃんじゃん積もり
ベージュのフードに真っ白お屋根

今日は晴天さわやか青空
降ってた雪はサラサラだった
雪球作るに一苦労
集める間に三つ当たる

素晴らしい空
下界に静かな雪の家
山の側面は生クリーム
生える木々はココアパウダー

2003年12月24日(水)



 ネズミ捕り

眠いのアップ
パソコン起動
確保朝飯
炊いたの昨夜

ダッシュなんとか
ゲット徹夜で
ラッキー猛犬
納豆昼飯

品切れアイス
どっかにミキサー
会いたいあの人
今夜も勉強?

2003年12月23日(火)



 ラッキーダッシュ5

溢れ出したノウミソ
味付けはもちシオで
箸より匙がオススメ
左には座らないでネ
熱がるのは汁のハネ

搾り出すよクリーム
飾りつけはナイーブ
夜にサンタとカタナ
危険が溢れるネドコ
足元にはネズミ花火

花見も良いかとハハ
歯並は結構サイアク
人並みには勉強シロ
流されていくよ人波
嘘吐くならメモ用意

簡単ですよカード戦
先頭にいかがよ蝋燭
吹消すならタメイキ
唾なんかは掛けない
眠れない夜はテツヤ

2003年12月22日(月)



 サラダ

ドレッシングを掛けよう
赤と緑と黄色と紫
生野菜が山盛りだ

いっそ混ぜ合わせようか
まんべんないドレッシングとサラダ色
混ざってしまえば飾りなんていらない

銀ギラぎんのフォークで食べよう
めでたい今日の主役に贈る
華やかな君にはよく似合ってる

取り皿は真っ白で
何色にも似合うから
取り込んで汚すこともない

いただきますは食前に
食べ終わったらごちそうさま

2003年12月21日(日)



 ト音

欲しいだけもらった
欲しいだけもらえた
手の届くところに何でもあった
手の届くところは何でもあった
頭を抱え込むようなことはなかった
頭を抱え込んだ経験は皆無に等しい
伸びならしたいだけした
伸びたいときに伸びてた
届かないものは台を使った
届かないものに台を使えた
遊びは一通りした
遊びも一通りした
退屈になってきた
退屈に感じてきた
寝込むなんてまさか
寝込むなんて思わず
イビキもかけまい
アグラもかけまい

2003年12月20日(土)



 薄皮


町中に溢れる自販機のように
私の言動一つひとつは無駄が多い
帰宅してもまだタイムセールで
もう呆れて笑いですら起きない
忙しく変わる信号機のように
いつもいつでも落ち着きがない
懐かしい深夜の音色で
不安に駆られて目だけが覚める

嘘ばかり吐いていて悲しい
眼鏡越しじゃ映る顔だって私だけじゃない
限界が来ない限り頑張れる
辞典を見開いてみんな、どうしたの?

2003年12月19日(金)



 追加

仕草が苛立つ
感化していく
反れた道の花

みんな走ってて
あたしは歩く
早足で

置いてかれても
泣かない
なみだは作らない

右手で握ったペン
左手に貼ったバンソウコウ
擦っても平気
また立ってやるから

2003年12月18日(木)



 視力

徐々に失う
視界が霞む
鏡の向こうの
私も部屋も
2つ3つに
重なって
白んでその先
消えてなくなる

2003年12月17日(水)



 調律

黒い世界に浮き出た
白い思考の文字ども

埋め尽くして
白髪のあたま
不安定に繰り返す日常
枕に頭の跡を深く残す

出来ぬことなら四肢でも数え足りない
出来ることなら一を満たすほどもない

足踏みだけで穴が開きそうだ
闇に向かって振れる腕もない
バイオリンの弦が狂ってしまう
治すピアノはもう壊れてやがる

2003年12月16日(火)



 予告

焦燥感があたしを満たす
基準をあげなくちゃいけないらしい
振り向くと瞳を輝かせた学友が教室に机を並べている

1度屈めた目線になれてしまったから
背筋を伸ばすのが苦労する
目線が高くなれば上へ手を伸ばしたくなるのに
いつから腰痛に慣れてしまったんだろう

客観的な意見を述べたり
周囲を批判しつづけても
結局悪いのは自分だけ
ナビに頼ってて地図を破いたからこんなことになった
もう1度歩いて地図をこしらえよう

2003年12月15日(月)



 蛇足

あたしの”本当”はどこへ行った?
”最初の意見”はどこへ消えた?
何が選ぶ基準になってた?
あたしの生きる”層”はどこだ?


社会か
常識か
正しさか

曖昧な記憶で生きて
不確かな真実で死ぬ
惑わされて一人嘆く
夜が寒いのは頬が冷えるから
決して布団が寂しく冷ますわけじゃない

2003年12月14日(日)



 ある日にある空で

独り言が止らない
今日も大勢で大喧嘩
否定するのはいつも一人
支えてくれる人は殺された
次々に死んで行くからもうだめ
殺人鬼が潜んでいる
いつも大声で叫ぶバカ
楽しそうに雑談をし続けるババァども
金切り声で怒鳴る女
低い声で論理を重ねる男
疑問をすぐ口に出すガキ
意見に惑わされて何も考えない私

みんないっぱいで邪魔
掃除機はお金まで吸っちゃうんだ

2003年12月13日(土)



 最高にバイバイ

もうすぐ指が死ぬ
めがねでよかった
拭うタオルもある
酒飲んで眠りたい

余計な口なんて聞かない
下手に心配させられない
ただ我慢さえすればいい
時間が経てば消えるから

目を見開いていた
目は乾かないから
溢れていく涙を見てた
じっとしていても湧き出る
涙は見れなかった
滲む鏡の顔が見れた
こぼれていく涙があった
タオルにそっと涙を染み込ませるのを
雨の林を背景に観察してしまった

2003年12月12日(金)



 縦列駐車

人に考えてもらえるなんてすっごい楽
楽が一番大好きですよ
毎日毎日人任せで過ごせてきてるよ
だからこんなに狂ってる
歌い出す真実なんてもう存在してない
あるのは妥協と屈強だけ
みんながやってるのを見ていればいいんだ
積まれた荷物は全てすてよう

2003年12月11日(木)



 RPG

回復には時間が掛かる
戦う前にセーブしなくちゃ
リセットに指構えて進む
コントローラーは左手操作
装備が重要
嘗めて掛かるとやられる
お金も仲間も揃った
敵はあたしの後ろか

2003年12月10日(水)



 比較

あたしにはダメで
あのこにはオッケー

あたしは許されなくても
あのこは許されること

あたしは出来なくて
あのこは出来るし

あたしは受け入れられて
あのこは受け入れられない

2003年12月09日(火)



 むだてん

しゃべるな
しゃべるな
無駄口天国
マスクをしたけど
無駄口天国
手で塞いでも
無駄口天国
テープを貼っても
無駄口天国
目をペケにして
無駄口天国
死人は上から
無駄口天国

2003年12月08日(月)



 紫のふち

マスクがいっぱい
カラフルマスクズ
おしゃべり大好き
コワイロとりどり
がまんができない
あたまがまわるの
みどりのセーター
せたけは飛び出て
英国しょうじょが
そらにじ見下ろす

2003年12月07日(日)



 白状

道が開いた
声が出る


まだ歩けるか調べているが
逃げ道にはなりそうだ
椅子の足は多いほうがいい
2本じゃ足りなかったから
嘘でもよかった
話せて嬉しかった
遠くても姿が見えるならそれで十分だ
迷惑な蝿を叩き潰そう

2003年12月06日(土)



 遺跡

右手の拳を振りかざし
ミサイルのように頬を打つ


全ての苦痛が這い上がってきた
現代人は我慢が出来ないらしい
ストレスに耐え切れなくて内から破った袋
中から溢れ出た水で周囲を濡らそうとも己は関知しない
飛び越えた壁が低くとも「壁を越えた」と言える

ミサイルの当たる頬が腫れればいい
醜く映った鏡を壊してみよ

2003年12月05日(金)



 依存

君だけが頼り
君のおかげで喋れる
ルールを守らないで酷使
喉が壊れようが知らぬ
今だけを見て
今だけを考える

2003年12月04日(木)



 付加

不快な羽音が教室内を往復する
潰すには多いし出るには面倒だ
壁を壊せるなら壊したい
代わりに目を潰し耳を塞ごう
確かに選択肢は有った
盲点に捕らえてたのは私の勝手
合理的な解釈も必要だったから
四方から突付かれても追出されるまい
不快なのは羽音と私の記憶
オーディエンスが髪を引く

2003年12月03日(水)



 歩行

未知は恐怖
知識が道を照らす


一言なら手紙で澄ませばいい
二言ならお前が電話を遣せ
三言を越えるならいっそ会おう

嘘が実現するとき
虚無が運ぶ無傷な道
刃を片手に摺り足
盗みは働かない
風船に掴まる少年よりも
岩を辿る少女を羨む
暗い道を街頭が照らす
映した道が偽りでも

2003年12月02日(火)



 懐中電灯

闇が襲ってくる
もうすぐ
暗幕のカーテンに世界は覆われ
急かされるように日は縮められてゆく
願う前に消える星よりも底意地が悪い

夜明けを待つ前に
闇に喰い殺されてしまいそうだ
助けてくれ
階段の足踏みが近づく

2003年12月01日(月)
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