言葉のサラダ
黄と藍



 技術

返事の来ない子にメールを送ろう
携帯を見ない子にメールを送ろう

キャベツだけじゃ生きてけない
妥協も不況も関係ない
不平不満は言わないで
楽しいことだけ考えよ

2003年09月30日(火)



 

今のあたしは酷く混乱してる
言葉の一つ一つが空気みたいに軽い
ふわふわ浮いてはパンと弾ける

聞かせても当惑が返る
一緒に困ろう?

迷ってるのはあたしだけじゃない
言葉の端々に気を取られないで
中身を見ないといけない

ふたをひっぺ返して
恐怖を見た

2003年09月29日(月)



 伝言

電話なんていらない
簀巻きにして布団の間へぽいだ

みんな死んじゃえ
叶わないならあたしが死んじゃえ



ピピー
ピピー

どちらを治しますか?
とりあえず全部で


電話なんかいらない
壊れちゃえ
黙ってろ
壊れちゃえ


今こそ難聴を羨むべし

2003年09月28日(日)



 強者

あたしはまだ若い
やるべきことは沢山ある
果たすべき目標も底を付かない
立ち向かう敵も多い
まだ死なない
まだ行きたい
まだ不満がある

嘘は吐かない
喧嘩をしよう
頬を打つなら打ち返してやる
語尾に付けた疑問符に答えよう
扉の鍵は開けたばかりだ

2003年09月27日(土)



 ラフ

溢れろナミダ!
今こそ役に立つとき!

頷けアタシ!
黙すのは間違いだ!

笑えミンナ!
手をたたいて大声で!

2003年09月26日(金)



 画面


君が消える瞬間を見た

君は誰もが見ていない隙にふっと消えてしまう

君は誰もがそのことに気づいていないのを当たり前だと思う

君はこんなに輝いているのに月は無関心に見放すんだよね

2003年09月25日(木)



 ペンギン

水に落ちてたガラスを見つけた

そうか
血だらけの足はこのせいだったのか

気づいてから足は治っていく

かさぶたを剥がしていい?

2003年09月24日(水)



 蜜蜂ダッシュ

一々
反応していられない

フクロウ
じゃないんだし

否定する
つもりの奴にだれが応えるか

折れた
肋骨や写真立てや目的は治す気ない

自ら
踏切の中に入ろう

耳栓をして
アイマスクをして手を縛って

2003年09月23日(火)



 迷路

あたしは無力だ
人のことを考えない
自分のことも解らない
辛いことに直面しても
助けばかりを請うている
見あたらなくなった光を他人のせいにして
嘘を吐いたり罵倒したり理屈をつけたりして
決して認めない

道ばたの草を踏みつぶし
アリを踏みつぶし
他人の未来も踏みつぶす
あたしは破壊を楽しんでる怪獣
脳味噌は握り拳ほどもない

2003年09月22日(月)



 一周


線路は終わる
続かない

一箇所になんていられない

線路は終わる
絶対に

2003年09月20日(土)



 モンスター


あたしたちにとって
70センチは大きな壁で
隠れ家にしたのは玄関の角
しゃがんだら大人になんか見つからない
あたしたちだけで話し込んでた

ままごとをしたっけ?
悪口を言ったっけ?
自慢話だったのかな?

いっぱいいっぱい話したよね

それなのに

2003年09月19日(金)



 点滅

信号はいつだって黄色だった
渡って行ったのは君だった
聞こえないフリをしていたの?
否定することしか頭に無かったの?

まだボンドでくっつけたばかり
すぐに触ったらずれるよ

君の気持ちを確かめることなんて無い
これっぽっちもね

2003年09月18日(木)



 

ほら
角を落とせば丸い

まだ
角の丸い四角だけど

もう
三角にはならないよ

2003年09月16日(火)



 ウサギ

ガラス細工を拾い集める
おかあさんにこわされた
おとうさんにこわされた
ガラスが切った指先
赤い血が流れ出す
なにもがんばれない
もういきたくない

2003年09月15日(月)



 自殺


細長い。
一つずつ食道へ流し込む。
二つに割って流し込む。
視界がゆっくり回る。
コーヒーに入れたミルクのように。
◎くるくる◎くるくる◎

やがて混じって渦は消える。
私の世界も全て消える。

2003年09月14日(日)



 アイドロップス


目薬を差す。
たくさんたくさん差す。
下瞼から溢れ出す・・・

私の代わりにたくさん泣いて。


たくさんたくさん・・・

2003年09月13日(土)



 鼻歌♪

バラバラになって弾けそうだ!
粉になって吹き飛ぶぞ!
横の奴なんか知らない!

首の付け根が膨れるぞ!
もうすぐ爆発するんだ!
大声で泣き叫べ!
君を助けるものはない!

殺せ!
臆病者!
殴られて死ね!

2003年09月12日(金)



 ソーダ水

響き渡る足音
甦る騒音
セミが鳴き出した昼前
ノートの横の辞書
転がった消しゴム
何度見ても僕が二人

静かになった教室
今日もまた気付かない

2003年09月11日(木)



 準備

闇の中で
光が目立つ
視界の端に
白が光る
痛みを堪えて
その場に佇む
君を抱えて
逃げてもいいか?

2003年09月10日(水)



 地平線の四角


わたしはどこへいっちゃったんだろう
白い床は地平線の先まで消えない
明るすぎる空は影も作らせない
誰もいない
みんなが遠い

私は何処へ逝っちゃったんだろう

2003年09月09日(火)



 高速自転車


私のもとを
君はなれ
君は車に
肩揺らし
追う姿に目もくれず
走る車に身を任す

2003年09月08日(月)



 玄関


いない君を探す
電話にも出てくれない

見渡す人の海にも
君は姿を見せない

360°回りながら階段を上る
ぶつかった人は君ではなかった

窓から中庭を見下ろす
君の髪は何色だった?

同じ学年を端から探した
君から組を聞いた?

君はいない
どこにもいない

1分も話せない
足音が離れていくから

2003年09月07日(日)



 


一ヶ月前と何が変わったんだろう

メールを返してくれないのは前からだったし
髪の色だって前と同じハズだ
大きく変わったのは態度でもない
勉強意欲が出たわけでもない
友達が変わったわけでもない
家族が減ったわけでもない

何が君を変えたんだろう
僕には分からない
歌いたいって言ってたのは君だった
話したいって言ってたのは君だった
欲しいものは手に入ってたんだろ?
いらないって断わったじゃないか?

いつだって目の下が湿っているよ

2003年09月06日(土)



 想像

 
壊した人形を片す
バラバラで
ぐちゃぐちゃで
ベロベロになってる

声なんか聞こえなかった
私は絶望から抜け出したいんだ
椅子を振り回したって窓が割れるだけじゃないか
引出しを出し入れして気が収まるか?
傷だらけに包帯はいらない
バンソウコウだってお前には高価だね
お古で大満足なんだろ?
所有物は文句云うなよ
そこに居られて幸せだと思え
バラバラのお前を片すくらいなんてこと無いね
ただ単に寂しいわけじゃない
何も待っていない
望んでいた結果なんだよ

全く
ざまー見ろだ

2003年09月05日(金)



 自由なんかじゃ

疲れて眠る
泣き疲れて眠る
コンタクトを外して眠る
本を閉じて眠る
明かりを消して眠る
薬に頼って眠る
お風呂に入って眠る
夕飯も忘れて眠る
明かりをつけて眠る

聞き飽きた言葉を思い出す
押入れの写真を思い出す
友達の声を思い出す
読んだ本を思い出す
遅刻連絡を思い出す
言い忘れてたことを思い出す
喋っていた内容を思い出す
財布の場所を思い出す
家族の存在を思い出す

悔しい思いでマクラを叩く
空しい思いで兄の肩を叩く
せいせいした思いで布団を叩く
どきどきした思いでドアを叩く
懐かしい思いで肩を叩く
悲しい思いで壁を叩く
笑いながら両手を叩く
あっちゃーって顔をしながら額を叩く
握りこぶしに怒りを込めてみぞおちを叩く

2003年09月04日(木)
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