言葉のサラダ
黄と藍



 ばななせんそう


おフネがいっそうしずんでた
あおいおおきなウミのなか
おソラはきょうもまっくろで
おぼれてもがくヒトはきえ
トウさんどこへいったかな

ヒコウキけむりをまきながら
クモとあそんでどうしたの
あんまりしたをムクもんで
ヒコウキおうちへとびこんだ
カアさんどこへいったかな

まいにちおツチをいじくって
おいもはないかな オッキイの
あんまりムチュウになったから
テツのおいもをみつけたよ
ボクのあんよはなくなった

とうさんかあさんオデカケで
ぼくはヒトリでおるすばん
マッカナあんよはもうなくて
ツエなきゃそとへもいけないよ
ごはんもないからシンジャッタ

2003年08月28日(木)



 モウロク


付け忘れたエアコンは
確実に室温を上げている

あたしはただ
汗を拭き続けていた

約束をすっぽかしたって
何の結果も齎さないのに

言うことを聞かない子供の
尻を引っ叩いて何か変わった?

カチカチと無神経な人だ
芯なんて出なければいい

2003年08月27日(水)



 過去の未来の現在


首が鳴る

疑問符乗せた
頭が傾く

右手を口に当てる
人差し指の側面が触れる

眉間にシワが寄る
左上を睨む


今日も
晴れてる雲の上を
飛行機が泳ぐ

2003年08月24日(日)



 枝の先

道が分かれてて
そこで
立ち止まった

振り返っても
後ろは
真っ黒で
おなかがすいたとか
もうねたいだとか
言ってる気分じゃなかった

迷ってたのに
何かが向こうに見えたから
気が付いたら追うように
こっちの道を選んでいた

真っ暗な道で
不安だらけで
恐くてしょうがない道
それでもすすんで行くしかなかった

先に見えた分かれ道に
人が立っている
後ろを振り返って
長い間ずっと迷っていた

2003年08月23日(土)



 隕石

本当は目が悪かった
色眼鏡越しに見ていた世界は真っ赤で汚れていた
痛いことを忘れているくせに怖いことは分かっていた

無意味なことをやって過ごしていた
痛覚がマヒしてて殴られても気付かなかった
甘い匂いに惹かれ死にそうになってた
厚いガラス越しに見る世界は安全だった
友達の悲鳴も耳を通らなかった

眼鏡は床でバラバラに砕け散っている
いずれは誰もが辿り着く場所
確認なんかしなくてもみんな分かってる

2003年08月21日(木)



 昼時


鳴り響く鉄の音
何度も呼ぶ声

首を傾げて
立ち止まったり

ゆるい空気が流れる
気を失うほど明るい

2003年08月18日(月)



 カガミ


フロ上がりの手が醜い
欠けて歪んだ爪
ふやけて白く厚さを増す指
手の甲の傷はまだ赤い

他人を羨む前に
自分を肯定しなくては

耐え切れなくなって
壊してはいけない

2003年08月15日(金)



 デジタル


飲み込んだ空気が
苦く重く
踏み出した足は
限りなく小さな歩幅
口を開いて
喉が痛いことに気付く
コンクリートの壁
窓からは
ぴんくの雲が見える

2003年08月13日(水)



 誰かさんの話


二等辺三角形の
頂点に
左足の爪先で
目をつぶって
立っている

誰かさんは
そんな感じ

倒れないはずは無い
落ちないはずは無い

2003年08月09日(土)



 マクラ


いつも寂しい
言葉が迷う
足りない
満たない
空白が、いつまでも空白のまま

遠くから
同じ名前を呼ばれただけなのに
すぐに振り返った私が
ひどく、悲しい

顔色をうかがって
臆病になってしまう
つい黙り込む
思考がぐるぐる廻って
追いつけない

2003年08月07日(木)
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