言葉のサラダ
黄と藍



 


破った聖書のページ
神様に呪われた犬

偶然ではない巡り合わせ
42回殺そうとした..

2重 3重にぼやけて行く現状
はっきりと実感できる虚構

崖に掛かった友の手を
優しく外してあげた

良く反響する悲鳴
悪いのは..

2003年03月31日(月)



 調理


断ち切った腕は
青々と変色していき

先が無くなった右肩から
赤々と液が滲み出ている

温もりを上半身で感じながら
赤紫の泉へ染み込ませていく

2003年03月30日(日)



 山林


まだ早い
もう少し
届かない
腰を低く

目が見えない
スポットの中
手を伸ばせば
ヤミに触れる
時が追いつく

バラバラになった脈
呼吸も荒い
足元には蚯蚓が這い
冷たい石が圧し掛かる

2003年03月28日(金)



 言葉


漏れ始めた言葉は広がっていく
穴は塞いだけどもう遅い

粒の一つ一つは小さくて
確実に隙間へ入り込む

針は細く
穴は大きく

串刺しにされた袋は
破けてもいい

統一感のない文が
紙に記されていて
誰もが指を指し
笑っているのかもしれない
誰の目にも映らず
寂しい思いが出来るのかも

2003年03月27日(木)



 


どこかで見た
そんなの忘れろ
うろ覚えなら
消えてしまえ
もどかしさが
鬱陶しい
胸の中をいつまでも
ふわふわ不規則に
揺れて動いてざわめいて
それは
どうしようもなく
不安定で
不安定で


頭で幾ら考えても
絶対に追いつかない
不思議に加速していく時間
止まっている時計の針に私は立って
インパクトを待ち焦がれる

2003年03月24日(月)



 

端から引っかいて
肉を引き剥がす
出てきた隙間から
新しい血が噴出す

音を独り占め
音だけ

殻の内側に篭って
外からのノック音は受け付けない
殻からは私が足で蹴らないと
決してその殻は開かない

狭い間から
目が覗く
カーテンを開けない
外は
光が眩しすぎる
外には
目が多すぎる

朝になって
夜の暗さを思い出す
カーテンは
あたしにそれを忘れさせる

2003年03月23日(日)



 おにごっこ

絶対に逃すな
見過ごさないように目を光らせろ
何人も許されない
限られた箱の中

孤独を持った少年が
鉄格子を握り締め
いつまでもこちらを
私の横顔を
形の悪い目で
追いかけ続けている

逃がさない
逃げたときは
私が追う
目に
追われているのは私
私は追う人
私は追われる人

2003年03月22日(土)



 壊→消

みんな消えちゃえ
ガラーン
とした駅前を
一人で歩くんだ

空からは
黒ばっかの頭が見えて
うじゃうじゃ
とした世界だ
沢山居過ぎるよ

地球はもう青くない
地球は真っ黒だ
地球なんか2つに割れちゃえ

みんな吹っ飛べ
頭から吹き飛べ
飛んで消えて
スッキリ
とした道路で
一人で昼寝する

2003年03月21日(金)



 バ・カ


治しかけている皮膚を
引き剥がしていく
活発に完治を目指す細胞を
妨害している

また
泪のような血が
溢れて
割れて
染み出して


服の袖が汚れないようにと
何度も腕を捲くる
乾燥した手の甲が
皹を作っている

何を付けても
もう駄目だ

2003年03月20日(木)



 むし


弟が下らない冗談を振った時は
何もなかったようにする

おばさんが独りで鍋に話しかけている時は
あたしは携帯を出す

おばあちゃんが教育勅語を言い出した時は
兄弟全員で聞き流す

兄や父が説教をする時は
窓の外見ながらちくわの耳を付ける

母が栄養食品の話を始める時は
目の前の雑誌を開く

友達が挨拶をしてくれた時は
絶対に挨拶を返すよ
誰だか確認できればね

2003年03月18日(火)



 欠点

おばさんは食べるとき
口を開けて噛み
ちゅぱ ぺちゃと音を立てるから
嫌いだ

おばさんは怒るとき
にこにこ笑顔と
とげとげ言葉を使ってるから
嫌いだ

おばさんは笑うとき
お母さんの
泣き声と区別つかない笑い声で笑うから
嫌いだ

おばさんはしゃべるとき
早口で何度もしゃべり
おばあちゃんが考えているのに
ぼけて忘れたと思い
バカにしたような言い方で催促するから
嫌いだ

おばさんは普段
何をしているときも早口で独り言
日本語特有の
主語のない
あたしたちへの話しかけをしているのかも知れないけど
あたしはシカトする

2003年03月17日(月)



 悪夢


みんなが
はさみで
はじから
ぶっつん
ぶっちん
音立てながら
無抵抗に
ばらばらに
なっていく
切られていく

けど
みんなは
笑っている
楽しそうに

わたしは
かなしばり
動けない
見ている
切られて
散った
髪の毛を
下に
落ちた
指先を


後ろにいた
邪悪な
悪魔が
首筋に
漆黒の
はさみの
刃を当てた

2003年03月16日(日)



 


あたしの周りは
殆ど黒で出来ている

他には
ちょっとの濃すぎる灰と
切れた皮膚の赤

小指の白いところと同じくらいの
黄もあるよ

2003年03月15日(土)



 トメル


誰も
楽しくないことは止めればいい

あたしだけ
楽しくないことは我慢する

他人が
楽しくないことはしなくていい

明日が
卒業式なら病めたらいい


そんなに
したくないなら辞めるべきじゃない


いけないと
わかっているなら止めようよ

2003年03月14日(金)



 BYバス


過剰に神経質
異常に心配症
言動筒抜け
喇叭に豆腐
特別花火
湯呑みは花瓶
フード被ると
横見えず

2003年03月13日(木)



 後悔


守られないなら
約束しなければ良かった

叶えられないなら
願わなければ良かった

勝てないなら
挑まなければ良かった

終われないなら
始めなければ良かった

先を見て
後を振り返る

現在があって
過去を見れる

対象があるから
比較できる

不幸だと感じられる人は
幸福だった人

2003年03月12日(水)



 編集


父に貸した修正ペン
弟の生徒調査にあった
母の携帯番号や
母のメールアドレスを
消していった
白い液
修正したあとが良く分かる
一度は書いたのに
なんで消したのかな
なんで消すのに
書いたのかな
どんな気持ちで
書いてたのかな
消すきっかけは
なんだったのかな
色々考えながら
何も考えない風を装って
ペンが返されるまでの間
普通の会話を過ごし
横で
母の名前とか
家族の欄に書かれた生徒との関係とか
緊急連絡先とかが
消されていくのを見ていた

伯母さんはもう
書類上では家族なのかぁ

2003年03月11日(火)



 処方箋


処方されているお薬
低いランクから始まった
嘘付いて
効かないって言ったら
もっと強い薬が出てくるだろう
本当に
効かないって言ったら
ワンランク上の薬が出てきた

この間は2倍飲んだ
この間はお茶で飲んだ
この間は炭酸飲料で飲んだ

いっぱい咽たくらいで
倒れたり
血を吐いたり
気持ち悪くは
ちっともなんなかった

嘘を付いて
もっと強い薬が手に入れば
それも叶うかも
また夜眠れなくなりました
そう言ってみようかな
ツーランク上くらいは貰える?

2003年03月10日(月)



 言葉交わす


ごめんね

まにあわなかった

さようなら

もうあわないね

2003年03月09日(日)



 貰おうか


これは人質です
あなたが返してくれるまで
大切に預かっておきましょう
私がこれを持っていることで
お互い忘れないで済むと思っています

人質は返しません
あなたが返さなければ

2003年03月06日(木)



 両手で指5本だったあの子


記憶とは
実に曖昧

思い出そうとしても
はっきりしなくって

実際
再現して
やっと甦る

階段を登る音も
思い出せない

服の色も
思い出せない

手の形も
思い出せない

あえるところにいるなら
あえばすむのだけれど

2003年03月01日(土)
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