ゆれるゆれる
てんのー



 わからん記

「人類の総知識量は一定である。しかし、世界の人口は増加し続ける。」
むかしマーフィーの法則というのがはやったことがあって、僕を知ってる人はたぶん分かると思うけどそういうの僕も大好きなわけで、そのなかの一つが今日は一日中頭の中をぐるぐる回っていた。
 この「法則」だけは何年たっても不思議に覚えてて、よっぽど自分の中でウケたんだなあと思う。
 まあ「田舎の道で、右折しようとすると対向車が来る」なんてのよりは気が利いた法則だとは思うけどね、しかしどこかに嘘があるのを見抜けないのがすばらしいところ。

 最近、日記に書くことがなかなかないのは、毎日がつまらないからじゃなくて、ほんとに日記に書くようなことを書いていないんじゃないかとしみじみ思う。

「私の本当に好きな人は実の兄なんです」ということだけを毎日つづる日記とか
「今日は××くんについに告った! すごく困った顔してた」なんて日記を読むのは下世話ながらとっても楽しいんだけど、それ以上にすごくうらやましい。
「グローカルに!」と、母校のO総長は臀部を震わせておっしゃっていました。
 俺もマレーシアからよりグローバルな視点でかつローカルに、そしてめちゃめちゃドメスティックに日々をつづろうと決心した次第です。うそ。わけわからん。
 とりあえず今から徹夜。うおー明日のクラス逃げてえ。

2003年02月28日(金)



 トイレでむなしい洗濯

 学校近くの安くてうまい「成功海鮮飯店」(サクセスと呼称)でワンタンミーを食っていたら肩にぼとり。
 ハトの糞じゃワレ〜! ふざけんなやボケっ!
 そんな一日でした。
 あ、あと先月までカンパニーレッスンで教えに行っていた寿司レストランの会社から僕宛にオリジナルカレンダーと手帳(寿司の割引券入り)が送られてきた。嬉しかったがまさかこれで帳消しとか言うな神様。

2003年02月27日(木)



 みっかぼうずと

 今日は何もしなかった。ほんとに何もしなかった。
 日記をまとめて載せてみた。日本にいたときのやつ。1月末から2月6日までとりあえず、です。

2003年02月26日(水)



 最近すさまじく暑いですが関係ない話題

 気がついたら女性二人との共同生活も8ヶ月目に突入している。
 ドラマみたいにいろいろ事件が・・・起こるはずもなく、むしろどんどんキャラ的に勢いを失って(汗)いるような気がする。恐いことだが、なんとなくぱさぱさした爺さんみたいな気分なんである。自分で言いたくもないが毒がさっぱり抜かれてしまったようだ。
 毒と言うのはつまり誰かのプライベートに対する興味だとか、逆に自分を少しでもよく見せようとする見栄だとか、そういうことですな。ええ、自分でもつまんないキャラクターになったなと思いますよ。前は全ツッパでかっこよかったなあ。

 マレーシアには日本人がたくさん住んでいて、KLの山の手にあたるダマンサラやモントキアラあたりでは石を投げれば日本人に当たるほどだそうだが、この日本人社会というのがどうにもせこくて、日本の団地や社宅のどろどろと農村のプライベート皆無もろばれ状態が入れ混ざって、村八分などというむなしいしきたりが横行していると言う話を聞く。「狭い日本」から飛び出て、土地がいくらでも余ってる国の狭いところでこれじゃあね、と思うが、人のことなど笑えない。

 マレーシアで友人(本来の意味で)、と呼べる人間が僕にはただの一人もいないことに今日、気づいた。なんともむなしい発見で終わった一日だった。断っておくが周りにたくさんいる知り合い(日本人、ローカルを含め)のせいではない。僕の問題なのだ、それくらいは分かる。

2003年02月25日(火)



 むだい

 えらいすんません、酔っ払ってるので今日は勘弁。
 あることないことしゃべりそうになって恐いです。酒がね。自分がじゃなくて。悩みなんてたいしたことねーよー。
 アホで生きていこうよー。

2003年02月24日(月)



 Cool Runnings!!

 今日は朝早く起きて、川下りに行ってきたのです。
 でそのことを書こうと思ったんだけど、ホームページにのっけちゃったのがあるし(すっげー疲れた)、そっちを見ていただけたら(ここです)。

 めっちゃおもろいわー。ゴムボート欲しくなった。

2003年02月23日(日)



 馬鹿です。馬鹿がいろんなことを言います。

「外に出ると内がよく見えてくるとはよく言われることだけれど、たしかに、日本という国がやけに特異な国に思えることがあります。」

 これは、ケニア、ソマリアなどまるっきりちがう文化圏に飛び込んだ(そしてそこに適応できる)人だからこそ思うことで、言っていることは明治時代にパリやベルリンへ行った国費留学生が言うのと同じ意味合いだろうと思う。違うのは、明治の人たちは凄まじい劣等感につぶされそうになりながら、先進の文明を学ぼうとしたけれど、今日本人は世界中にあれやこれや教えに行く立場だということ。
 そしてここにこそ、敏感でいないといけない。革命家でもない限り、自分の国を特別劣った国と考えて得する理由は何一つない。
 それに、とにかく日本の外でこれを感じたということが大事で、日本に住んでいながら「俺の国は絶対変な国だ、なぜなら・・・」なんて言うのは完全に、お前が変だよ、なのだ。

 僕がマレーシアに住んで一番驚いたことは、あんなに日本って特異な国、日本人って異常な人種だと思っていたのに、ぜんぜんそうじゃなかったってことだった。学校を出て、就職して、車買って家買ってガキ育てて、老後の積み立てをして、休みに何するか家族で悩んで。何の違いがあるんだ?

 早い話、中学生の悩みだと思う。「私って変かな?」「普通でいたいだけなのに」「みんなの中で浮かないように」、あ、中学生だけじゃないか。学校でも会社でも、病院でも町内会でも。
 別に変でもなんでもないんだよ。なんでそんなに日本を独特な国にしたいのかな。気持ちは分かるけど、それはすぐに一部分を「日本は特別な国」と変えて宣伝に使われかねない発想だ。
 日本はたしかにいろいろ独自のものを持っている。それは、世界中の地域がそれぞれ独自のものを持っているのとまったく、同じ程度に。特異さとしては、この「変な国志向」くらいのものだ。

 それから、みんなが大好きな言葉に「極東の小さな島国」というのがあるが、こんな言葉を流行らした奴には「氏ね」と言いたい。世界地図作っちゃ自国を真ん中に置いておきながら「極東」というひがみ根性も泣かせるが、とりあえず「小さな島国」という表現はレトリックどころか大嘘である。小さいといっても面積、人口、影響力といろいろ考えられるが、面積などこれで小さいと言っていては猛反発を食らうだろう。日本の興味のある国(大好きな国、脅威になる国)がたまたま日本より大きかっただけの話だ。日本よりだいぶ小さい韓国、マレーシア、イギリスの人たちが自分たちを「この小さな国の・・・」なんて言っている話など聞いたこともない。シンガポールくらいじゃないとサマにならない台詞だろう。人口は文句ないだろう、国連に200近い国がある中で堂々7位の、たいした「小ささ」だ。影響力・・・これは「志向」の問題で、「気は小さくて力持ち」の大男はいつでも内弁慶、はやりの言葉ならDVまがいになりかねないものだ。実際、今はウチとソトで世界は「ソト」だから小さがっているが、いつ世界も実は「ウチ」なんだと気づかないとも知れないのだ。またこのごろは日本という「ウチ」で「日本的なるもの」がずいぶん威張っているようだが。

2003年02月22日(土)



 人生の教典

 高田純次『人生教典』読了。高田純次のすごさを実感した。
 分厚いのになぜか30分で読みきってしまったが、タレント本と笑ってはいけない(この本のどこにも笑うところがないという突っ込みはともかく)。彼のプロ根性はちょっと怖いくらいだ。
 高田純次っていつ見ても、何やってても、80年代の匂いしかしないような気がする。彼が口にすると「たまごっち」も「SHOW BYショーバイ」も(何それとか言われるのでおっさんトークはしたくないんだが)80年代の物としか思えなくなるのが不思議。何から何まで80年代な高田純次、大好きだーーー。
 ひまな話ですまん。ちかごろ自分のページより他人の面白いページが目に入って、俺はいいけど、ここを見てくれるみなさんごめんなさい。
 この日記もenpituで借りてるんだけどさ。トップの日記なんて一日4000アクセスだよ。読んで納得、かないません。おもしろいっすね。
 他人の日記覗き見なんていい趣味じゃない。まして日記を見せて一人悦に入ってるなんて変態に近いと思うけど。変態も大好きだーーー。

2003年02月20日(木)



 ひったくりに遭遇!

 授業が終わって、以前の学生とUSJ12にあるオープンエアの店でお茶など飲んでいた。
 目の前を歩いていた女性を、2ケツのバイクが追い越す瞬間・・・バイクの後ろに乗っていた男がひょい、と体を傾けて、まさにあらよっと、といった風に彼女のハンドバッグをもぎ取った。バイクはそのまま走り去ってしまった。
 彼女は悲鳴も上げず、黙ってちょっと走り出して追いかけたが、どうにもならない。店中の客が見ていて、「アイヨー!!」という中華な悲鳴がこだました。ひったくられた女性がずっと黙っていたのが気になった。
「USJは危ないです」
と、リムさんが言った。治安がどうこう言われるマレーシアでもひったくりがちゃんと驚くべき事件のままであることにちょっとほっとした。
 ちかごろちょっと油断気味だったので気をつけなければ。ねえ。とられたらパニックもののかばんしか持ってなかったからびびった。

2003年02月17日(月)



 今日は残念ながら愚痴です。

 周りの誰にも言えない悩みがあるのって、憧れていたけど、どうもならんな。(期待させて悪いけど恋愛ネタじゃないです。)
 人身の自由、に関係。労働条件に関する問題は当然マレーシアの法律によるんだろうけど、買わなきゃいけないのかなーそっちの専門書(マレーシア国内法についての、日本語の解説書)。悩んでいる人が多いのか、ビニールがかかってて立ち読みできない上、高いんだよなあ。てゆーか俺の状況もかなり切迫してるのに、(やっぱり後略)。おのれの不勉強を痛感しています。
 実生活でも相談できない。かといってウェブでさえも難しい。
 日本語教師のありとあらゆる相談を受け付ける掲示板があってですね。でも日本語オタク・日本語教育オタクががんばっていて、かなり二の足を踏むんですね。どこの世界でも真実は寡黙なものなんですけどね。

 関係者、読んでたら知らん顔でお願いします。なら書くな、か?

2003年02月15日(土)



 えすてぃー

 バレンタインデーなんだって。世界中は。
 親切で「バレンタインデー」の下に「St.Valentine's day」って書いたら「先生、"St."は何ですか」だと。俺は日本語の教師だというに。
 今日は欠席ばっかり。何やってんだまったく。で来てる学生に「今日は何をしますか」って聞いても「うちで晩ご飯を食べます」とか。暇だからクラスでも行くか、ってことかい。先生へこむ。とか言いつつ当然「わたしも」なんてせつないリアクションをしちゃうんだけど。
 今日の謎。学生いわく。「先生、明日はチャイニーズバレンタインデーです!」だって。何じゃそりゃあ。何をするのか聞いてみたら「わかりません」。何やねん。突っ込みどころ満載なのに落ちがないんかい。じゃあなんでそんな話題ふんねん。?マークばっかりの一日だった。

追伸、でもほんとに、チャイニーズバレンタインデーなるものの正体をご存知の方、ご一報を。

2003年02月14日(金)



 なんといふ

 いい人で終はつてもよいといふ負け犬の覚悟。
 死ぬときに後悔してもそれはそれでもう、いいやうな気がする。これだけ楽しい時間をすごしてゐるのだから。
 さうだよ臆病になつたよ。何とでも言へ。

2003年02月13日(木)



 庚申

 今日はなんだかよく分からないが祝日だったので、あちこちから叱咤されていることもありサイトの更新に努めた。・・・はずだった。
 でも結局できたのは正味1トピック。なんなんだろう。書きたいものも写真も、いっぱいあるのにねえ。そして時間だけがないのにねえ。あー、がんばります。
 今日は珍しく実際的な話題だと思わない?(^^

2003年02月12日(水)



 大論戦

 日本料理シンパとして洗脳されてしまった俺は朝から味噌汁とご飯などを食べてしまうのでした。分かりやすい奴だ。
 ひさしぶりのクラスだったのに、学生たちは予想外にしっかり覚えていて逆にうろたえてしまった。
 相変わらず、クラムボンの公式ページではごうごうの大論戦。どうぞ気の済むまで存分にやるがよろしい。当局(笑)が介入するのはもう少し待ったほうがいいだろう。初めてこのBBSを見た頃の、ふにゃらけ気分がかなり混じった空気からは意外に遠くまで来てしまったのかもしれない。そして、だからこそやっぱり、クラムボンの「ブレーク」はそこまで来ているのだ、という確信がある。それがいいか、悪いかは大した問題ではない。ブレークしないかもしれないし、したときにもちょっと鼻の高いファンで居続けることに変わりはない。
「ごめんねすればまた、明日も仲良しこよしなのにね。」
“癒し系”だと? そういう二重のアイロニー、嫌いじゃないな。ただの皮肉として読めば、こんなに人を馬鹿にした話もない。クラムボンの詞的世界のとりこになった20代の男の、ただの繰り言。

魚の群れが横切って 誰でもどこかへ流れてく

 また会えるなら 今夜は何をうたう

 あなたと世界のすべてを見ましょう


”華香るある日” by clammbon

2003年02月11日(火)



 でいりーらいふ

 またこのごろは特に暑くなったらしい。
 「日本」「実家」なんていう「刺激的な非日常」は終わり、今日からはなんと言うこともない「つまらない日常生活」の再開だ。ナン食って、おかゆ食ってバクテー食って、へたな英語の繰り言して。
 いやあねえ。
 それで今日はとても大事なことを心に取り決めたので、感傷的になって中国のビール「燕京啤酒」をかっくらった。中途半端なことにならないよう、全力を尽くすつもりだけど、「夢を追う」とかそういうことは・・・。
 できることはできるうちに始めなさい。年齢なんか関係ない。
 必ず、できなくなる時が来る。さんざん好き放題やってきた人間が、年貢を納めるときが来る。
(と見せかけて、ふいに「ぽっ」と突発的に行動するのが、また痛快なんだけども。)

2003年02月10日(月)



 千葉県成田市

 日曜日の午前7時半、新宿歌舞伎町。
 まるで悪くない場面設定だ。気温5度。悪くない。左官屋がやってきて青色のペンキで昨夜のごたごたをぺったりと生き埋めにしたみたいな、そんな肌寒い快晴だ。
 ひとりですたすたと歩いていく。歩いているのはカップルと飲み明かし組。寝ているのはホームレス。それを見ているのは毒々しく着飾ったおばさん。彼女の見つめ方がアジア的なのに心を動かされる。こうして力いっぱい見つめていれば、きっとこの不潔で見苦しい浮浪者たちが美しい日本から消えてなくなるだろうと信じているかのような――。僕は僕で、こんな東京の美しい冬の朝に、圧倒される思いでいる。
 最後の朝が明けた。マンガ喫茶のインターネット個室を這い出てから、そこがいかにもふさわしい宿だった気がして、また来ようなと振り返ってしまった。
 成田で? 前回と同じように、和幸でとんかつを食べるほかに用事も思いつかず、きわめて静かに、非常に無駄な時間のかけ方をして、冬から夏へ引っ越した。午前中に空港に入り、夜9時半にうちに着くなんて、無駄だろう。その間も、まったく何もしないのだ。あ、斎藤美奈子『妊娠小説』を読了。ついでに残りわずかだった金子光晴『ねむれ巴里』も読了した。この二つをつなぐキーワードは「病理」である。
 うそだよ。どっちもおもしろいんだけどそれはうそ。

2003年02月09日(日)



 山梨県勝沼町 甲州高尾山

 日本満喫ツアー、最後のメニューは冬の里山あるき。
 足元は普通の街グツで、しかも完徹状態で参戦というナメキッタ山歩きだったけれど、春めいた陽気でほとんど最高の気分でした、というのも日なたなんか汗ばむほど暖かかったのに、見渡す山々はばっちり雪山だったし。生まれて初めて氷結した滝なぞという素敵なものにも出会えたし。またあの「ぶどうの丘」とかいうところの温泉で昇天できたし。

 夜は当然大打ち上げで。あんなものこんなもの、あと一年くらい不満が出ないようにたんまりいただきました。日本最後の夜は、寝不足に酒でぐるぐる回る夜景とともに更けていったのでありました。

2003年02月08日(土)



 「猟奇的な彼女」 東京都千代田区日比谷 シャンテシネ1

 楽しみにしていたことのひとつが「映画」だ。えらべるということはすばらしい。
 いや、だから言ってるでしょ、ハリウッドがどうとかミニシアターがどうとか、ではないって。俺が咬みつくのは「〜系」とかいう腐れネーミングだけだよ。「勝手に決めんな。」あーまたいらいらしちゃった。
 で大事なことは映画を見たということ。今回は「猟奇的な彼女」です。
 100点さしあげる。(なお満点は「アメリ」以来。)
 くくくっ、と、僕を吸い込んで、終わったあとは「ぽかぽか」より少し熱い感じの何かが胸の上のほうに居すわっている。とてもよく考えられた頭のいい映画だし、チョン・ジヒョン(だっけ? 主演の女の子)にはすっかり恋心を・・・いや失礼。
 でもほんとにcleverと形容したい爽快な映画でした。(これが日本映画だとすぐ「はあ?」って展開にしちゃうんだよな。)なに、ストーリー? そんなの調べなさいね。もう小学生じゃないんだから。
 前半戦は「つぶ貝」かな、ふつうに笑っちゃった。最後はかなりぐっときた。いや、よかったよ。


2003年02月07日(金)



 東京都渋谷区道玄坂

 夕方新幹線で東京に着く。思ったよりお金を使っていない。東京のどこが変わったかなんて発見できたらいいのにと思うがそんなわけもない。
 うまく左側に座れたので、静岡で見えた夕焼けの富士山は素晴らしかった。こんなに大きいのかと、見ていて体がぞわぞわした。言葉がいらだたしくなる瞬間というのが、ときどきある。

2003年02月06日(木)



 広島県戸河内町三段峡

 絶対行こうと思っていたところ。この渓谷は実は『Lonely Planet : Japan』にも載っている。この欧米人向けガイド、広島についてはけっこう辛口の紹介しかないが(「原爆資料館の見てくれはまじで冴えない」「観光化された宮島へ行きたきゃ勝手にどうぞ」など)、三段峡はずいぶん好意的で、まあよく調べたもんだと思う。
 おととしの秋に久しぶりに行って、清冽な水と切り立った花崗岩の美しさを「発見」してから(子供のときはなんで何も思わなかったんだろ)、なんとか写真に撮ろうと思っていた。

 JR三段峡駅は終着駅だ。可部線は広島駅から大田川の左側を北へ走るが、途中の可部駅から先はこの秋に廃止される。だから今年何もなければ、僕が次に帰国したときにはここは廃線になっている。行かなきゃね。

 なめきってました。普通に雪でした。踏み跡をたどってちょっとでも行こうと思っていたけれど、駅前がちょっと雪かきされているだけで、その先の渓谷はいっさい踏み込めず、積雪は20センチもあったでしょうか。しかたなくそんな雪景色だけ写真に収めて、でもマレーシアで見せるにはいい記念になったはず。



2003年02月05日(水)



 広島市中区本通

 マレーシアで見せるために広島の写真を撮ろうと思っていたが、実際戻ってきてみるとさっぱり撮る気がしない。だから今まで撮ろうと思わなかったんだなと再確認するのがせいぜいだ。どうもありふれた町にしか見えてこない。
 でも、明らかに僕を育てた町で、この本通を歩くときは他のどんな繁華街を歩くときとも違った、わくわくするような、きらめくイメージがある。
 これが、この気分が、地元ということかもしれない。
 記憶、だろうな。そう旅人には何もないということです。

2003年02月04日(火)



 広島市A区

 ばあちゃんのうちへ行く。ばあちゃんは僕がマレーシアへ行くことになったとき、シンガポールの北であると言うと「あんたシンガポール言うたら戦争中に日本が攻め取ったところじゃろ、大丈夫かいね」と誰一人してくれなかったような心配をしてくれた人だ。
 じいちゃんの一周忌を終えてから楽になったのか、目に見えて以前以上に「トリ年生まれのような」忙しがりのばあちゃんになっていた。

2003年02月03日(月)



 広島県大野町

 吉和村のめがひら温泉へ行こうとKと朝から出てみたが、かなり手前で当たり前のように雪道になり、ノーマルタイヤでは上り坂をどうすることもできず、途中の冠温泉で妥協する。といっても道の駅だから新しいし、露天に出れば周りは雪景色、そこへ雪が降りかかってきてなかなか風情がある。が高い。

 昼には戻ってきてしまったので、今日は大野町でカキ祭りをやっていることを思い出しまたプジョードライブへ繰り出した。ただしこちらは出たのが遅かったせいで、着いた頃には「殻つきカキ網焼き1万個無料!」など3000年くらい前に終わっていた。あちこちで「カキめし? とうに終わったわいね」などと切ないせりふをあちこちで聞きながら、それでもなんとか有料の殻つきにありつく。200円で大振りのを3個だから東京辺りでは考えられないだろう。「おう、こりゃあちぃとコマイの、も一個おまけじゃ」とサービスしてくれたおっさんの顔を忘れない。

 であまりに中途半端な気分のわれわれはかえり道のTというカキ専門店に吸い込まれた。海砂利水魚改めくりぃむしちゅうなどがサインを残していた。カキめしに復讐を果たしたりして満足して店を出るとその店の宣伝文句は「うちは年中カキ祭り」だった。すべて仕組まれた世の中にもいつか復讐してやろうと思う。
 Kは夕方颯爽と岡山へ帰っていった。

2003年02月02日(日)



 岡山市

 Kはサークルの同期のトップをぶっちぎるオヤジ体形化に驀進している。はるばる帰ってきた俺をコンビニで待たせたままいつまでもマージャンをやっているからそうなるのだ。
「いやー役満あがったら抜けらんなくなってさー」
今まで何度、この手の言い訳もしくは自慢を聞かされたことだろう。

 昨夜はライブが終わって即行で新幹線に飛び乗り岡山まで来たのにこの手荒い歓迎。今朝も起きたら朝飯からラーメン屋である。まあ11時過ぎてたし、うまかったからいいけど。

 帰ってきたら実家まで遊びに行くよ、と言うKのところへ寄ったのはもちろん広島まで乗せてってもらえという下心のなせる業だが、当然K好みの話がここでもついて回る。今日が納車だそうでディーラーまでお供する。プジョーのなんとか206とかいう小さな車で確かに感じのいい小粋なやつである。

K「キャッシュで思い切って買ったんだけどさー、親に言ったら怒られちった、『アンタ将来のこと考えてんの!?』って」
K「慣らし運転しなきゃいけないのに、いきなり広島なんて無茶だよー」
K「いや今日は絶対3000回転超えないから。大事に行くから」
K「ノイズがちょっとあるなあ。つうか3000で抑えるとちょうどスピード的にもいいんだけど。ヨシ今度からこれで行こう。人生3000回転で」
広島までの200キロはK節全開であっという間だった。もちろん音楽はKが最近いちおしのUAとPE’Zである。おずおずとクラムボンも滑り込ませてみたが圧倒的に無反応であった(−_−

 ひさびさの実家、あきれるほど何の感慨もない。夕食はカキの土手鍋。そううちの辺りはカキの産地なのですね。一年で一番うまい時期で、これがでかくてぷりぷりでちょっと涙物でした。ビールが進む進む。カキ雑炊なんてアナタ、旨さ知ってます?

(地味にクアラルンプールでカキ食ったせいで緊急帰国したという先輩の先生の話を思い出して申し訳なくなった。マレーシアで「しょーもない」カキを食うほど無鉄砲にはなれない)

2003年02月01日(土)
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