『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2008年03月25日(火) やわらかな釘。

ちいさくなれ

ちいさくなれ

ちいさくなれ

あたしを喰い荒らすこの生き物の心地、
心臓から這い出してどこまではいずり回る
縛るより足跡をのこすだけで
もう、あたしより巨大に育つ、朝、
あかるいなかで目をあける

また、ここにきた。

あかるすぎてざんこくなひかりの
ひややかなぬくもりを抱く錯覚を
視野いっぱいに拡げて
また、うごかない
てあしが
こごえていく気配でみちていくのを
縮こまりながら留められない、あかるさとひかりと新しいくうき
からっぽになりかわってゆくのを

あたしなんてちいさくなれかるくなれ
食い破るあなの、それでも消えてくれないのは
今からでもはっきりとみえた。

それでもねがってしまう
しあわせとかふしあわせとか関係なしに
……消えたい
そんな単純すぎてせかいを貫くことば
あなたを
どこまでか墜落させるひとつき


たすけてとか
そんな軟弱で計算尽くしのうめき声
騙されてくれるだれか
だましてくれる誰か
このひかりのどこかにいるのだろうか



ふはり笑う。
つめたいはるの朝に手をのばして


左手の指輪おとなしくひかる。



2008年03月11日(火) 半壊ブロック。


難破船みたいだ。

難破船。



泳げないのに。
海なんてべつに
眺める以外は今はいいのに。
どこまで流れていくの行く先不明のまんま
気がついたら、解き放たれた縄、切られた綱、
ぐらぐら揺れている。


このからだにはあなたがたの手が腕がとどかない?
うっすら、わらう。
泣きたいんだっけ、どうなりたいんだっけ
慰められる資格はなく
でも、あたたかいものに触れたく、、、

我儘野郎。


嵐のような「儀式」がおわって
腑抜けた一匹。
くりかえしても
きみは寝息をたてている
せかいの向こうのほうで
やすらかに眠って
朝まで。


助け手があるように思えないぼくが時経つごとに
勢力をわずかずつ、強めてく。
暴れても。
暴れても。

一人ぶんの船が、水をたぷたぷ揺らしながら
灰色の小雨のなか、きみを離れあなたを離れ
いってしまってたんだ。


海へ出るつもりなんてなくて
なのに、それだけど、気付いたら


灰色の雨と、濡れそぼった意識と
身体のどこを伸ばしても触れようとしても
なんにも、さわらなくて遠いとこに
流れだしてしまう。とめる方法わからない……


姿を消したいが回る回る回る、意識だけ
流れていって止まらない。
からっぽだ。手繰り寄せなきゃ早く早く。
なぜ?
これ以上きみをかなしませたら
ぼくはほんとに、難破して朽ちる
役立たず以上のものに変わってしまうだろうから、だから


灰色の水、灰色の空、
からみついて取れない……けど。



2008年03月08日(土) モーニング・ジンジャー・ガール。

白い本
ガーゼのマスク
さらさらな紙の手触り
ちいさなウサギ
赤いビーズ
見慣れた錠剤
あったかくきいろな白熱電球
誰かの寝息

およそあたたかいやわらかいものに囲まれて
守られて?

でもさむい。

こぼれおちるのはそれらではなくて解体されたあたしのしずく
考えないしずく

網を
用意しなくちゃ探さなくちゃ
いつかは持っていたんだから
たぶん


眠ったら、もう目をさましたくない
起きたら、次の日になりたくない
そのまわりまわりをぐるぐると回転している

せめてドーナツリングでなくて、螺旋だったら、いいだろうか


「しんでもいい?」

尋ねるのはNOと言われていたいから
そちらへ、そちらへ
強く縛り惹きつけられる必要があるから
あえて言葉なんかに、する。
あたしのあやふやを駆逐して、箱の奥に沈めるように


ながいき、しようね
って
はからずも「みなしご」になっちまったあたしときみは
唯一、笑わないで笑い飛ばさないで
言った。

それは嘘じゃない、または、一生つきとおす気合いで吐く嘘だ。

………………だから?

やわらかいものも
したしいものも
からだを擦り下ろすようならば

耳を塞ぐ
静けさではなくて無関係な音がずんずんと
あたしに浸出をして、そうして
笑えるあしたに醒めるまで

許してもらえなくても


バイバイって
今だけ。



2008年03月04日(火) 春、曇天。


東京のそらは星がすくないね

また、荷物をかかえて暗くなった上をみあげて
いまさらながら思う、ほしがすくない。
見えないだけと言われても、でも
毎日みているひかりが急に乏しいのは、なんだか
さみしかった


花の手入れをする
萎れてきた花の手入れ。
鋏で落としていく枯れた葉や花のカケラ。
うなだれたガーベラを集めて挿しかえて。

お線香の匂い。
たくさんな、こんもりの、白菊です。

…それくらいであたしはおしまいなんだな


風船の糸が手放されたように
あっさりと、「あたしのところ」がなくなって
居候、になっていた。一週間うちに戻っていたあいだの
一緒でなかったこと、はこんなふうに大きくて重い。
しらなかった。
淡い幕が、ここにも下りていった。

もともと地面にはついていなかったのだからしかたないやねと
一人で納得しようとしている。

ばかなこいつになにか言ってやりたいが
今は、よく台詞が思い付けないんだ。


あのひとに会いたいね
電話もしないけど
会いたいね。


…おかあさんの自転車のパンクを直した雛祭り。



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