『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2008年02月18日(月) たくさんの黒いろ。

モーニングワーク、喪の仕事。
場所をえらばないとできないんだな、って
いまさらながら、突き付けられている。

ここ十年くらい、いろんなひとをみおくったけど
ここまで限りなく当事者に近いのははじめてで
生々しいところに、どっぷりと浸かっているからだろか。
せんせいを休めないから少しだけ帰ってきたけれども
フツーに生活を営んでいる世界とか家族が異質なふうに見えたり
家人のありふれた質問に、心をえぐられたりして、いる。

近いひと同士でかたまって
やりすごしていくのが
とても、たいせつだって少しわかった。

そのなかで笑うとか。

半端な立場のあたしで、
婚約者のお母さん、なんて普通はどんな扱いでいるのだろう。
ただはっきりしているのは、今週には、
お母さんになるはずだったということ。

なぜかなあ

家族の扱いで黒い服で、あちこちで前に立っていた。
そうして一緒にいろいろなことを思い出してしまう。
あのひとのこと、あのひとのこと、いたるとこ。

でも今はとりあえず、また、相棒のいるところへ
荷物かかえて行く。
倒れることだけは自分にゆるさないよって
意味があるかないかわからない呪文をくりかえして
いるみたいな気がする。


電車の窓のそと、闇がおちて
ぼくの銀河鉄道が
ひがしにはしっていく。

さやさやと髪の毛をなぜるように。



2008年02月15日(金) 夜明かし、かりものふとん、ほのお。

みっかめ……?

時間がよくわからない、
還元しわすれた濃縮果汁を
ぎゅうぎゅうと飲み込むようだ
いらなくても


ふりかえったら

黒い服のあたしが、鏡にいて

その黒がへんに板についていて

何時も何時もそれから鏡をみたけれど

そのたび、板についていて

複雑に、嫌で嫌で良かったけど嫌だった。


礼服喪服、久しぶりのそいつ
するりとなんの抵抗なくあたしを包んだ…もしかして
サイズが合わないかも、なんか心配していたのはどうやら
心配と同時に、あわいきたい、だったらしい。

あのねおにいちゃん
あなたをみおくったこの服であたし
あなたと同じ歳になって
家族になるはずだったひとを見送るんだって
うそみたいだね


……嘘じゃなくて。


お線香を絶やさぬようにくりかえし目をさまして
しらない祭壇にもう何回目かわからない鉦をならして
あかるいろうそくから、また、火をもらう

寒い夜だ。

後悔は先にたたない。
悔やむのは、あとで。


起きたら、口内炎ができていた。
ほんとにたいへんなのはあたしじゃないのに
あたしの身体はあいかわらずやわにできている。
ばか。


あわてて買った黒い靴とかボレロのついた久しぶりの黒い服が
べつに、似合いたいわけじゃあ全然ないんだけれど
ないんだけれど……ああ鏡のなかにいるのはなんだか
なんだかまっとうな「大人」みたいだし。

何十回目の挨拶をしながら喉のあたりでかみしめている

悔やむのはあと、
思い出もあと、
泣くのはチガウから
後で、後で、

……お辞儀するたび黒い靴にが見えるわけ
履いたことないまじめなパンプスみたいなのがさ
子ども用の中敷き入れてやっとサイズ合わせてるにしても
そんなん、なにも関係ないんだろうからさ

そのたび
なにかから
とおくなっていく
気もする


あしたはなにをしたらいいんだろう

オトナの顔が落ちなきゃいいんだろう




あと何回、ろうそくの火をともせるんだろう



2008年02月04日(月) 春咲泡雪。

めをみひらいて
五感はフル回転、そんな
あたしには
さよなら

拾いたくない景色も
この眼はみた
ひつようのない音も
耳はさぐった
なにも言わない喉が
ここにできて
泣きたいのもわからないで手放しで
わらうひとりを繰り出して

耳をすませる
研ぎ澄ませる
ほしいものをふやせるように
なくさないように

からっぽを見ないでいいように

さよならを言うように
たたかうか

闘え。



あたしを見つけるのはたやすくないと笑えないことがらの染む
はるさきの迷路で空手でさがす、かわいた涙の行く先なんかを
生きるとか生きるとか死なないとかむやみに繰り返さないでも
息を、していけるように


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真火 [MAIL]

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