流れる水の中に...雨音

 

 

街を歩けば。 - 2005年02月09日(水)


今日 はじめて「赤ちゃん本舗」という店に訪れた。
言わずと知れた赤ちゃん用品の卸しの店である。
今日は出かけたついでに、会員カードだけをつくりに出かけたのだけれど
時間も余っていたので中をのぞいてみた。

その店は、昔働いていた場所の近くにあった。
同じ職場の男性の同僚は あいた時間をつかって
その店でお買い物などしていたから 昔から存在は
知ってはいたのだけれども、出産などということが
まだまだ現実の範疇には存在しないものだったので
私にとっては まったくの未知の世界でもあった。

フロアによって商品が分かれている。
哺乳瓶から紙オムツ、ベビー服、チャイルドシートやベビーベッドなど
赤ちゃんに関するものならば何でも取り揃えてあった。
私は 不思議なものでも眺めるように
階毎にぐるぐると興味深く観察しながらまわっていたけれど
観ているうちになんとは無くじんわりと涙が浮かんできたり
するのだった。
感激とは また違う。
上手く言えないけれど 
こんなに大切に可愛がって育ててもらえる子供は
幸せなんだろうなという気持だ。
私には予備知識もなかったし あまり深く考えたこともなかったから
赤ちゃん用品を揃える事に それほどの学習もしていなかったし
それほどの熱意もなかった。
私の傍らで 母が「ベイビーディオールのお洋服で揃えよう」と
喜んでいるのを後目に 私の心中は戸惑っていたのが事実だった。

帰り道 7年ぶりぐらいに 昔の職場の前を通った。
真ん前を通ることに気が引けたから
通りを挟んだ向い側の歩道から 歩きながら中を覗くと
昔よく 一緒に遊んだ男性の姿が見えて
思わず早足になった。
何故だろう。
妊婦姿の私を見られたくなかったのか
スニーカーなど履いてオフィス街を歩く私の姿など
彼の目に焼きつけたくなかったのか。


街は 7年前とは変わっていた。
あるはずの物が あるはずの場所になかったり
見なれない店やビルが建ち並んでた。
大阪証券取引所は 新しいビルに建て替えられていたし
お気に入りだった中華料理やさんは姿を消してた。

変わってしまったもの 失ったもの 得たものが
混沌として 今を作る。

一つ一つ整理しなければ 前へは進めない。




...

スポイル。 - 2005年02月07日(月)



この土日に また東京に旦那様と訪れてた。
彼は製薬会社に頼まれて 研究会に出席したのだったけれど
私は完璧にお遊びだった。
最初は行かないつもりだった彼なのだが
私が行きたいと我侭をいったから 嫌々ながら
参加してくれる事になった。
彼には休日がない。
土曜も日曜も仕事はある。
だけれども、私がこの身体のために1人での移動は不安だからと、
彼に無理をいって、土曜の仕事をキャンセルさせて
新幹線に同行させた。
もともとは現地集合の約束だったのに。

彼はほとんどの私の我侭を聞いてくれる。
どんなに無理そうに見える事でも なんでも可能にしてくれる。
今ここで 「私を昨日に戻して」と 彼にお願いしたら
きっと戻してくれるだろうと思えるほどに
なんとでもして できるだけの希望を叶えてくれようとする。
私はただ 彼にお願いさえ すればよいだけなのだ。
まるで巣で餌を待ち鳴き続ける鳥の雛のように。ぴぴぴ。

電球ひとつ切れたって 帰ってきたら付け替えるから
君は付け替えなくてよいという。
高いところに昇るのは危険だからと。
惚気に感じるかもしれないけれど そうではなくて
私は彼を可哀想に思う。
彼には楽をできる場所がないように思う。
何だか可哀想に思う。

少し前に喧嘩をした。
非は私には無いと 私は思うのだけど
彼は私に対して怒った。
私はいつもの負い目があるから 
大抵のことは 聞き流す耳になっているのだけれど
不当な罪を背負わされるのは不本意なので
「いつも私が大人しく黙っていると思っていい気にならないで」と
怒った目をして 言葉を投げ付けると 結局彼は謝った。
そして 言いたい事があるならば
黙っていないで これからは言いなさいと言った。
負けるが勝ちとも言うけれど
結局やっぱり 彼には勝てないなと思う。

とても世の中は不公平に感じる。
私はなんの痛みも苦労もしなくても 
全ての痛みを彼が背負ってきてくれる。
そうやって全てを背負わねばならない役割の人と
私のように何も背負わなくてもよい役割の人とがいる。
私は彼に そういう負い目を感じてるから
結局のところ 頭が上がらないのだ。
だからこそ 旦那様は私に尊敬され感謝され
労られているのだと思う。


今朝、私は母に怒りをぶつける夢をみた。
理由は単純なことで、しかしながら、夢の中でも
母に怒鳴った後、とても嫌な気分になってた。
起きてからも ずっと嫌な気分をひきずった。
母は 夢の中でも「そうねえ、そうねえ」と
私の怒りを受け入れてくれてた。


一方的に 愛情を与え続けてくれる人に
私はとても負い目を感じる。
多分私には何も返す力がないからだ。
そうやって 私はどんどんスポイルされて ひ弱になる。
そして私は彼等の支えなしには 生きていけなくなる。


私に首輪をつけるのは とても簡単なことだと感じる。
どんなに身勝手なペットも 飼い主無しでは
生きてゆけないのだから。








...




My追加

 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail