Kyoto Sanga Sketch Book
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2007年10月20日(土) |
【C大阪戦第45節】〜準備1日での初采配 |
10月14日の試合
星が放ったボールはセレッソ選手に当たる。 1点差で逃げ切ろうとする京都にコーナーキックのチャンスが来た。
試合は残り2分。
ベテランの秋田が最終ラインからベンチの前に走って来た。 彼がその手をゴールの方に差し出しすのが見えた。 何かをベンチ側に訴える。 ”臨時監督”の加藤久も彼の方に身を乗り出して、何かを叫ぶ。
秋田は納得して、ゴールのある方向に向かってまた走り出した。 その情景の意味をどれぐらいの選手が理解していただろうか。 今思うと。
京都はこの2試合、終了間際の失点で相手に追いつかれている。 今日も逃げ切れば良いはずだった。 「新」監督は選手の能力を引き出しうまくやっていた。ここまで。
京都は最近「勝てる」と終了間際まで思っていた試合を、 残り時間守備的に守っていながら連続してフイにしていた。 フィジカルの問題なのか、メンタルの問題なのか、戦術、 はたまた大きく現監督こそが原因なのか、私にはわからないけど。 とにかく京都は昇格圏内から落ちた美濃部監督を突然解任した。
監督交代の発表は試合の前日。 昨年の柱谷監督解任と同じくそれは「ショック療法」と伝えられた。 後任に就いたのは「次期社長」としてフロント入りさせた加藤久。
驚くことに翌日の試合、加藤監督代行はろくな練習のないままシステムを変えていた。 ディフェンスは秋田、森岡のベテランのCBに平島、中谷のSB専門要員が。 中盤は石井をアンカーに斉藤と角田と守備力重視で配され。 前線はアンドレを中心に、パウリーニョと徳重の3トップ。攻撃に専念させる。
だが、選手たちはこのぶっつけ本番を、うまくこなしていた。 流動性、連動性はなくとも、多分これは彼ら個人の適正に近かったから。 そして、セレッソの香川を中心とした攻撃的な中盤対策に有効だったから。
■ 前半戦
3ボランチを敷いた中盤は見事にセレッソの攻撃を封じていた。 奪ったボールはサイドに開き、前の選手を追い越し駆け上がるサイドバック選手が受け、 攻撃的な3トップは吹っ切れたように常にゴールへ向かっていた。
セレッソがボールを奪うことがあっても、京都にミスがあっても、 秋田森岡のベテランDF達が体を入れ、セレッソにシュートを打たさなかった。 特に従来の役割よりそれぞれ守備を軽減され攻撃に向かっていた 角田と徳重が生き生きしていた。
ついに前半25分。 右サイド駆け上がる平島からゴール前のアンドレへボールが渡された。 ゼ・カルロスに奪われたボールを右コーナー近くで強引に足を入れて奪い返す。 中央に走りこんだパウリーニョにパス。徳重も後を追っていた。 そのままパウリーニョが相手DF2人に挟まれながらもゴール! 京都1−0C大阪。
京都の攻撃が続いている。 セレッソのシュートはたったの1本。 前半戦は、最近の中ではほぼベストゲームだった。
ただ、打ち続けるシュートが決まらない徳重の表情が心配だった。 彼はファールを取られる。 試合を再開しようとするセレッソ選手の足の下のボールを蹴ってしまう。
徳重は前半終了後ロッカーに向かう間も、主審に抗議を続けていた。
■ 後半戦
5分のこと。 セレッソのゼ・カルロスの突破を徳重がブロックした。 そのまま徳重の左肩がゼを体を地面に叩きつける。 2枚目のイエロー、退場。ピッチを去る徳重。
加藤新監督のプランが狂ってしまったのは誰の目にも明らか。 10人になった京都はセレッソの攻撃に押し込まれ続ける。 右、左、そしてミドルシュートと散々に攻められる。
しかし後半31分。 10人の京都にカウンターのチャンスが来た。 角田が中盤で奪ったボールが右のオープンスペースへ。 受ける22番。 そしてゴールへ走り、迫る敵に右足で切り返し、左足で力強くシュート。 次の瞬間には、喜んで看板群を越えサポーターへ走り寄る大剛が見えた。 追加点!京都2−0C大阪。
勝利は目の前。あんなにゴール裏が騒いでいる(笑)
なのにその6分後。 あんなに中盤で攻守に効いていた角田が倒れた。 自身で×を出す。一度はピッチに戻るが足を引きずる彼に監督が交代を告げた。
今日の京都ベンチには守備的な控えは全くいない。新監督は愛すべきアホだ。 角田のいない中盤を制したセレッソ、17歳の柿本が得点したのはその直後だった。
星のとったコーナーキックに秋田が応じようと上がったのはこの数分後。 秋田は自身が示したゴールの方向に走って行く。 ベンチの新監督たちはそれを見送っていた。
だが、大剛の考慮のないコーナーキックは、秋田の頭上を越えて誰もいないスペースへ。 それをひろったのはセレッソの選手。 ゴールに向かってパスを繰り返すセレッソ。 セレッソ右からのパスを中央の選手がまたぎ、受けた古橋がボレーシュート。
その瞬間、古橋に向かっていこうとしていたのは斉藤だけ。 コーナーキックが仇になった。 京都2−2C大阪。 追いつかれて競技場は静まり返った。
終了の後、選手たちがサポーターたちの方へ向かう。 私はテレビのボリュームを上げて、サポーターの対応を知ろうとしたんだけど。 でも、サポーターの励ます歌と失点へのブーイングと労いの拍手とが、 もう全てぐちゃぐちゃ混じって、 何がなんだかわからない騒音しか聞こえない。 カメラはただ、ユニフォームをたくし上げて涙を拭い続ける大剛を映すだけ。
秋田と加藤監督代行のあのときの会話は何だったんだろう。 常識なら守りぬく時間であったはず。 でも、おっさん2人は京都の何かを変えたかったのかもしれないし。
サンガは良くなっている気がする。 私は「今日」の彼らの向いた方向はこれでいいと思う。 ただ、明日は私は、彼らは、一体どこへ続くんだろ。
翌日、加藤久新監督の今季限りの「監督業務」が報道された。 あたり前だ…。彼は監督業務よりもっと大切な仕事のために来たはずだから。
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