selenographic map
DiaryINDEX|past|will
どうやら傷は後から痛むものらしい。
苦しくて仕方なくて、嘘を吐いた。この上なく卑怯な嘘を。 人を呪わば穴二つ。どうにも立ち行かなくなるのは己自身かもしれない。
胸が苦しくて息が出来なくて、それなのに涙一つ流せない。辛くて痛くて、身体が動かない。 人から切り捨てられる苦痛がこれほどのものとは思わなかった。最初に切り捨てると決めたのは己で、でもどこかで甘い夢を見ていた。
ルールを撤廃すれば? そう言われて己の中に全くその選択肢が無かったことに気が付いた。 友達とはセックスしない。してしまったら切り捨てるしかない。それがルール。
キス。セックス。己自身の意志で。 そうして全ては鮮やかに明瞭に。可能性など無いと。呪縛が解けた。 愛されたいと望まなければ世界はこんなにもクリア。己は己の意志で誰を抱いても良いし、その相手に心を捧げる必要もない。愛されたいと望む必要もない。己は思うように生きれば良い。他人の気持ちなど己自身の幸福や悦楽の前では塵にも等しい。 己の世界は己の為だけにある。
はたと気が付いた。白くて綺麗な年上の男。今までのパターンとまったく同じ。 失笑。己は未だに呪縛から逃れられないのか。それとも自ら囚われたがっているのか。 独りでいるから惑うのであって独りでいなければ惑わない。週末だけのほんの少しの我慢。こういうとき、無趣味だと時間の潰し方に困る。
|