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彼女を抱きたいとかあの方を抱きたいとか、あの方に抱かれたいだとか、そんなことばかり考えている自分があまりにもみっともなくて馬鹿馬鹿しくて、その愚かさに情けなさがあまりにも哀れで、嘲笑うことも出来ない。 こんな馬鹿なことを考えているのは、身体が疲れて眠りを求めて、長らく慣れ親しんだ人肌のあたたかさを求めて、冷たくて寒くて淋しくて堪らないだけだ。[誰か]を求めているだけで、[あなた]を求めているわけじゃない。
己は求めるだけで与えることが出来ない。与えられる人間でもないのに与えられることを望んでしまう。そんな人間に何一つ得るものなど無く、人は去っていくのみだ。理性はそれを解している。感情がそれを納得しない。 逆説のように終わりが見えない。否、逆説のように真理を含んでいるかも分からない。それはメヴィウスの輪のように終わりも始まりも無く久遠ほども遠く。
信じる事、信じない事。どちらも同じく難しいと思う。心を預けてしまった後で疑う事も、その逆も。 第一印象で全てが決まるなんて思ってはいないけど、少なからずそういう事が有るのもまた事実だ。
幸せそうに腕を組み歩く彼らに嫉妬する己は醜い。 でもそれが当然。知らないわけではないから。頭では理解しているのに感情がそれらを否定する。 己は神の存在を、まったく信じていない。それは妄想に過ぎないと思っている。宗教とはその大部分が妄想と大義名分に彩られた権力に他ならない。信仰は習慣であり、拠所である。宗教以外のものだってその役割を果たすことは可能だ。 神が与える試練というもの。それが戦争であり、飢餓や貧困であるというのならば、神は単なる残酷なゲーマーだ。 思考が纏まらないのは荒んでいるから。この浮かれ騒ぐ世界に心が冷え切っていくのを感じるから。
求める人間は求められない。知らないわけではなかったけれど、突きつけられるとその真実が痛い。
女の子達と話した。彼氏持ちも好きな人がいる子も別れた彼と微妙な子も好きになるのが怖い子も皆それぞれに一所懸命で本当に可愛い。どうして男どもは彼女らのこの気持ちを、この姿を見ようとしないのだろう。どうしてこんなにも懸命に生きるいとおしくすらある少女たちを傷つけるのだろう。 でも己も彼らと変わらないのだと思う。結局即物的にしか考えられず、繊細で美しい彼女たちの心を土足で踏みにじる。彼らと同じでは在りたくないと思うその一方で彼らの複製、しかも劣化したそれになろうとしていることに気が付いて愕然とする。
酒は魔物のように己を支配していて、それは逆らえないほど日に日に強くなる。穏やかな闇のようなそれが己を抱きとめてくれるように思って、この寒さから拾い上げてくれるように思って、口づけずにいられない。
2002年12月18日(水) |
身に沁むは凍てつく寒さ |
最近付き合いだした彼女がいる。彼女の彼氏は共通の先輩だ。彼女は付き合いだしたばかりなのに、荒んだような言葉を連ねる。それでもやっぱり幸せそうだ。 最近好きだと気づいたと彼女は云った。彼女の好きな人は共通の後輩だ。もどかしいけれど、不安だけれど、片想いだけれど、それでもきっと今が幸せだろう。 冬だからなのか、それとも己自身の所為なのか、心が寒い。こんなにも寒い季節に己を温めてくれる人は居ない、それが故に。 [正直云ってサムい、と思った]と彼女は云った。[傍に行くよ]なんてメールを貰った彼女は云った。 末期症状。どんなに空々しくても、どんなに馬鹿馬鹿しくても、どんなに痛くてもいい。そういう言葉を欲しいと思ってしまった。
己の心は冷えて、荒む。人の幸せを妬むような真似しか出来ない。心が寒い。己が故に。誰の中にも己の居場所なんて無いから、そういう自分だから、それが凍てつく寒さになる。
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