三枝玄樹 毎日新聞社
このタイトルを見て、当然「読もう!」という気持がすぐに出てきたわけではないですが 何かの書評で面白そうな印象を受けたのと、書いた人が若い人だったので 興味が出てきて読んでみました。
ファンタジーです。 本当にこうなったらいいのに。 今だから、切実に思います。
そしてここに書かれている政治家の汚い話のほうがが ファンタジーだったらいいのに。 と切なく思いました。
でもきっと数年後に、この本のようなことが起きて あっというまにクリーンな世の中になって その後にこの本を読んだ人が、このお話が未来を案じていたのね〜とか 古い本だね〜とか思えたらどんなにいいかな〜と思う。
でも、そんな他力本願ではいけないのよね。 私も世の中の一員なんだもん。
ところどころ、読みにくく感じたこともあったけど お話が面白いので、読み薦められました。
結党!老人党
見に行ってきました〜
先に原作を読んでいましたし
いつものことですが、過度の期待はしていませんでした。
そのせいといってはどうかとは思いますが
案外、予想外に、よかったです。
金城武もよかった。
以前、彼を見てよかったと思ったのは、天使役だたので
人間外の方が私には魅力的に見えるのかも。
富司純子さんがステキでした〜
彼女のラストのセリフとか顔とかで
胸がいっぱいになってしまいました。
死神のセリフでダメ押し。
そういった部分でシンクロして見られる友人と一緒に見られてよかったです。
昨日、梅田ドラマシティへ星組「赤と黒」を見に行きました。 涼風真世さんが演じたのをずっと見たかったなーと心に残っていたので 演じる方は違うけど、やっと満足できた気がします。 舞台の感想はいろいろあるのですが
まず驚いたのは、自分の変化です。 私も年齢を重ねて、大人になったんだな〜と実感できました。 それは、中学の頃に「赤と黒」の原作を読みかけて 主人公・ジュリアン・ソレルに全く魅力を感じず 途中でやめてしまったと思うのですが 小説から舞台と媒体が違うので正確には違うかもしれませんが
でも、人物自体や物語は変わらないから、あえて言いますと ジュリアンが魅力的に思えたのです。 恵まれない環境に満足せず、努力をして、ナポレオンに憧れた故に 彼を目標にして、でも自分の道を行く。 時には、若さゆえの浅慮や過信でおかしな行動に陥るのも 「がんばれ!」と応援したくなってしまいます。
紆余曲折あって、やっとこさ、これ以上はない成功を掴むかと思った時に 過去の出来事により、転落します。
若い頃なら、その結末もいやだったと思うのですが 今の私には、受け入れられます。 彼が最後にその境遇を受け入れたように。
原作も読んで見たいな〜と改めて思えました。
貞淑な夫人から恋に身を焦がす可愛い女になったレナール夫人と エキセントリックな、社交界一の姫であるマチルドも とても面白いと思えました。
最近、本当に年を取ることの良さを実感するのです。
2008年03月15日(土) |
足りないものを補うってことは・・ |
補完?教育? 真面目にやっていても、与えられた仕事を言われた通りにきっちりとやっていても評価されない。 正直にやっているのに、評価されない。 そんな事が世の中にはある。
でも、それって自分の中での「真面目」「ちゃんと」でしかないのですよね。 その自分の評価がどれだけ世間に通じるか、それを考慮してみないとそれは独りよがりなものになる。 でもなかなか客観的に自分のことを見つめることは難しい。
私の仕事場のお掃除は週代わりで、いろんな方が担当する。 皆さん、それぞれに一生懸命にやってくださって文句はないのですが やり方や、その結果には差がどうしても出てくる。 標準並みの結果と、標準以上の出来上がり。 これは個人の性格・能力がどうしてもでてしまう。 同じ時間やっていても差が出てしまう。
真面目に、きちんと、やっていても 差はどうしても生まれてしまう。
もっとわかりやすい話を今日、教えてもらった。
知人が毎朝、通勤途中でビルの清掃をしている人をみかける。 毎日、毎日、玄関入り口、窓などをを実直にきちんと掃除していらっしゃる。 そのビルの玄関はピカピカなんだそうです。
しかし、それはその清掃している人の手の届く範囲だけでした。 どういうことかというと、その人の手の届かない窓の上の部分は全く手付かずなんだそうです。 遠くからみたら、それほど目立たないけど至近で見たら、 きっと窓の上の部分だけクッキリと汚れがわかるんじゃないかと思われるそうです。
この掃除する人は、自分の手の届く範囲、見えてる部分はしっかり、真面目に掃除するのですが 届かないところは、無かったことにしているのでしょうね。 最初から発想がないというか、わざとでなく、無いことになっているのではないかと思います。
何故、脚立や柄の長い道具などを用意してやらないのでしょう。 知人はそう思ったそうです。私もそう思います。 もしかしたら理由があるのかもしれませんが。
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自分の目で見える範囲で生きているってことはそういうことなんだと思います。 ちょっと遠くから見たら、わかることも多いのではないでしょうか。 そして、もし教えてくれる人がいたら。 でも、赤の他人、通りすがりの人が、そんな余計なことを言えませんよね。
社会人なら上司、先輩が、その人の仕事がもっとよくなる方法をもっていたら 伝授することが考えられますし、 就学中の子どもなら、親、先生がアドバイスすることかもしれません。
もちろん、教えたからといって、その人が素直に聞き入れるかはわかりませんけど。 でも、人生の差はそこから生まれるのではないかと思います。
私も決して素直ではないけど、周囲には手本になる人がいたり 窘めてくれる人もいたので、よかったと思います。 これでいいのか、不安に思ったら、どう思うか聞ける人がいるので 随分助かっていると思います。
私も仕事がら若い方にアドバイスなどをすることが多いのですが やはり素直な人、聞く耳をもっている人は伸びます。幸せになりやすいです。
自分というものを押し通し、譲らないことを仕事にしている 人もいるし、それで成功している人もいるのですけど そうしなくても、その世界で成功している人もいる。 どちらを選ぶかも、またその人の人生なのかもしれませんが。
2008年03月10日(月) |
雑誌「文藝春秋」2008年3月号 |
面白くて役立つ記事が目立ったのでメモ
「怪物保護者が学校を破壊する」奥野修司 ・・そろそろ出揃ったかな、怪物親な話をまとめて聞ける。 怪物にしてしまったのは、誰か、何なのか、治るのか気になる。
「リングから見た日本人の品格」A・ブッチャー ほにゃららの品格のブームは続いているのだが、ブッチャーさんの言う 品格はよりシンプルで、納得いくものばかり。 同じ日本人が言うより、切実な気もする。
「糖尿病50問50答 1600万人の患者へ 名医に問う第一弾」 おそらく私は糖尿病になるには遠い状態なのですが この病気にならなくても、普通に健康に過ごすヒントになる。 日本人の食生活・健康とは何か、この病気がなんなのか、理解しやすいです。
「世界文学全集」の出帆・・池澤夏樹 「人はただ楽しみのために本を買うようになった。 書店には楽に読めて、すぐ忘れられる本が並んだ」 http://mag.kawade.co.jp/sekaibungaku/ 私自身も楽しみの読書ばかりで、名著といわれるものはほとんど読んでないのですが 全集でまとめて出ると、いるか読んで見たいな〜と思えるものばかり。 死ぬまでにどれだけの本が読めるのかしら?
「あまりしられていないこと」・・成田 豊 中国と日本の知られざる交流が紹介されている。 そして「手紙」とは中国ではトイレットペーパーであるとは知っていたけど 「愛人」が配偶者だったとは。 その他、同じ漢字を使っても、意味が異なってきてエライことになるよ〜てな こともがいくつか書いてるのと、交流も、ちょっと安心します。
「母校で詩を教える」・・佐野元春 佐野元春さんの音楽は学生時代によく聞いていました。 好きですね。 そんな佐野さんが大学で詩の講義。学生さんたちが羨ましい!!
「チャップリンの日本人秘書」・・東嶋トミエ 秘書をされていた方の奥様の手記。
塩野七生さんの「日本人へ・58」はナポリの歴史とお人柄。 ユニークです。ナポリの朝食食べたい。小麦粉ものが食べたくなりました。 あとバカにつける薬もないけど、利口だと思い込んでいる人にも薬はないそうです。納得。
「インテリジェンスなき国家は滅ぶ」塩野七生・手嶋龍一 「実録、天下り法人との10年闘争」若林亜紀 「ゾンビ官僚の退治法だ」堺屋太一 など未読だけど面白そう。
小川洋子さんが「日本人の顔」に、「おとなの絵本館」はあさのあつこさん 2人とも岡山出身なんですね〜
全体的に、「壊」という字が躍る内容です。 本当に今、日本は終わりそうですね。 でも、行き着くところまで行ったら戻るだけだと 長生きしている祖母がいうので、楽しみに待っています
伊坂 幸太郎 角川文庫 2007/06
読書の愉しみ・悦楽をあじわわせてくれた。
短編なのですが、最初は結末というかそれぞれのエンディングに物足りなさを感じたのですが 読み進むにつれて、そんなことはどうでもよくて、とにかく読むのが楽しい文です。
そして、最終話に辿り着いて、ますます満足。 ああこの人はあの!と思う人が出てくるのです。 この「死神の精度」もそうでした。 やはり伊坂さんの本は全部読まなくてはなりませんね〜
死神が出てくるので、当然、人が死ぬし、理不尽だったり 楽しくない人も沢山出てくるのですが、でもそれを差っぴいても楽しい。 死神の人物造形も最初は、ん〜ん〜?と思っていたのですがだんだん癖になってくる。 死神だからこその個性というか、人間とは違うもの、ということが表現されている部分。 人間との全くかみ合わない会話とかもいいのです。
死神は人間の感情や事情には頓着しません。 でも時々、優しさ?と錯覚させる何かがいいのです。 最終話では眠った老女をベッドまで運ぶところとか 私はそれだけで、こみ上げてくる何ががありました。
***
伊坂さんの文章・小説は癖になる。
読んでてこんなにワクワク、嬉しくなる文章(話の内容だけでない) は初めてかもしれません。
このワクワク感とは違って、文章の気持ちよさに浸ったというのなら 須賀敦子さん以来かもしれません。 比べているのではなく、私の中で文章を読む愉しみを理解したのは この2人ってことです。
もちろん私の読書量なんてたいしてことないので 巻末の沼野充義さんの解説を読んで、本当の読書家ならではの 「読み」がわかって、やはり伊坂幸太郎さんてすばらしいんだわ!! となるのです。巻末の解説まですばらしかった。
楽しいお話、ワクワクする内容は沢山あるけど ただ文章を読んで楽しいってのは私にとってはなかなか無いのです。
至福の時間でした。
これは金城武で映画化 されて、公開間近。
ちょっと見たいな〜
初めて公式見たけど、すごくいい雰囲気です。
楽天ブックス
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死神の精度
2008年03月06日(木) |
本「人格障害かもしれない 」 |
磯部 潮 光文社新書 2003年
かもしれない、といタイトル通りなのですね。 人格障害、て文字を見るとドッキリしますが 極端にいえば、誰でもある欠点とか特徴がよりキッパリ表れたり 問題になったりすると、障害になる〜という風に受け取りました。 簡単に言えば、生き辛い人。 私も10代のころはそうだったと思います。
芸術家や犯罪者についての考察に出てくる このような生い立ちの人が必ず、こうなるとは限りません。 あくまで、素養に環境が加わったためと書いてありまして、 それも納得すると同時に、心の病や犯罪などは 決まりきった型もないと思いました。
それほど長くもない人生ですが、そこそこ生きて、 いろんな場所に行くといろんな人に出会います。 それぞれみんな個性があって、誰一人同じ人はいません。 普通とかまともというのも、人によって感じ方も違うから 決めることはできないと思います。 結局は、自分にとって都合がいいか悪いかなのだと思います。
大抵の人は穏やかに安定した生活を望むと思いますが それを望つつも、そうできない人もいます。 それが行き過ぎると、この本に書かれたような様々な障害になると思われます。
時々、周囲を自分の勝手で振り回して、悪びれない人が現れますが 案外振り回される人も、どこかで、それを是としているのではないかと思います。 それか振り回されていることに、迂闊にも気付いていないか、 そのうち、相手がやめてくれるだろうとか、他力本願だったりするのかもしれません。
この本にも書かれているように、他人との距離を適正にとっていれば問題ないと思います。 激しい言動や行動の人に、惑わされることなく、自分を曲げ過ぎないことで回避できると思います。 相手に翻弄されないことは、相手を救うことにもなると思います。 エスカレートしないことです。 まあ自分の激しさに、乗ってくれなくなったら、 乗ってくれる人を探しに行ってしまうかもしれませんが。 それが寂しくて、ついつい乗ってしまうことが、 相手をより問題行動に拍車をかけるのかもしれません。 共存関係ですね。
そんなことをシラっと書いている私も、いろいろあったからこそそう思えるのですが。 他人の相談に乗ること、親身になることって、諸刃の刃なんだな〜と思えた今日この頃です。
人を変えることなんてできません。 自分を変えることはできます。 自分を助けることができるのは自分だけなのです。 それさえわかっていれば、しめたものだと思います。
巻末にかかれていること。 「人格障害の人は生活する上でいつも自己不全感を抱いています。 それは彼らの言葉を借りれば「淋しい」「虚しい」という表現になります。 彼らはこの「淋しさ」「虚しさ」を払拭するために、どうしようもなく 「何かをしなければならない」という強迫観念に支配されています。 それを埋め合わせるためには対人関係の揺らぎの中に飛び込むしかありません。 それは親しい人との共生的な関係の構築だったり、他人を自分のために 利用したり、他人への攻撃だったりします。 それが肥大化すると。人格障害者の人は自己破滅の方向へ向かいます」
しかし、対人関係の激しさは、「年を取ると丸くなる」に当てはまるので、 「破滅しなければ」「自殺しなければ」安定します。あるのも興味深い。 エネルギーの枯渇=老化。
老化は穏やかな暮らしのために訪れる幸福かもしれません。 若さ故の過ちってことになるといいですよね。 いや、最初から過ちもない方がいいのですが・・・
人格障害かもしれない (光文社新書)
楽天↓
2008年03月01日(土) |
文藝春秋スペシャル 人生読本 |
季刊 文芸春秋 冬号
ある時から人生相談を読むようになった。 美輪明宏さんの「心麗相談」を読んでからかもしれない。 その美輪さんの回答が見事だった、ズバズバと本当のことをいい、 時には意地悪、時には親切に、あまりに爽快だった。
私は何故か、周囲から相談を受けやすい。 たいして年端も行かない頃から、そして独身のままで 人生経験も豊富とはいかないのに、 そして案外、意地悪な性格なのに、と我ながら不思議だ。
でも、相談ばっかりされていても、こっちも疲れるし そして親身になって相談にのっても、結構バカバカしい結末を迎えることも多く、浮かばれないのだ。 だから、美輪さんの歯に衣着せぬ回答っぷりにカタルシスだったのかもしれない。
そして、新聞や雑誌の相談などは必ず目を通してしまう。 そこに書いてある相談は深刻だったり、気の毒だったりするのも少なくないが 時には「はぁ〜?」といいたくなる勝手なものもあるのだ。 そういう人を舐めたような相談にどう答えるのか、それが一番の楽しみです。
さて、今回は文藝春秋がスペシャルで丸ごと人生相談。 読みでがありましたが、相談・回答は半分以下で あとは著名人の悩みを減らす心がけ・エッセイなどがが書いてある。
土居健郎さんがエッセイを冒頭で書いていて「甘え」について書かれている。 この方の本にもお世話になったので、懐かしい。 柳沢嘉一郎さんのコウモリの利他的行為からの「情けは人の為ならず」とアーミッシュの少女の行動もいいお話でした。 その他、今まで読んできた本の作者の方が沢山いらっしゃる。 久田恵さん、出久根達郎さん、藤原正彦さんの対談も面白かったです。 日本人の悩みとともに二十年の金森トシエさんのお話も興味深かったです。
柳田邦男さんが紹介している河合隼雄さんの「こだわり」の克服ということは特に印象に残った。 2人の禅僧が川を渡るときに女性に出会い、一人の僧が抱いて川をわたってやるのに、 一人は渡った後にも、そのことにこだわっている話。
「こだわり」これは全ての思考をスムーズにさせない原因で、不幸の始まりです。
そういえば、美輪さんの相談本を読んだ時に、一番心に残った話もこだわりについてです。 私も物事にこだわる性質。それが自分を苦しめていました。 それにまず気付かせてくれたのが、美輪さんの人の持つこだわりを看破し、一蹴している回答でした。
それから長い時間をかけて、私は自分のこだわりに直面したら、反省して、こだわりを減らしていく努力をしました。 今はかなり早く、こだわりを解けるようになったと思います。
他人の人生相談から、自分の人生を楽にするヒントを得る。 人のの褌で相撲を取るようですか?リサイクルですかね。
いつまでも忘れず、こだわっていること。 幸せになるのには邪魔なことなのです。
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