即興詩。即ち書きだめ。

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2002年05月29日(水)


泣く。



             とまらない
             とまらない
             とまら 




匿名の詩人
背筋を伸ばして善悪を語る

ころしあい
などというものに正義は無い
ましてや誠意などあるはずが無い




             とまらない
             とまらな




嗚呼この匂い
どこぞの団地で母さんが
手を引いてくれた白い花



名前を訊く声が震えた





             とまらない



あれからずっと
激流の中にいる






             止まらない
             留まらない
             とま








* * * *







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2002年05月27日(月)


るらら、ら



唇から自信なさげに零
れ落ちる君の曖昧な罵
詈雑言を聞かぬ振りし
て僕は机の上に置かれ
た花束と会話していた
(ような気がする)。



るらら
るらら

とか
簡単に
言うな

るらら




世界なんてあまりに不
完全で僕はと言えば泣
きそうなほど髪の毛を
振り乱して走ってみた
りもするのだけど
やっぱ





     るらら





君のお味噌汁の匂いには
自殺願望の強いワカモノだって尻ごみすると思うんだ






るらら
るらら






るらら












* * * *







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2002年05月25日(土)


思考としての景色




甲高い声で
少女が自己主張
あたしの人生
あたしが決める

らしい


もう少し
可愛い顔で笑ってご覧
そうしたら良いものあげる
から



黒い背広の
ひょろりとした男性に
背中を見せては
いけないよ



足を曲げずに歩きなさい
しゃなり
しゃなり



ところで不如帰って
どういう風に鳴くのだっけ
この頃飛行機が頭の中に
やたら纏わりついて不機嫌さ





あ、

お天気雨。








 * * * * *







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2002年05月24日(金)


本音



君は
僕の
涙もろさ

知ってる
から
僕は
決して
君の
前では
泣かない



手紙にも書かない
電話でも言わない



君が
それに
気づくとしたら
それは
この
詩、

よって
だけだ




僕はほんとは寂しい
僕はほんとは悲しい
僕はほんとは苦しい
僕はほんとは君の事、











* * * * *






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2002年05月20日(月)


うれい



みどりいろの
こどもが
みすえた
さきを
しっているのかい


うれい

ふくんだ
ように
おもえた
だけさ


じっさい
なにも
かわっちゃいない



ひとみが
ただ
あんのんとまばたきするだけ











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2002年05月19日(日)


4番線のさようなら



トランクに
詰める
詰める


(人ごみに埋もれた愛してる を

池袋の長いエスカレーターを
迷路のような地下街を
まるで反転したマクドナルドを

(かすかに香るワックス を

広告に紛れた重要書類を
4階で左に曲がる重いドアを
半端に片付けられた懐かしい匂いを
カルピスの赤い頬を
煙草の向こうの国道を

(その安らかな寝息の夜 を

高田馬場の喫茶店を
焼け付くような衝撃を
雨降る肌寒い坂道を
握った切符の薄っぺらい
改札口から響く轟音

(4番線のさようなら を



閉まる扉が隔てた背中




(4番線のさようならを











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2002年05月12日(日)


負けんな。





              
             届け、届け、届け、届け






ありったけの言葉
僕のもとを離れたなら
その胸めがけて
一直線に刺さってくれれば良い




果てなく遠い向こう岸から
叫ぶ声は聞えなくても
仰ぐ空は何ら変わらないじゃないか



薄っぺらい綺麗事は無しにして、







僕は
素敵なものが創れないって嘆く
君の方が好きだ













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2002年05月11日(土)


回路



僕の回路を繋いでる
君の回路の中の導線
火花が散って消える
もうすぐ完璧な終焉


連れ出さないでくれ、有刺鉄線などは利かないのだから



嗚呼すれ違う少年の目も
あの日の僕と同じように
憂いを含んでいたのかも




押し出さないでくれ、




隙間から流れてくる暖かな流氷がやけに頭に響くんだ










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2002年05月08日(水)


生誕



この指が
小刻みにリズムを打つ


ありがとう

上手く
唇をつたわないので

この瞳で
僕は
海を作ろう



何てことない一日が
色を変えるんだ
この










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2002年05月06日(月)


午前4時、新月



闇のような髪を
真っ直ぐに垂らして
その艶に噛まれそうな夜明け

隠れてしまった月を
恨むでもなく
そのピアスが光るのは
一体何のせいだったか

ボリュームを
もう少し下げてくれ


開け放した手探りの


どこまでも
七色に愛してあげるよ
東から顔を出した裏側が
照らす嘘に気づくまで









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2002年05月01日(水)


風穴




そうだなぁ
穴が空いているのかもね


この
左胸にね


だから
僕の心を捕らえるものが何も無いんだ
きっと




南風が吹いているのに
やけに寒いのはそういうことさ




せめて
手だけでも
暖めてくれないか
その場凌ぎで
君の体温で良いから









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