恋文
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2008年04月30日(水) 夕暮れ

翳ってゆく
ひかりに
満たされる

すこしづつ
失われてゆく
あいだ


2008年04月28日(月) 風の音

カーテンの
むこうに

風が 吹いて
木々が揺れる

音を 聞いている

いまに
雨になる



2008年04月27日(日)

鳥が

やってくる

わたしは 

こない

ずっと
待っている

わたしは

いない


2008年04月26日(土) まぶしい

このあいだまで
雨だったから
気づかなかったのね

もう こんなに
明るかったんだ

まぶしくて
ぼんやりしている


2008年04月25日(金) 春の宵

空は まだ
明るかった

小鳥が やってきては
帰ってゆく

木立が
だんだん
翳ってゆく

鳥の声も
遠ざかる


2008年04月24日(木) 春の花

鉄路のあいだの
みどりの草にも
花は咲いて

つながってゆく
その むこうの
曲がりかど

ふつりと
消える


2008年04月23日(水) 春のなかに - ある人を悼んで

春のなか 逝く
花は 雨のなかにも
咲いているのに

花びらから
ぽつんと
落ちる
しずくように

そのまま
ひかりのなかに
おかえりください

いつか だれもが
ゆくように


2008年04月22日(火) 雨が続く

夢のなかで
聞いていた

雨音が
つながって

いちにち
ずっと

水槽のなかから
外を見ている


2008年04月21日(月) 雨のなか

雨のなか
小鳥が
やってきては
帰ってゆく

小さな
餌場

軒下の草花が
わずかに
揺れる

ずっと一日
雨のなか


2008年04月20日(日)

花が 舞っていた
ちょっと まだ
冷たい 風

川に ぽつんと
眠っている 鴨

でも 春だ


2008年04月19日(土) 菜の花

あぁ
いつのまにか
あったんだ

菜の花
菜の花

ずっと 向こうまで

もっと
向こうまで

見ていよう


2008年04月18日(金)

時は 自分ひとりで
過ぎてゆく

立ち止まっても
追いかけなくても

わたしの時間は
わたしといっしょに
過ぎてゆく


2008年04月17日(木) そのままの

振り返ると
そうで ありたかった
わたしが
いるような
気がする

もう一度
振り返って
どこも 変わらない
そのままの
わたしが
いる


2008年04月16日(水) きょう

誰にとっても
きょうが すぎる

遠くにいる
あなたが
過ごしただろう

わたしの 知らない
きょうは

少しくらいは
重なっただろうか


2008年04月15日(火) 八重

テーブルの上に
八重の花

娘がひろってきたのだろう
花海棠だろうか

ちいさな春
ぽつりと


2008年04月14日(月)

花がうつむく

また
ひとしきり
雨が
走っていった


2008年04月13日(日) 暮れてゆく

切り絵のような
木の枝の
向こうに

雲が走ってゆく

鳥が来て
去ってゆく

うっすら 朱い
空に

影になる


2008年04月12日(土) 思い出

思い出すこと
ひとつ ひとつ

ずっと
いまでも
同じなのに

どうして こんなに
遠くに
来てしまった

みたいな
気がするのかしらね


2008年04月11日(金) 進む

立ち止まったまま
動けないよりも

どこへとも
進んでいったほうがいい

いつか どこかに
たどり着けるだろう

どこにでも
行けるかもしれない


2008年04月10日(木) 雨の中

雨に
囲まれているみたい

雨の
向こうは

どんな
明日になるだろう

また ひとしきり
雨音がする


2008年04月09日(水) 午後の雨

花が 
雨のむこうに
かすんでいる

遠く 近くに
聞こえる
いろんな音も

いつか
雨音だけに
なる


2008年04月08日(火) すぎてしまえば

すぎてしまえば
あぁ、こんなことが
あったのだと
思いだすのだろう

いちにち
また いちにちを

そんなふうに
過ごして
ゆければいい


2008年04月07日(月) 冬に戻る

冬に
もどっても

そのときに
もどらない

そのときの
風のように
冷たいのに


2008年04月06日(日) ゆめうつつ

あなたが
まどろむあいだ

わたしも
添い寝をしている

あなたが
ねがえりをうつと

わたしも
そっと からだをかえる

あなたが
そこにいるだろう

そこは
とても 遠いけれど


2008年04月05日(土) かたち

いつか
すり抜けて
いってしまいます

かたちは
かたちでは ない

わたしの
かたち


2008年04月04日(金) 代償

痛みと
引きかえに

きょうも
まだ ある


2008年04月03日(木)

ひとりで
時がすぎてゆくなら

だまって
見送っていようか

だれか
立ち止まるだろうか


2008年04月02日(水) すれちがい

はじまりは
ほんの はずみで
すれちがったまま
おわる
いちにち


2008年04月01日(火) 明日

夢に とどまって
いられない

朝を むかえる

また 明日の朝へ
むかう


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