lucky seventh DiaryINDEX|past|will
アイツは、俺のようには言わなかったから。 「いつか、誰も人がいないところで二人だけで暮らしたい。」 ぽつりと、彼女は言った。 「これ以上誰かを憎むことも、愛すこともせずに…」 その濁った瞳は、はるか遠くを見ていた。 もう、ほとんど見えていないのだろう。 「二人だけの完結した世界で…」 その眼差しだけが、はるか遠く、遠く。 それが、初めて聞いた彼女の弱音だった。 それからほんの瞬きの間のような数年、 俺は彼女と彼女の望んだ岬の家で暮らした。 幸せだった。 なんでも一通り器用にこなす事のできる自分の能力に感謝した。 失敗作とはいえ、それでも人並み以上にコーディネートされた俺は 身体能力もさることながら、その頭脳も通常の人より少ない経験で、 知識を吸収することができた。 はじめて作った料理。 最初は少し自身がなった。 なんて言っても未知の体験だったから。 「美味しい」 彼女は笑って言った。 幸せだったんだ。 「ねぇ?アンタは幸せだった?」 たたずむ、白い墓石の前で 優しく微笑みながら言う青年。 岬の断崖にあるその墓に居るのは美しい青年。 長い髪が海風に揺れる。 「俺は幸せだったよ。」 そっと墓石に触れて、冷たい石に口付ける。 「幸せだった。 アンタがいたから。」 一際強い波風に、 その呟きは風にさらわれ、彼女の元に届くのだろうか? 青年はぼんやりとそんなことを考えた。 (届けばいい。アンタだけに…) いくら言っても足りない。 だから、少しでも届いて欲しい。 そんな風に思う自分に自嘲して、青年は笑う。 「そろそろ、行くよ。名残おしいけど…」 愛しそうに、目を細め、 「アンタの世界は守るから。」 青年は獰猛に笑った。 すべてを偽り、 すべてを欺き、 正義も 運命すらも、喰らい尽くす。 ただ己が為に、 ただ一人の為に、 神は死んだ。 残ったのは神に対する信仰。 それは神の死によってよりいっそう深いものとなった。。。 ****** 04,12/22.24の続き。
ナナナ
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