lucky seventh
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2004年11月28日(日) 真珠姫 (種→運命)

勘違いをしていたのです。

あの人があんなに優しくしてくれるのも、

あの人があんなに愛してくれてるのも、


ソレはアタクシがあの方達のかわりだから、

そう、所詮アタシはあの方達のかわりにしかなりえなかったのですから。


















。○真珠姫○。.















「ペルナ」

あの人はアタクシを優しく抱きしめて、囁いた。

「ペルナ」

アタクシの身体に回されたあの人の手は温かく、
そう、それはまるで夢のようだった。


婚姻統制制度によって選ばれた運命の相手、
それが彼 アスラン=ザラだった。

彼のお父様は、このプラントをまとめあげる最高評議会の議長で、
この婚姻統制制度を強く押し進めている人だった。
アタクシとあの人の遺伝子が対だと分かった時も、すぐにあの人との
婚約を持ちかけてきたのもお父様の方だった。
プラントでもそこそこ名のある名家だったアタクシの父は、
それをとても喜んだ。
アタクシの父は婚姻統制制度によって母と出会い結ばれた、
数少ない成功例だったし、何より父はアタクシの相手であるアスラン=ザラ
のことをよく知っていたから。
父も母も本当に嬉しそうだった。
だから、アタクシもとても嬉しかった。
きっと、あの人と素晴らしい家庭が築けると愚かにも信じていた。
あの人の心の中には別の人が住んでいたと言うのに…



「貴方にはアタクシよりも相応しい人がおりますわ。」


アタクシがそう言った時も、あの人はアタクシを見てくれてなどいなかった。
あの人の瞳に写っていたのは、アタクシではない誰か…
まるで太陽ののような、まるで月のような、アタクシとは真反対の方々。
それは歌姫と呼ばれるお方か、
それはオーブの姫と呼ばれるお方か、
アタクシには分からなかったけど、それでもアタクシでないのは確かだった。


だから、アタクシはこの戦争が終わったのならさよならを言わなくては
いけないんだと、そう思ったのです。


さよなら、愛おしい人。

さよなら。


















これが1つの物語りのおしましい。




「キラ!!アスラン!!!
 ペルナが…ペルナがいないの!!!」

「何だって!??」

「どういうことだ!??」

「ペルナの部屋にペルナのハロとコレがあって…!!」






















「お願いがあるのです。」


そこは青い母なる星、地球のとある島。
盲目の男とそれに向かい合うように1人の青年が立っていた。

「このオレに…?」

「そう、貴方にです。

 …聞いてくれますか?」

「あぁ」

男の言葉に、青年は不思議そうに訝し気に頷いた。
盲目の男はそれに少し安堵したように、見えない瞳で青年を見た。

「1人の少女を預かって欲しいのです。
 ……パール。」

「はい。」

男が呼ぶと、青年の後ろに小柄な少女が現れた。
後ろを取られる形となった青年は、驚いたように少女をマジマジと見た。
きめの細かい美しい真珠色の肌に、しかし夜の海のように深い青の髪が
少女の顔と瞳を隠すように伸びていた。

「初めまして、カナード様。パールと申します。」

下げた頭に、つられるようにさらさらと美しい青の髪が流れ
隠され青い髪よりもさらに深い藍の瞳があらわとなった。

(吸い込まれるようだ…)

美しいがどこか人形めいた雰囲気を醸し出す少女に、
青年 カナード=パルスはどういうことか言うように盲目の男を見た。

「あなたの道にこの少女を連れていって欲しいのです。」

連れていけるわけがない。
青年はそう思ったが、どこか危う気なこの少女を放ってはおけなかった。
このままだと少女が消えてしまいそうだったから…















それが、物語りの始り。




「パール、オレと来るか?」

「はい、カナード様」



2004年11月22日(月) 黒い髪と赤い瞳の悪魔

迎えにいくよ。

そう、大切な半身は言って、行ってしまった。















:黒い髪と赤い瞳の悪魔
















天使にあった。
銀の髪に青い瞳のキレイな天使の名は イザークと言った。

少しくせっ毛の私と違い、流れるような髪質に憧れを抱いた。
彼が歩くとたくさんの人が振り向いて、彼を見ている。


2004年11月12日(金) 置き忘れたココロ

立ち止まる私を通り過ぎる、通り過ぎる人。






道のはじっこで、しゃがんだ。
咲いている花に目を奪われて、その美しさに見蕩れて、
その間に幾人もの人が私の後ろを通り抜けて行った。

それからだんだん、誰かが自分の後ろを通るのが恐くなった。
誰も彼もが急ぎ足で私はその波に上手くのる事ができず、
花を見つめたまま、その花が枯れているのにも関わらず
私はしゃがんだまま動けなくなった。






いっそこのまま、私も此花のように朽ち果てればいいのに。

空から落ちてきた水を花弁がはじいた。


2004年11月10日(水) ロボットダンス 〜人形芝居〜

それは夢 遠い遠い過去の 夢…









「ほら、ちゃんと謝りなよ。」

少しくせっ毛の髪の少年がボートの真ん中で言った。
その、対岸にははねっ毛の少年が仏頂面で縁に座っている。

「…………。」

ハァ

無言を決め込む少年に、エリ−エルはため息をつく。
それにイルゼールは、むっとしたようにエリーエルの方を見た。
否、エリーエルの後ろにいる先ほどから一言も言葉を発しない
元凶を睨んでいた。

ハァ…

それにエリーエルはさらに深いため息をついたのだった。



イルゼールとフーリアン
イルゼールはフーリアンを嫌っていた。
出来損ないのフーリアン、
死に対する恐怖への欠乏をファクターで言い渡されたフーリアンは
もう人として使い物にならなかった。
数日後、フーリアンは人形として再起動させられる。
それはまだにイルゼールの願った結果そのまもだった。
けれど、
だけど、
イルゼールの心の中は晴れない。
むしろ、逆に怒りだけが湧いてくる。

何に対して?

分けの分からない感情にイルゼールは苛立って、
いつも以上にフーリアンに強くあたってしまう。

クソッ!!
何で何だ!??

エリーエルはそんなイルゼールに苦く笑った。
イルゼールも自分も人として起動させられたが、所詮人形は人形。
設定された感情型しか表現ができない。
怒、楽のイルゼール
素直で自分にとても正直で、その反面とても感情型に引きづられやすく
まるで制御を知らない、否できない子供のようだった。
喜、哀の自分とは全然違う。
エリーエルにはそれがよく分かっていた。
だから、今のイルゼールが何故こんなにも頑ななのかも察しがついていた。

それは子供と同じ、
自分の物が取られることへの純粋な怒り。

エリーエルは知っている。
本当はイルゼールが言葉で言うほどフーリアンのことが嫌いではない事を、
アカデミーに中途入学してきたてのフーリアンの事を
何かと目にかけて気にしていたのはイルゼールだったという事を。
だけど、イルゼールにはそれが分からない。
イルゼールのプログラムに書き込まれた手順ではその解答を見い出す事が
できないから、そして、それは自分も同じだった。

エリーエルの後ろで、ボートの端っこで膝を抱えて座るフーリアン。
再起動、それは今までの記憶を保存して起こす事で
目覚めたフーリアンは記憶があるが、……ただそれだけ。
余計な感情は湧かない。
何も思わない。
何も思う必要がなくなる。
それは=人形と同じ。

それは死と同義語。
だけど、死に対する恐怖への欠乏をファクターで言い渡された
フーリアンに浮かぶ感情は存在しない。
人でありながら、人形に近いフーリアンにドクター達は
それはフーリアンが殺されそうになったからだと言った。
あまりの恐怖に心が壊れたのだと……
それが事実なのかは今となっては分からない。

「イルゼール」

今はただ

「ほら、ちゃんと謝りなよ。」


もう少しだけ、人として過ごそうよ…




いつまでも、この夢のなかで… 永遠に永遠に……


ナナナ

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