lucky seventh
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2002年05月30日(木) はるに降るユキ

「俺、お前が大好きだ。」




いつもの下校風景
桜の時、ふたりで並んで歩く。

「俺さ、転校するんだ」

ふいに昂巳(タカミ)は言った。
その目は遥か上空で咲き誇る薄紅色の花を見ていて、
そこよりどこか遠い場所を見ていた。

「春にもユキが降るんだぜ」

ふいに昂巳は呟いた。
さっき言った言葉を忘れたかのように、
瞳は今度はちゃんと薄紅色の花を見ていた。

「早咲きの桜なんだけど、本当にユキみたいなんだ」

振り向いて消えそうに微笑んだ。


「お前と見たかったなぁ」

知名(チナ)は顔を歪ませた。
哀しいのか、寂しいのか自分でも分からなかった。

「一緒にいるって約束したのに、ダメになっちまったな?」

声には自分を非難するような響きを含ませ、
彼は自嘲的に笑った。

(そんな顔が見たいんじゃない)

昂巳のそんな表情に知名の胸は痛んだ。

「笑ってよ」

「知名?」

知名の口から零れでて言葉に
昂巳は不思議そうに知名を見た。

「昂巳は笑ってて」

知名は笑っていた。
泣きながら哀しそうに笑っていた。

「私は大丈夫だよ」

大丈夫なはずない。
そう、思ったはずなのに昂巳は何も言えなかった。

「昂巳はたった一言、それを言ってくれれば私は大丈夫...」

彼女はほんの少し躊躇して、だけど言った。

「待ってて言って」



昂巳は泣きそうになるのを堪えて言った。

「待っててくれるのか?」

知名は心の底から嬉しそうに笑った。

「もちろんだよ」



ふたりの頭上からは色付いたユキが
はらはら、はらはらと止むことはなく降り続けていた。



「俺、お前が大好きだ」

「私も昂巳が大好きだよ」




それは決して溶けることのないはるに降るユキ。
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たった一言で、人は強くなる。
たった一言で、人は安心できる。
言葉は、約束は、もっとも脆弱で、人の夢のように儚い、
けれど、それ故に最悪、最強にして無敵の切り札(ジョーカー)
と、なしえる。


2002年05月26日(日) 幸福論

幸せって何だろう?

身近に存在するもの?
それとも手の届かない何か?

幸せって何だろう?

感じるもの?
それとも目に見える何か?


難しくて分からないよ。


君は簡単だよって笑うのに、
私には理解できない。


答えはすぐそこにあるのにね。


認めてしまうと壊れてしまいそうで。
ううん、壊れてしまった時傷付くから。


幸せって何だろう?


ずっと考えていたい。



それが私の幸福論


2002年05月20日(月) 願い

弱いままだと進めない。
だから、誰にも負けない強さが欲しい。



君はまるで太陽のよう
あたかかくて、
つよくて、
そして、何よりも平等だった。

だからなのかな?
すべての強さを君に押し付けた。

君が傷だらけなのに気付けなかった。
もがきながら溺れていく太陽
足を傷だらけにしながら走り続ける太陽

君が見えなかった。

君が眩しすぎて、ちっとも君の姿なんてわからなかった。

言い訳じみた僕の言葉
君は苦笑しながら聞くだろう。



それじゃぁダメだと、
何の救いにもなりはしないと僕は知っているから。
僕は進むよ。
君が壊れなくてもすむように
君を守れるように

誰にも負けない強さが欲しい。



願いは叶えるためにあるのだから.....


2002年05月19日(日) 違ってしまった道

思い描いた理想からはこんなにもかけ離れてしまった。
未来は一体どこにあるのだろう?



俯きながら君は僕の方に歩いてきた。
肩はわずかにゆれていて、
それに呼応するように君の流れるような長い黒髪は
肩からぱらぱらと落ちてきて、
少しだけ、
そう、ほんの少しだけ、
昔に戻ったような錯角に陥った。

「ごめんなさい...」

君はかすれた声で僕の肩に頭を押し付けた。
目眩がした。
それは急に現実に引き戻された歪みと、
これから知るであろう現実に対しての目眩で。
どうしようもない哀しみが僕を襲った。

「..ごめん、なさ..い....」

切れ切れになる君の謝罪の声。

「ごめ.....」


それは誰に対しても謝罪だったのだろう?


僕は静かに君を抱き締めた。
優しく、壊れ物を扱うように。



これから、ふたりは違う道を歩んでいく。
けれど神様、後少しだけこうしていてもいいですか?


2002年05月10日(金) こんな暗い夜だから......

人は醜くて....汚くて


言葉はナイフ。
それはとてもうまい例えだと、今正に私はそう思った。
親友の口から発せられるソレは、人の一番奥深くのパンドラの箱で
歪んでいるのに、まっすぐに突き刺さる。
抉られる感触。

-正視したくない。

弱くてちっぽけな私は動けない。

-目を背けてしまいたい。

その勇気もないのに、
私の心は悲鳴をあげている。
私じゃない誰かに向けられている憎悪が痛くて
そんな言葉を吐く親友が恐ろしくて。


私は恐い。
私は痛い。

隣にいた貴方の存在がたまらなく遠くに感じる。


2002年05月09日(木) 無題


生きるも、死ぬも、

それはすべて貴方しだい。



「君が望むなら......」

ふいに君は言葉を止めて虚空を見据えた。
まるで『泣く』かのように手が顔を覆う。

「君が望むなら......」

哀しそうに紡がれる言葉達は行き場を失うかのように
ゆっくりと空気に溶ける。



「願いごとは何?」
それは初めての再会の日の第一声。
大好きな君の言葉。
「キミの中で変わらない日々をおくること?」
それは選ばれた言葉じゃなく
浮かんでくる言葉。
「キミの中で眠れぬ夜を纏うこと?」
その言葉はとても直感的で
感情的。

「君の望みを叶えたいんだ」

そしてとても透明な濃度。



「君が望むなら....」

その言葉の中に、君は思いはどれくらい詰め込んだのだろう?


ナナナ

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