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■留守番嫁。
2011年04月30日(土)
嫁を置いて栃木の実家に帰郷する。

「じゃあすまんが頑張ってくれ」

娘・R(7才)と息子・タク(5才)の手を引いて家を出る僕達に

「うう…行っておいで」

GWも仕事になってしまった嫁は悲しそうに見送る。まさに断腸の思いであろう。子供達も寂しいだろうか…特にママベッタリのタクは甘えん坊なので大丈夫かな…と思ったが道を歩きながら

「きゃー、カワイイー」

近所の大学に通学する女子大生に、すれ違いざま黄色い声を掛けられてデレデレしていた。たらちねの母よりピチピチの女子大生。大丈夫だ。僕の子だ。

「ラーメン屋さんに行きたいの」

栃木に着くなり昼飯はラーメンを食べたいと注文をつけたのはRだった。実家近くにおいしい佐野ラーメンの店があり、帰省した時は必ずと言っていい程寄る。子供達も大好きで、嫁も

「久しぶりにあのラーメンを食べたかったのに」

とわざわざ言うほど好きなのだ。なのでちょっと意地悪をしてやろうと思い、早速ラーメン屋に行き、

「うめえ!」

ものすごい勢いでズルズルすすっているタクの写真を送ったら

「くいてえ」

とメールが帰って来た。食欲だけでなく性欲にもこれぐらいハングリーになって欲しい。ちんこ画像も送ったろかと思ったがやめた。

子供達は特に嫁がいなくてもわりと普段どおりに飯を食って遊んでいたが、夜、風呂に入ってさあ寝るか、という時に

「ママ、なにしてるかな…」

タクがポツリと呟いたので電話をしてみた。嫁も同じ思いじゃないかな…と

「もちもち〜」

タクの声色を真似て喋ってみたら

「私のカワイイ子ども達に代わって!」

僕はお呼びじゃないようであった。嫁は子供達と喋った後、母に代われということで母とも話す。

「あなたがいないからつまわないわ〜」

と母の調子よさげな言葉がポンポンと飛び、うちの嫁姑は少なくとも見た目は仲が良いようだ。しかし僕には

「じゃよろしく」

みたいな社交辞令のみで、なんだ、嫁がいなくて一番寂しがってるのは僕じゃないかあああああ…。嫁、さびしいよう〜。子供達が寝た後でひとりぽつんと取り残された僕の慟哭が、栃木の暗い夜に染み込んでゆくのであった。

妻がいなくて断末魔。なんちて。

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■子供に日記を書いているのがバレたでござる、の巻。
2011年04月29日(金)
日記書きの朝は早い。

子供達が寝ている間に日記を書き上げ、ブログにアップロードする。よく2000年から飽きもせず続いてると思う。2000年からということは20世紀から続いているということであり、すなわち2つのセンチュリーをまたいで書かれている日記である。思えば遠くに来たもんだ。

日記を書き上げ、机を離れ、歯をしゃこしゃこ磨きながら、そういえばまだパソコン落としていなかった、と思い出して戻って来たのだが時既に遅し。娘・R(7才)が僕のパソコンにへばりついていた。そして

「『それよりもタクはひとりで泊まれるのかね?』って書いてあるー!」

ぎゃー!そそそそれは今さっき書いていた日記の内容…。慌ててRをどかすとモニタには日記の下書きに使うテキストエディタが開いたままだった。僕は「Terapad」というテキストエディタに一旦文章を書いてから、コピペしてブログにアップしている。それがRに丸見え〜。

「ねえ、なんでパパのパソコンにたっくんのことが書いてあるの?」

興味津々のRに下手なごまかしは聞かない。もう腹を割って話すしかないだろう。

「えーとね、パパは日記を書いてるんだよ」

「パソコンの中に日記があるの?へんなのー!」

「ははは、変だねー」

ふっ。パソコンの中だけじゃなく、インターネッツの中にもあって、誰でも読めるんだよ!変だよね!…とは流石に言えなかった。

「ププッ。見られてるし」

後ろから嫁の声が聞こえてきて脂汗が滝のように流れた。やりとりを後ろで聞いていたらしい。こういう時の嫁は顔も声もちびまる子の野口さんのように陰険になる。

かつて日記を書き始めた時は、嫁にその存在を知られても絶対に見ないで欲しいと要求した。僕がどんなことをして何を考えているか、当時の嫁はピリピリしながら盗み見していたようである。

しかし今は僕及び僕の日記などは道端の犬のうんこ以下にどうでもいい存在になり、見てくれと言っても見やしないだろう。だから僕は油断していたのだ。嫁の興味がなくなった代わりに、子供達の興味が芽生えてきた。その注意を怠っていた。

Rもタクも日を追う毎にどんどん漢字まで読めるようになって来ている。もうだらしなくパソコンを立ち上げたまま…なんてことは危ないのである。企業で使うパソコン並みに漏洩防止に気を遣わなければならなくなった。いつどこで覗き見されるか分からぬ。

まさに壁に耳あり障子にダイアリー、みたいな。

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■栃木のラーメンを食べたいと嫁が言う。
2011年04月28日(木)
ゴールデンウィークは栃木の母が首を長くして待っているので、実家で過ごすことになるのだが…。

「私、行けなくなっちゃった」

嫁が仕事になってしまったという。嫁は最近パートに出始めた。仮に川で洗濯をする仕事としておこう。連休は金曜日から始まるが、

「土曜日仕事になっちゃった…」

とのことで、GW前半の3連休のど真ん中に仕事が入ってしまったようだ。これではたとえ栃木に行ったとしてもすぐトンボ返りになってしまう。なので

「あなたよろしく。お義母さんも私の目を気にしないで甘やかせるでしょう」

と笑った。栃木に帰ると母が何かと「あれ買ってやろうか」「これ買ってやろうか」と面倒を見たがるのだが、大抵「大丈夫ですから。買ってもらい過ぎですよ」と嫁に断られる。すると後で

「お前の嫁さんは厳し過ぎるんじゃねんけ…」

僕にボソボソと呟いてくるのだ。それはともかく。月曜は僕も仕事だしRも普通に学校なので、
日曜には帰って来なければならない。しかし息子・タク(5才)の幼稚園だけは休みなのだ。なので

「タクだけ月曜も泊まらせておいて、また火曜から私達で栃木に行かない?」

と嫁がそんなことを言う。GW後半の連休は家でダラダラ過ごしてようか、と漠然と考えていたのだが…。

「お前、そんなに栃木に行きたいの?」

「ラーメンが食べたい」

「小池さんかよ」

姑の顔はどうでもよくて、実家の近くにあるうまい佐野ラーメン屋に行きたいようだった。

「それよりもタクはひとりで泊まれるかね?」

Rはひとりで泊まった経験があるので大丈夫だが、タクはまだない。少し前、Rとタクふたりが嫁実家に泊まったことがあったが、その時は平気だったという。嫁父に怒られて結局は泣いたらしいが。

「たっくん、ひとりで栃木のおばあちゃん家に泊まれるかい?」

「うん。できる」

本人は大丈夫と言ってるが、多分夜寝る時に「ママ!」とか泣きそうなんだよなあ…。いずれにせよ、GWに仕事する嫁には悪いが、栃木で羽根を伸ばさせてもらおう。逆に嫁も久しぶりの一人きりで身軽になってるかもしれないけど。

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■イカれたイカおばさん
2011年04月27日(水)
ダウンタウンが司会の「爆笑!大日本アカン警察」というテレビ番組を見ていた。

恐ろしい内容だった。「隣のアカン嫁」というコーナーで、煮ても焼いても食えないひどい奥さんが紹介されていた。

まず、ソファに寝そべってビールを飲んだままで、夫が帰って来ても一歩たりとも動かず、晩飯の支度などしない。それどころか自分で晩飯の支度をしている夫に

「つまみのイカ買ってこい」

とパシらせる始末。いいように使われるだけあって、その夫は本当に弱そうなんだけれども、それでもなんとかして買いに行かないで済むように

「家にあるのじゃダメなの?」

弱々しく口答えしようとしても

「イカ!」

と絶叫し、決して許さない。

「僕が買ってきたの(会社帰りに買ってきたデザート)じゃダメ?」

「イカ!」

夫が何を言おうが「イカ!」「イカ!」と繰り返し、遂に言い負かされた夫が買いに出て行ってからも

イカ
「イカはおいしいよー!イカ!」

ひとりでとにかく「イカ」を絶叫。その同じフレーズのリピートぶりは

「引っ越し!引っ越し!さっさと引っ越し!」

引っ越しおばさんのような狂気を感じさせるものであった。幸いウチは、こんな動かざること山の如しを地でいくような嫁ではない。無愛想だが必ず上げ膳据え膳でご飯が提供される僕は幸せと言えよう。

しかしこんな家事もせず単なるうんこ製造専用オバサンと成り果てた嫁などをテレビで見たところで誰が喜ぶのだろう。あんまりひど過ぎるのでヤラセかもしれないけど。僕のような既婚者男は10人が10人不快になると思うのだが…と考えていたら

「ぎゃはははははは!」

娘・R(7才)と息子・タク(5才)が思いっきりツボにはまっていた。特にタクなど

「イカ!イカ!イカはおいしーよー!イカ!」

もうイカのエンドレスリピート。眠らせるまでずっとイカイカ言っては爆笑する、の繰り返して子供はこういうところにはまるんだなあ…とか思いながら苦労して寝かしつけた。

翌日の夜、僕が会社から帰って来ると、机の上にタクが書いた手紙が置かれていた。まさか…と思い見てみると内容はやっぱり

「イカはおいしいよー!イカ!」

とだけ書かれており…。まだ起きていたRに聞いてみると

「たっくんねー、『そうだ、パパにお手紙書かなきゃ』って言って書いてたよ」

そこまでして僕に伝えたかったのか。イカ…。

みんなが寝静まった後、セルフイカがわしい行為をして寝た。

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■僕に踏まれた町と僕が踏まれた町。
2011年04月26日(火)
子供達を公園で遊ばせていた。

今日の公園はいつも行くところとは違い、以前住んでいた街に近い。以前住んでいた、とは言っても徒歩20分ぐらいの近さなのだが。

たまたま娘・R(7才)と同じクラスの友達がいたために超盛り上がってしまい、僕は腹が減ってしょうがないのに

「君達、お腹空かないか?」

「全然平気ー!ぎゃははははは!」

Rも息子・タク(5才)も空腹より遊びたい気持ちが最優先であり、元気に走り回っている。

「嫁、お前も腹減ったろう…」

お友達母と井戸端会議していた嫁にヘルプを求めたら

「空いたに決まってるでしょ。もう1時半よ!こんなに遅くなっちゃったら家でゴハン作る気にはなれないわあ〜」

「そこのコンビニで買ってきてここで食べてもいいわ〜」

「そうよねえ〜」

母たちは昼飯を作りたくない、ということは良く分かった。ただし、コンビニ飯とか勘弁してくれよ…と思い、

「じゃああそこ食いに行こうぜ」

以前住んでいた街の、時々行っていた洋食屋。当時は独身で一人で食いに行ったことが多かったが嫁とも行ったことがある。

「あら、久しぶり。いいね」

嫁もオッケーしたのでそういうことになった。以前住んでいた街の、懐かしい駅前商店街。ところどころ変わったところを嫁と記憶を辿りながら間違い探しのようにチェックする。しかしその洋食屋は変わらぬままであった。こぢんまりした店内に入ると

「狭いじゃん!」

早速タクがひとことぶちかまし冷や汗が出そうになる。こぢんまりと言え!

ここに来るのは何年ぶりぐらいだろうか。10年は経っていないが5年以上は来ていないだろう。調理するご夫婦はさすがに老けた感じがするが、それはお互い様。僕は数ヶ月にいっぺんぐらいの頻度の客だったため、僕のことなど覚えてないだろうなあ…と、普通にメニューを眺めていたら、調理をしていたおやじさんがふと手を止め、僕の顔を眺め

「…独身の頃から来てくれてましたよね?」

と声をかけてくれたではないか。

「え。まさか覚えてくれているとは思いませんでした」

「いやー覚えてますよー。もうこんな大きなお子さんがいるんだなあって思って」

そんなやりとりをRとタクは目をクリクリさせながら観察している。

「君達が生まれる前にこのお店に来てたんだよ」

「そうなのか!」

ふたりは不思議なものを見るような目で改めて店内をキョロキョロし始めた。おやじさんは、

「15年ぶりに来てくれたっていうお客さんの顔も覚えてましたよ。その人、昔はこの街に住んでて、今は大阪らしいんだけど、コッチ来る用事があったから食べに来てくれて…。そういう人って必ず前に住んでいたところも見に行くんだよね」

「ははは、僕もそうです」

ちょうど僕らもそうしようと思っていたところだった。気さくなおやじさんとおかみさんに話しかけてもらってあの頃の記憶が蘇り。

「あの時の匂いまでもたぐり寄せられるような…」

一層懐かしい気持ちになりを味わえた。料理ももちろんおいしく味わえた。

で、帰り道。この店から歩いて5分ぐらいのところにある、以前嫁が住んでいたアパートへ。独身時代、僕も嫁もこの街にそれぞれひとり暮らしをしていたのだ。

「あっれー。どこだっけ?」

なんと僕より嫁の方が道を忘れていた。散々夜這いを仕掛けた僕の方がちゃんと覚えている。

「ここだろう」

とアパートの前に来ても

「…こんなんだったっけ。ああ、確かにそうだわ」

いまいちピンと来ていない様子で、外観を見てようやく思い出した、という感じであった。そして嫁が住んでいた部屋は

「あの出窓がある角部屋だったよね」

と指差して説明したら

「えー。角部屋だっけー?もいっこ隣だった気がするよ」

「うそつけ。僕あの出窓から隣の家の火事見た記憶あるもん!寝てたらお前に『火事だ!』って叩き起されて…ちょうどベッドのすぐ横が出窓だったはずだ!」

「いえ、あの火事の時はベランダから見てたのよ!」

うわー。そう言われると僕もだんだん自信がなくなってきた…。人の記憶ってこうも頼りないんだなあ…僕らだけっていう話もあるが…。洋食屋のおやじさんは、数ヶ月に一度現われる僕の顔をずっと覚えていたというのに、毎日住んでいたアパートの場所すら覚えていられないとは…。ノスタルジーも記憶がないと浸れないわけで。

そんなわけでヒタスラ自慰することにしまーす。

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■選挙は続くよどこまでも。
2011年04月25日(月)
こないだ都知事選があったと思ったら今日は区長と区議会議員の選挙である。

嫁と一緒に子供達を連れて、投票会場である娘・R(7才)の小学校に行く。正直、区議会議員の方は70名近くおり、正直誰に入れたらいいかサッパリだったので、小学校前に立っている公営掲示板にある候補者達のポスターをしばし眺めていた。

「うーん。誰が誰でどこの政党なんだか…」

と思わず口からこぼれると、それを聞いた息子・タク(5才)が

「たっくん、政党知ってるよー。自民党、民主党、社民党、公明党、共産党…」

「えっ。スゴイ」

「みんなの党、たちあがれ日本、スマイル党」

「そんなマイナーなのまでよく知ってるなあ。最後のはちょっとアレだけど…」

まさか選挙権もない5才児の口からこんなに政党の名前がスラスラ出て来ることにビックラゲーションである。

「なんでそんなに知ってるんだ?」

「選挙カーとかポスターとかニュースとかよく見てんのよこの子」

と嫁。更にタクは

「幼稚園の近くに事務所があるのはこの人」

と、ある候補者のポスターをビシッと指差す。最早僕なんかより全然詳しいし。選挙権譲ろうかしら。

一方Rも、学校の前に公営掲示板があるので、

「Rちゃんもよくポスター見てたんだよ」

学校の行き帰りによく見ていたという。

「へえ。どんなところを見ていたの?」

と聞いてみると

「ミキちゃん(いつも登下校一緒の子)と見ててね、一番キレイな人を決めたんだよ」

と言うので、すわ、この区にも藤川ゆりさん(八戸市議)のような美しすぎる議員がいるのか…と思い、

「どの人どの人!」

何故か嫁も食らいついてきたので一緒に聞いてみて、Rが指差すとある候補者を見て

「え、この人?」

「思いっきりオバサ…ゲホンゲホン」

嫁と共に、我が子の選球眼はイマイチ分からん…という見解になった。てか、候補者の中から一番美人を決めるとか、僕とか男子高校生とかオヤジあたりの発想だろうが。八戸市ではきっと僕みたいなオヤジがこぞって藤川ゆりさんに投票してるんだろうなあ…。

自民党でも民主党でも、どちらが政権を取ってもイマイチな昨今、どの政党を選ぶか非常に難しい。そこに美人すぎる議員が颯爽と現われたりしたら速攻でその政党に投票してしまいそうな気がする。

まさに政党派美女ってことで。なんつって。

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■字は体を表す…のか。
2011年04月24日(日)
「フッ。ヤツらは泳がしておくか…」

ということで子供達を水泳教室に連れて行った。1コマ目が息子・タク(5才)で2コマ目が娘・R(7才)である。

最初はタクの番なので、ロビーでRと待つ。待っている時間が勿体ないので、Rは宿題の日記を書き始めた。すると隣に座っていたRと同じくらいの年の女の子が

「うわあ、すごおい。こんなに字を書いてるっ」

とRの日記帳をまじまじと覗いてきた。

「ははは、君は何年生だい?」

「いちねんせい」

「そうか。この子は2年生だから、君よりちょっと上手かもね。でも君もこれから学校で習うことになるよ」

もしかして、Rはちっこいので同学年か下手したら年下に見られていたのかもしれない。だからこんなに書けてスゴイ、と。Rは褒められて照れているのか、あまりその女の子と目を合わせようとせず、ひたすら日記を書き続けている。でもこの子が

「こんな漢字も書けるのー?すごおい」

「字が上手。すごおい」

やたらと褒めまくるので心を開いたのか、

「このページはね、としまえんに行った時の日記なのよ。背が伸びたから初めて乗れるようになった乗り物が楽しかったことを書いたの…」

などと話しかけるようになった。そんな会話をしていたら

「えっとしまえんで背が伸びたから…ってひょっとして110センチですか」

横からその子のママさんが食らいついてきた。

「そうです。110センチ以上の制限がかかってる乗り物、いくつかありますよね」

「そうそう、ウチの子もこないだやっと110センチ超えたから乗れるようになってー」

どうやらウチと同じようにとしまえんに良く行って、同じような時期に110センチを突破したようで、共通話題ありまくり。合コンだったら一気に意気投合するレベルである。1才年下の子と身長がほぼ同じというのがちょっと悲しいが。

ママさんも含めて喋っているとパパさんも出て来て、Rの日記帳をまじまじと眺めて

「字がスゴイ上手ですね。何か習ってるんですか?」

なんて言ってくれるものだから僕まで嬉しくなってしまった。お世辞でも嬉しい…。僕も嫁も植田まさしとかやくみつるみたいな変な字体だからなあ…。

その女の子はサユリちゃんという名前らしく、パパさんが

「ほら、キレイな字だから見せてもらえ。特にお前の名前、『さ』と『ゆ』と『り』を見つけてお手本にするんだ」

なんてことまで。サユリちゃんとは今日初めて接したわけだが、年も級も近いので

「きっとまた近い内に会えますね。それじゃーさよならー」

帰り際そんな挨拶をして別れた。やたら字が上手上手と言われて、僕は今まで全然そうは思っていなかったけれども

「あれだけ言われたんだから、上手なのかもしれない。確かに読みやすいしなあ」

現金なものでそう思うようになってしまった。字が上手…なんて一度も言われたこともなかった僕としては羨ましい限りである。

せいぜい自慰が上手なぐらいである。

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■トイザらス。買わないザマス。
2011年04月23日(土)
「みして」

「まだみてるの!」

朝、子供達が珍しく新聞を読んでいた。いつも紙面のどこかにポケモンのコーナーがあるのでそれを探しているのだろうか。

「パパ、コレ見て!」

息子・タク(5才)が持って来たのはトイザらスのチラシであった。新聞じゃなくおもちゃの広告に夢中になっていたのだ。

「パパこれ買って〜」

早速仮面ライダーオーズの変身アイテム「オーメダル」をおねだりされた。この「オーメダル」って、この日記を前から読んでくれている方なら分かると思うが、超人気でものすごいレアアイテムなんである。

メダルが3枚入った「オーメダルセット」という形で売り出されており、オーメダルセット01、02、03とこれまで発売されていて、僕はタクのクリスマスプレゼントとして01、02を買った。

いずれも朝5時ぐらいから店の前に並んでようやく手に入れたが、7時半に整理券が配られた時点でかなりの人が足切りを喰らってたという、めちゃくちゃ入手難易度が高い。

チラシには今度の土曜日に「オーメダルセット04発売!」と書かれていて

「これが欲しい!」

とタクが言うのだが、どうせこれも開店前にあっという間になくなるだろう。チラシに載ってたから…と呑気に開店後にノコノコ出向いたって「品切れ」とでっかく書かれた案内を見てUターンするのがオチである。

それにしてもこの新しいオーメダル、まだテレビで放送されてないんだけど…。テレビより先行してCMやチラシでネタをばらされるのはいくら商売とはいえ、本当に興醒めである。

ただ、入手困難、と聞くと、なんか知らないけど

「じゃあ徹夜でもして並んでやろうじゃないか!」

みたいに煽られてしまい、買いに走りに行きたくなってしまう。普通に買える状態だったら全然欲しくないんだけど、これは何故なんだろうか。レアものをゲットして優越感に浸りたい。そしてそれを子供に与えて親の自己満に浸りたい、あたりの思惑からそそられるんだろうなあ。今回も正直

「早起きして店の前に並んだろか」

とムラムラッとしてしまったが、

「今は誕生日でもクリスマスでもありません!」

「君にだけ買ってやったらRちゃんがかわいそうでしょう」

などと言いながらタクのおねだりをかわした。が、まだまだ食い下がらなかったので

「そもそもあんまりオーズの変身ベルトとメダルで遊んでないだろう!」

実はタク、最近はテレビでオーズを観ている時ですら全然いじってないんである。タクが一番いじっているのは、いつも口元にあててフンフンしているタオルなので、

「君が一番いじってる、大好きなおもちゃはタオルだろう」

このことを言うと、

「ぷうー」

と口をとんがらせる。そして恨み節に近い口調で

「カイトくんはいいな…オーメダル12個も持ってるんだよ…」

と友達のことを引き出してブツブツ言っていたら、Rが

「しょうがないでしょ。カイトくんのお父さんはお金もちなんだよきっと」

と説得していたのが身に染みて辛かった。

僕もお金持ちだったら、僕が一番いじっているのは女体…になるんだろうけどなあ。

残念ながらいつもブラブラしているモノをいじるとするか。

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■手のひらをあのように。
2011年04月22日(金)
昨日の朝、僕のカバンを持ちながら通学路を猛ダッシュで駆け抜けて、大ゴケした息子・タク(5才)。

手のひらの真ん中下あたりの皮が剥け、大泣きしてしまった。その際

「パパがカバン持って走れって言ったから!パパが悪いんだ!」

と泣きじゃくりながら僕に当たりまくっていた。

「ええー。自分から言ったんだろ」

確かに「やれやれ」とけしかけたのは確かだが、

「パパのカバン持ちたい」

「コレ持って走るよ」

最初にタクが調子に乗って言い始めなければ出てこなかったことである。そんなことをギャンギャン泣き叫ぶ息子に言ってもしょうがないのだが…。

多分今日一日は傷の痛みを引きずりながら過ごしてるんだろうなあ…と思いつつ、夜、仕事から帰ってからタクの寝顔と手のひらの傷を確認する。皮が剥けた小指の爪大ぐらいの丸い傷は、赤黒くなっていた。

「タクどうだった?」

と嫁に聞いてみると

「けっこうナーバスになっていたよ」

やはり皮剥けるのって結構痛いんだよね…。お風呂とかでもしみるし…。朝起きたら慰めてやろう…、などと考えながら僕も寝た。

翌朝、目覚ましと共に

「パパー、おきろー!」

タクがドカーンとのし掛かってきた。そして手のひらを広げ、傷を見せ

「ほら、アンクみたいでしょう!ぎゃはははは!」

なんだか非常にテンションが高い。アンクとは、仮面ライダーオーズに出てくる

アンク
このキャラのことで、800年前の封印から解かれた怪物である。諸事情により完全体ではなく、腕しか復活出来ていない。そのため人間に寄生しており、いわば寄生獣のミギーである。

アンクもちょうど腕の真ん中にポッチがついており、タクはそれを自分の手のひらの傷に見立てているのであった。

「あはは、そうだなー。似てるなー」

僕もそう笑っていると、

「パパが『カバン持って走れ』って言うから悪いんだよ!」

また昨日の言いがかり再びである。

「いーや、タクが最初に自分から言ったからパパも『じゃあやれ』って言っただけですぅー」

「ぷうー」

タクは口をとんがらせながらも苦笑いし、イタズラがバレた磯野カツオみたいな顔になっていた。

ていうか、全然ナーバスじゃないじゃん。僕は肩すかしを食らってしまった。酉年の鳥頭だけに、一晩寝たらケロッとしてしまったのだろうか。

手のひらだけに、まさに手のひら返し。なんつって。

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■気は優しくて、カバン持ち。
2011年04月21日(木)
朝、会社に行く時に息子・タク(5才)も一緒に家から出て来た。

いつもではないが、早く支度を終えた時は僕と娘を見送ってくれる。その時は必ず

「ぬおおおおおお!」

意味もなく走り出しとっとと僕らを追い抜いて、最初の曲がり角で止まるのである。止まるとはいえ曲がり角から車や自転車が出てくることもあるし、

「走るな!」

といつも怒鳴っているのだが、それで聞くようなタクではない。

集団登校するみんなが集まるまでしばし戯れる。今朝は

「パパ、カバン持ってあげるよ」

僕のカバンを持ってくれるというので渡してやった。弁当箱ぐらいしか入っていないのでそんなに重くはない。タクは得意気に手に持って歩く。

「じゃ、そろそろ行こうか」

いつも一緒に行く面子が揃うと、

「いってきまーす」

嫁などへ声をかけて道路を歩き出す。

「きょうはカバンを持って走るよ!」

とタクが得意気に言う。親としては止めるべきだったのだが

「えーできんのー?」

と、逆にけしかけてしまった。

「ぬおおおおおおお!」

タクは走る走る。いつもと変わらないぐらいのチョロQのような颯爽とした走りを見せ、そしてその勢いを保ったまま…

転んだ。

そりゃもう「ぽてちん」と擬音が聞こえてきそうな、あっさりした前のめりゴケ。

「ぶわああああああ!」

僕、タクの絶叫とほぼ同時にダッシュ。そして起こし上げると膝はすりむいていない…。しかし、小指の爪大ぐらいの手のひらの皮が剥けていた。

「これぐらい大丈夫だ!」

と励ましたのだが

「いたいよおー!パパがカバン持って走れって言うからだよお!」

タク、泣きながらブチ切れ。なんと、僕のせいにされてしまった。

「えええええ〜?」

と驚いていたら

「はいはいはいはい、いいからこっちいらっしゃい!」

「うわああん、ママー!」

こぼれ球を拾うラガーマンの如く、嫁が素晴らしい走りでタクを拾い上げ、とっととウチに戻って行ってしまった。騒がしい母子がいなくなって静かになり、ぽつんと残されたのは僕と、他の子供達と

「パパのせいにされちゃったね」

きゅきゅきゅ…と野口さんのような意地悪い笑い顔を浮かべるR。

「さ、遅れるから行こうか…」

「たっくんすごい怒ってたねー」

「自分のせいだっつの」

僕らは再び通勤通学の道を急いだのであった。

タクは僕のカバン持ちに失敗したので癇癪持ちになってしまった、というお話でしたとさ。

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■マクドでグダまくど。
2011年04月20日(水)
子供達がよくマクドナルドに行きたがる…。

理由は明白。子供はただでさえジャンクフードが好きなのに、日曜朝の子供番組の合間に集中して流すハッピーセットのCMに誘惑されまくりの娘・R(7才)と息子・タク(5才)なのである。

「まっくいきたーい」

と猫なで声でおねだりされるが、なりませぬ。僕は出来る限りマックには行きたくない。嫌いというわけではない。ただ、どうせジャンクフードを食うのならマックより腹が膨れる牛丼の方を選ぶ。

「お前のことが、すき家ー」

「ちょっと、松屋ー!」

というのは鳥居みゆきのギャグである。更に、たとえハンバーガーを食べる羽目になったとしても、出来るだけマックは避けたい。何故ならば、僕が生まれ育った栃木県栃木市にはマクドナルドがなく、栃木駅の中にロッテリア、そして駅とロータリーをはさんだ向かい側にドムドムバーガーしかなかった。

なのでロッテリアとドムドムこそが慣れ親しんだ味であり、今でもマックを食べるたびに「なんか違う…」とガッカリしてしまうのである。

というわけで嫌いではないがつい避けてしまうマック。だけどついこないだ子供達と行ってしまった…。

「たまにはマック買いに行ってもいいかな〜」

ついポロッと口から出てしまったので

「じゃあいく!ぜったいいく!」

たちまちRとタクに煽られ、浮かれポンチのふたりを連れて行く羽目となったのだ。頼んだのは当然ハッピーセット。チーズバーガーのやつ。それしかクーポンがなかったので。

「ピクルスぬいてよ!」

と言われ慌てて店員にそれを告げる。ハッピーセットなんだからピクルス抜きをデフォルトにすればいいのに。子供がオーダーするのが大半なんだろうから…というわけでもないのだろうな…。もらえるオモチャが6種類あるとしたら6セット大人買いする大きなお友達もいるしな。

この時期のオモチャは男の子用はドラゴンボールのカード、女の子はたまごっちのカードであった。何種類かあり、袋に入っていてどれが当たるか分からない。Rはどんなカードでも良かったらしいが、タクは気合いが入っていた。

「孫悟空のカードが当たりますように。ピッコロはやだ」

袋を開ける前、ドキドキしながらそんなことを言っていた。お前はドラゴンボールのマンガもアニメも観ていないからピッコロの魅力が分からぬのだ…!しかしそれを教えるにはまだ早過ぎる。ドラゴンボールを読ませるということは、「ぱふぱふ」を避けては通れないからである。

「パパ、開けていい?」

チラリと上目遣いするタク。

「全部食べ終わったらな」

ふたりともあっという間にチーズバーガーとポテトを食べ終わり、もどかしげに袋を開けようとするが、なかなか出来ず

「パパ!開けて!でも中身見ないで開けてね!」

タクはいちいち注文がうるさい。で、袋に切れ目を入れてやるとすぐさま僕の手からひったくり、一気に開けて

「やったー、そんごくうだー!かめはめはー!」

「よかたね」

5分の1の確率の、お目当てのカードを見事引き当てたのであった。ピッコロだったら30分は慰めてやらなければならぬところであった。

手に入れろ♪二世帯住宅♪

これも鳥居みゆきのギャグである。

ところでファーストフード、と言う場合とファストフードと言う場合があるが、僕はファースト、と伸ばす方を使いたい。

ファストフードって言うとフィストファックを思い出してしまい、言った後ちょっと恥ずかしいのは僕だけだろうか。僕だけだよねえ…。

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■ああ震度。
2011年04月19日(火)
未だ大きな地震が起きる可能性がある今日この頃。

娘・R(7才)と息子・タク(5才)も防災意識を持ち始めたようである。学校や幼稚園で防災訓練をやっているし、ニュースや新聞を見れば災害に関することが必ず取り上げられているため、徐々に知識も付いてきたようだ。

地下鉄を利用する時に、駅の中が薄暗かったりエスカレーターが止まっているのは

「なんで?」

とよく聞かれるので、何度か説明してようやく「電気」「発電所」「節電」等の単語の意味が分かってきたようなまだ分かってないような、というレベルではあるが。発電所が故障して…という説明よりもいっそのこと

「ピカチュウの数が足りなくて電気が作れない」

とか言った方がイメージが湧くのかもしれない。でもそんなことを言ったら速攻で得意気に友達に話しそうなのでやめておくことにする。

今日はタクが質問してきたことがあった。

「ねえパパー。『しんど』っていくつまであるの?」

「しんど…ああ、震度か」

なるほど、未だに余震がしょっちゅう起こり、すぐさま震度4だの5だのニュースでやっているから、聞くことも多いのだろう。

「震度はねえ…えーと」

いくつだったっけ…コッソリケータイでぐぐって調べ

「いい質問ですね。震度は10まであるんだよ」

池上彰さんばりの、さも何でも知ってるんだぜ、みたいな余裕の表情を装いつつ、実は8ぐらいまでかな?とか思ってたよヤベエ、と焦った。するとタクは

「じゃあ震度孔雀はある?」

なんだか訳が分からない質問を投げかけてきた。

「孔雀はオーメダル(「仮面ライダーオーズ」に出て来る変身用のメダル。それぞれ動物の力が秘められている)ならあるけど、震度は数字だから。動物じゃないから」

「ちーがーう。震度の孔雀!」

話が噛み合ってない…どうしたもんか…と次に口に出す言葉を考えていると、嫁が横から割り込んできた。

「あのね、震度5弱ってあるでしょ?だから震度9弱もあるのか?って聞いてるのよ」

「あ、そういうこと?」

「そうだよ!」

タクが我が意を得たり、とばかりにばちん、と手を打った。

「強弱があるのは5と6だけだよ確か。だから9弱はないんだね」

と一応答えておいたけれども、タクは何でもダジャレにしてしまうなあ…、と舌を巻いた。これは血は水より濃し、というやつだろうか。僕がいつもダジャレ日記を書いてるだけに…。しかしそのわりには素でダジャレをスルーしてしまうとは僕、まるでダメである。笑止千万である。

ぼーく、ぼーく、笑っちゃいます。

風見震度。

ああ…これも苦しい…。タクにダジャレ製造を任す日も近いなあ。

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■イッツ嘔吐マチック。
2011年04月18日(月)
休日でヒマと体力を持て余す娘・R(7才)と息子・タク(5才)をとしまえんに連れて行くことにした。

「私はやることいっぱいあるから行っておいで」

ひとり留守番を決意した嫁は妻の鏡である。いわばミラーワイフ。ミラーマンとツガイみたいでちょっと嫌だ。

としまえんは年間パスを持っていて、しょっちゅう行っているので

「もう飽きた…」

となってもよさそうだが、ところがぎっちょん。Rもタクも身長が伸びてきて110センチを超えた。これにより今まで乗れなかった「110センチ以上利用可」の大型アトラクションが乗れるようになったのである。

それで前々回来た時ぐらいからいくつか初挑戦をしているのだが…。小さい子は乗れないアトラクションなので、当然それなりに絶叫系でハードな動きをする。僕はジェットコースターのような宙返り系は大丈夫だが、コーヒーカップのような横にぐるぐる回るヤツはダメなんである。

前回としまえんに来た時の日記にも書いたと思うが、身長110センチ突破により乗れるようになったモノってことごとく横回転系で、Rとタクの付き添いで

「我慢してればなんとかなる…」

と覚悟を決めて、やむを得ず乗ってみたら我慢どころの話ではなく、貧血になった上に吐いてしまった。

「吐いちゃったよう…まだ気持ち悪いよう…」

と嫁に泣きついたら、いたわりどころか

「マジで吐いたの?」

嘲笑を返してきた嫁の仕打ちは一生忘れない。今回は懲りているので、前回乗ったモノについては

「君らもう慣れたから自分達だけで乗れるだろ」

ということで僕は端で見ているだけにしたのだが、今まで乗ったことがない、今日初めてチャレンジしようとしている、これまた横回転系のアトラクションについては

「コワイからパパと乗るー」

とタクがヘタレなところを見せるので、

「ひとりで乗れないなら乗るな!」

本気で拒絶してみたものの、

「やだ!たっくん乗りたい!」

泣く子と地頭には勝てぬし、マジギレして乗車拒否する父親って情けなさ過ぎる…との思いもあり、

「まあ吐いたヤツよりは回転速度遅そうだから…」

と、自分で自分を誤魔化しながら乗ってみたら、リバースこそしなかったもののやっぱり気持ち悪くて、以降ずっと胸に吐き気が残ってしまうことになってしまった。

そんなわけで初体験の絶叫系アトラクションに夢中になっていたRとタクであったが、シメは「ジャングルハウス」という屋内アスレチックを選んだ。これはふたりともずっと大好きな場所なのだ。

だいたいここで1時間ぐらいは遊ぶ。その間、親はやることがなくヒマであり、大体眠くなってくるので僕は床に寝転がっていることが多い。今回も気持ち悪さをずっと引きずっているので、ちょうどいい、寝ておこう…とウツラウツラし始めたところで、

「パパー!うんち!」

タクが建物内全員が聞こえるぐらいのでかい声で絶叫。トイレはこの建物内にはなく、慌てて飛び起きて外のトイレに連れて行った。

「間に合ってよかったねー」

戻って来てタクは戦線復帰。僕も再びウトウトし始めると

「パパー!」

今度はRが僕を叩き起す。

「なんだ!」

Rは声を出さず、口の動きだけで「うんち」と告げた。そこがタクと違い女の子だなあ…。と感心するやら眠れないやらでまたトイレへ。結局眠れぬまま、気分も優れないまま。

なんでだろう。嫁も子供達も大丈夫なのに、何故僕だけダメなのだろうか。先の嫁にバカにされた時には

「僕は君達と違い、三半規管が敏感なのさ」

と適当に強がってみたものの、本当に三半規管の感度の差なんだろうか。昔から乗り物酔いする方ではあったが、若い頃はここまでひどくなかったような気もする。若い頃と今の違いと言えば…禁煙して以来、すんごいデブったことだろうか。燃えよデブゴンか。

そりゃサンハンキカンじゃなくてサモ・ハンキンポーだ。

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■オサネク(おっさんネクストドア)
2011年04月17日(日)
貧乏長屋で暮らす我が家の隣に、新しく引っ越してきた人が挨拶に来たらしい。

僕は仕事だったのでいなかったが、

「あのねー、イケダさんっていう男の人だったよ!」

娘・R(7才)と息子・タク(5才)が説明してくれた。

Rによると、ちょっと前、大家さんが誰かとウチの前で喋る声が聞こえてきて

「お隣にはふたりのお子さんがいるんですよ」

と話していたのだという。おそらくこのイケダさんが説明を受けていたのだろう。

「ふたりのお子さんってRちゃんとたっくんのことだよね!」

Rは何故か喜んでいた。自分のことが話題に出されて嬉しかったらしい。そして嬉しそうな人がもうひとり。

「コレもらっちゃったー」

イケダさんからいただいたという焼き菓子の詰め合わせを大事に抱える嫁。このスイーツは、オーナーパティシエがCCBみたいな変なメガネをしている、近所のわりとゴージャスな洋菓子店のものである。

引っ越してきたばかりなのに既にこのあたりの地理的なツボを押さえている!あとはプリンセステンコー似の腰の低いおばさんが、危なっかしくもサービス満点で接客するこの街最古の名物喫茶店と、キャバクラ「EKD48」を押さえとけばこの街はシメたも同然。

見たわけではないけれども、なんかソツがない感じの人だなあ、と思い、

「イケダさんだけにイケメンだったかい?」

と聞いてみると

「ううん」

「全然」

「ちがう。おっさんだし」

R、タク、嫁、全員一斉に否定。ひどっ。

「髪が凄い長くてね…後ろで束にして結んでいるのよ」

「じゃあマンガ家かな」(偏見である)

「服もジャージ…っていうか、あなたが寝る時着てるスウェットみたいなもっさりしたやつで」

「やっぱマンガ家かな」(偏見である)

この街はマンガ家が多い。と、昔アシスタントをしていた友達に教わったことがある。ある日、全身迷彩服で歩いている人と擦れ違った時に

「あの人もマンガ家なのよ」

とコッソリ耳打ちしてくれたこともあったなあ…。それはともかく、僕らがここに来た時に隣にいた家族は、Rと同じ年の女の子がいたこともあり仲が良かった。しかしその家族が引っ越して次に入った人、そしてそのまた次の人とはほとんど繋がりがないまま知らぬ間に引っ越して行ってしまい、寂しい思いをした。

今度のイケダさんとは仲良くしたいなあ…と思うのだがどうだろう。子供繋がりとか、何らかの接点がないと無理だろうか。そこは諦めずに頑張ってみたい。

隣人だけにネイバーギブアップなのよ。

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■茶飲み話するお茶がない。
2011年04月16日(土)
烏龍茶が売ってない〜。

僕はいつもサントリーの烏龍茶を飲んでいる。特にうまいから、というわけではなく長年の習慣なので…。夜のお相手は長年の習慣でいつも嫁、という理屈と一緒である。

ところがこれも地震の影響でまったく手に入らなくなってしまった。水や乾電池、納豆など、話題に上るモノの品不足は気付いていたが、これには全く気付いていなかった。

普段は常に嫁が近隣スーパーのチラシをチェックし、

「江原町のサミットで138円!」

底値に近いところで2リットルのペットボトルが6本入った箱毎買いだめしてくれていた。ストックがなくなりようやくどこにもうってないことに気付いたわけである。タクが大好きな牛乳はもう問題なく手に入るのになあ…。

嫁が何日か探してくれたのだけど

「買い物に行ったけど、どこにも売ってないから自分で調達して下さい」

ある日の昼間、ついにギブアップのメールが来たので仕事帰りに探してみることにした。この時間、もうコンビニぐらいしか開いてないが仕方がない。サントリーじゃなくても烏龍茶ならなんでもいいや、と思ったがとんでもなく、烏龍茶自体何処にも売ってない。

じゃあ緑茶で…と思ったらそれもナシ。あるのは爽健美茶とかヘルシア茶といった普段あまり飲み慣れないお茶がちょっとだけ。茶だけにちょっとだけよーんってか。

あるコンビニでは500ミリリットルの烏龍茶はあった。しかしいつも最安値で買っている2リットルの値段と大して変わらず、とても買う気にはなれなかった。

またとあるコンビニでは「おーいお茶」の2リットルが1本だけあったのだが、

「ま、これでいいかな」

ほんの数秒だけ迷い、手を伸ばすのが遅れたのが命取りとなった。横からおばさんがサッと掠め取って行ったのである。キイイイイイイ!目の前で奪われると、ものすごいレアもんを逃した気分になるわ!

そういうわけでもう諦めの境地に立ってしまい、結局買ったのは烏龍茶でも緑茶でもなく、このブログの左上にある「バカ写真」の画像にある「すっきりマンゴー」というジュースであった。

「すっきり」な「マン○」という語感に惹かれただけであり、最早喉を潤す目的から大幅に離れてしまった。

ま、いつかは買えるだろうさ、と考えることにしたのであり、お茶だけにお茶を濁したわけである。

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■とんでも接吻。
2011年04月15日(金)
最近忙しくてなかなか子供と接する機会がない。嫁とせっ○すする機会もない。

ちょっと寂しい感じである。接していないから日記に書けるなネタもないし…。朝の出かけるまでの、限られた時間だけは一緒にいることが出来る。但し朝はバタバタで慌ただしい。

「いっしょに出よ」

娘・R(7才)に急かされて慌てて支度をする僕。いってきまーす、と嫁と息子・タク(5才)に声をかけて玄関を出ると

「パパ、手かして」

「ん?」

「手をつないでよ」

言われるがままに手を差し出してRの手を握ると

「うわー、パパの手、あったかーい」

ほお擦りせんばかりにRは僕の手を撫で回す。ああ。ずっとこうしていたいなあ…。手を繋いだまま、仕事から逃げて遠くに行ってしまいたい。Rも学校なんてやめちゃって、デカダン酔いしれ暮らさないか。 白い壁に「堕天使」って書いて…なーんてよォ。

しかしそれは叶わぬ夢であり、現実のこの瞬間は朝の束の間のふれあいなのだ。

「じゃ、いってらっしゃい」

「ばいばい」

1分も繋いでいなかったろう。Rは学校へ、僕は駅への道へとそれぞれ歩いて行った。

で、帰って来た夜中。Rが寝ている布団にモゾモゾと入り、とっとと寝ることにする。ただ、朝ちょろっとしかじゃれ合えなかったことへの物足りなさのせいだろうか、Rの寝顔があまりにも可愛く見え、思わずほっぺにちゅーしてしまった。

すると…Rの寝顔はみるみる不機嫌になり、眉間にはしわが深く刻まれ、まるでうんこを踏んだ時のような

「不快極まりない…」

表情になり、僕がくぢづけしたあたりを袖でゴシゴシと強く拭うではないか!いつもベッタリ甘えてくるRなのに…僕は深く落ち込んだ。実はこの表情の方が本心で、

「ホントは嫌なんだけど…」

僕が悲しまないように敢えて甘えているのではないだろうか…そんなことを勘ぐってしまった。それだけ急激な表情の変化だったんである。

僕は布団から出た。とても眠れる心理状態ではないわ!これがシラフでいられっか!

口づけの後は酒漬けになりそうである。

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■寝る子は闘う。
2011年04月14日(木)
「今日からパパと寝たい!」

夜、息子・タク(5才)に迫られた。

僕ら家族はずっと嫁&タク、僕&娘・R(7才)が一緒の布団で寝ていた。タクは嫁ベッタリだったのに、ホモっ気に目覚めたのだろうか。

「急にどうしたんだい?」

と聞いてみると、Rとふたりで決めたことなのだという。ということは、Rは

「もうパパと一緒に寝なくてもよい…」

と判断したわけだ。猛烈に寂しい。男同士ならいくらでかくなっても一緒に寝れるが、娘だと無理だろう。そしてこうして少しずつ僕とRは距離が開いていき、いつの間にか手を伸ばしても届かなくなってしまう…、と、人生の無常を感じるのであった。

「でも、まあ、君たちがそう決めたっていうのなら」

ということでRは嫁の布団、タクは僕の布団にもぞもぞと入って寝ることにした。すると…

「やっぱりRちゃんもパパと寝たい〜」

2秒で耐えられなくなったRが僕の布団の中に突撃してきた!

「Rちゃんやめてよ!Rちゃんはママの布団って決めたでしょ!」

当然タクが猛反発し、もう布団の中はどったんばったん。もみくちゃで何が何だかわけわかめ。

「おらー!寝れないし痛いし苦しいだろ!決めたことはちゃんと守れ!」

Rがまだ僕と離れられないことが嬉しかったことは確かだが、とりあえず眠れぬ。Rを鎮めないことにはどうにもならぬ。だが

「Rちゃん、ママの布団で寝なさい!」

と押し出してもまた戻って来、タクを追い出そうと暴れ、言うことを聞かない。更には

「本当はたっくんがパパと寝たいって言うからしょうがなくおっけーしたの!」

などと言い、本当は嫌だったのだとキレ出す始末。

「もう、いいよ…Rちゃんしつこいから…」

なんとタクがくじけた。これまではワガママを言うのはいつもタクで、ゴリ押しされて譲ってしまうのがRだった。しかし今日は全く逆のパターン。

「今日は珍しくRのワガママがタクを負かしたよ」

と嫁と笑っていたら

「まけたっていわないで!」

負けず嫌いのタクが怒りながら嫁の布団に戻って行った。入れ替わりでニンマリしたRが僕の布団に滑り込んできた。いつもタクに譲るやさしいRがこれだけは引かなかった。よっぽど僕と一緒がいいのかしらん…なんて考えるとまた胸がときめいてメモリアルになったりして。まだしばらく僕とRの蜜月は続きそうである。

Rは寝る時のルールの不満なだけに、泣き寝入りしなかったようで…。

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■日記廃人。
2011年04月13日(水)
子供達と交換日記が始まってしまった。

娘・R(7才)は土日休みのうち1日ぶんの日記を書くことが宿題になっている。ある時、1日の流れを丁寧に取り上げ、とてもボリュームがある日記を書いたら先生に褒められ、よい見本としてクラスで紹介される、という栄誉を得た。

得意になったRはそれ以降ノート何ページにも渡る大長編日記を書くことが多くなったがこの交換日記とは違う。

「長くなくていいから。簡単な日記でいいから書いてみな。それをパパが見てお返事書くの。これが交換日記よ」

と嫁がRと息子・タク(5才)をけしかけたのだ。そのきっかけはなんだか忘れてしまった。ノートを貰ってその使い道を考えていたから…だったっけ。いずれにせよ、Rもタクも日記を書くのが好きでなければこういう話は出て来ない。僕も11年あまりインターネッツで日記を書いているので、これも血なのだろうか。

じゃあ今日から書こう、と決まった日の夜、仕事から帰って来ると早速机の上にノートが置かれていた。開いてみると

「今日は○○ちゃんとあそびました。かみなりがなったのでおうちにひなんしました」

みたいな簡素な記述であったが、なんと3日分も遡って日記が書かれていた。気合いが入ってるなあ…。さらに

「おへんじ→」

返事はここに書けと、返信欄も指定されている。こないだくれた手紙と一緒である。早速返事を書いてやったのだが、

「かみなりはこわいねー」

とか、かなりどうでもいい内容になってしまった。Rの簡素な日記への感想を膨らますのって意外と難しい。翌朝、

「返事書いたよ」

とRに知らせてやった。ただ、学校に行く準備も終わらないまま見ようとするので

「今はダメ!学校から帰って来てから見なさい。ノートはパパの机に置いてあるから」

ただでさえ朝はダラダラ支度のRなので、そう言いつけて仕事に出た。


で、夜帰って来て机を見たら、ノートは僕が置いたままのところにあった。開いてみても書き足された日記がない。

「三日坊主にもならなかったな…」

と苦笑いすると

「パパがお返事書いてくれないから日記が書けなかった、と子供達がぼやいてますが!」

と嫁が口をとんがらせて言う。

「なにー!Rっ!学校から帰って来たら読みなさい、と言ったろう!」

「あ…そうだった」

てへ☆とRは悪戯っぽい笑みをこぼした。この大ボケ娘め…。でもその小悪魔的に誤魔化す笑みが可愛かったので許す。

日記を交換する前に、意志の交換が必要だと思うんだ。僕らボケ親子だし…。

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■花見で一杯。仕事が一杯。
2011年04月12日(火)
土日とも仕事で、桜満開の中でのお花見は出来なかった僕である。

日曜の夜、家に帰って来ると

「わたあめ食べたんだよ!」

娘・R(7才)と息子・タク(5才)が嬉しそうに言うので、

「へえ。どこにおでかけしたの?」

「あらいやくし!」

新井薬師公園の桜を観に行ったという。嫁と子供達は木、金、土曜日とひたすら最寄の小さな公園の桜の木で花見をしていたらしいのだが、

「さすがに私が飽きちゃって…」

嫁がマンネリ打破として連れて行ったのだそうだ。新井薬師公園は桜がとても綺麗な公園である。例年ならば屋台がわんさかと出、ステージでライブや演芸等のイベントもある、とても賑やかなお祭りが開催される桜の名所。

更にウチからだと公園に行くまでに通る新青梅街道と中野通りの桜並木も素晴らしい。それこそ桃色のわたあめのようなトンネルで、何年か前ここをウットリ呆けながら歩いていたら、うっかり財布を落としてしまったこともある。現金のみならず各種カードや免許証もロストしひどい目に遭った。花見のつもりが地獄を見てしまったとさ。

それはさておき、嫁達が行ってみると例によって自粛にてお祭りは中止。但し、花見客自体はわんさかいて、隣の新井薬師には桜祭りには関係なくいつもテキヤの屋台がいくつか出ており、そこに花見客が殺到していた。

「たかがわたあめを買うのに30分もかかっちゃったよ…」

30分て。人気ラーメン屋か。そこまでしてわたあめを食べたかったのか…。いや、Rとタクはわたあめ大好きだからなあ…。屋台のお菓子は必ずわたあめかチョコバナナのいずれかを選ぶんである。

あと、この公園の近くには、豆腐屋のおからを使っているというドーナツ屋があり、嫁が大好きなのだが、そこも大行列でこれはさすがに諦めたという。嫁が撮った写真を見せてもらったら

Rとタク
わたあめでかすぎだろ。エクトプラズムか。

Rとタク
お約束のひげじいさん。

「大きなわたあめでよかったね」

などと子供達と話しながらテレビをつけると、ちょうど都知事選がどうのこうの…というニュースで、

「あ、ワタアメさんだって!」

と子供達が騒いだが、それはワタミのワタナベさんであったとさ。

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■日曜日 子供はヒーロー 親疲労。
2011年04月11日(月)
日曜の朝は、ゆっくり寝ていたい…。

おっパブでおっぱいを貪っていいように、日曜の朝は眠りを貪っていいはずである。ところが今朝はそうはいかんざきであった。

僕は泥のように眠っていたわけだが突然ゆっさゆっさと揺らされ、強制的に起こされた。

「ねえパパ〜。いまなんじ?」

僕の横で寝ていた娘・R(7才)であった。どうやら早く起きてしまったらしい。腕時計を見るとまだ朝の6時…。

「6時だよ。まだ寝てなさいよ」

いくら寝起きのRの顔が可愛くても、安眠を妨げられたことにはさすがにちょっとイラッとする。有無を言わせぬ言い方でとっとと寝直した。眠りの世界にうとうとと戻ろうとしていた時、今度は

「おひっこもれちゃったあああああ!」

息子・タク(5才)がもの凄い勢いでトイレまですっ飛んで行き、トイレの用が済んだらまた戻って来て、でフリチンで僕の頭をまたいて替えのパンツを取りに行った。

僕は再びイラッとした。お漏らししたことに対してではない。5才だからお漏らしぐらいするだろう。タマキンが僕の頭上を通過して行ったことに対してでもない。ちゃんと自分で汚れたパンツを水に浸け、着替えられることを褒めてあげよう。

ただし、頼むから寝かせてくれえええええ!漏れた漏れたと言っても原発じゃないんだから、おしっこが漏れたぐらでただちに健康に影響はない。つうか、ただちにも後にもない。もうちょっと静かにしてくれ…と怒るのもめんどい程眠いので、再び夢の世界に突入する。ああ、眠れそう…と夢のかけらをつかまえられそうになった時、

「パパ、今何時?」

再びRに揺り起こされて、うおおおお、サザンの歌じゃねえんだからよう!父を時計代わりにするな!しかしRに対しては非常に優しい僕は

「あのね、7時半になったらパパのケータイからPerfumeの歌が流れるからね、それで分かるよね?」

「うん」

何故7時半なのか。それは日曜日の朝は子供向け番組が目白押し。何とかレンジャー→仮面ライダー→プリキュアの3連続コンボで観ているのである。それが始まるのが7時半なのだ。Rはワクワクしてもう寝ちゃいられないんである。

今日はいつもにも増してワクワクが激しいようである。普段だったら僕を叩き起したりしない。どうしてだろう。かなり早くに目が覚めてしまったからだろうか。

携帯のアラームが鳴る…という説明が効いたのか、それ以降Rからは起こされなくなった。そして7時半に携帯がキッチリ7時半にアラームを鳴らす。子供達は即座にテレビのスイッチを入れたが、僕は起こされる→寝直すの繰り返しでちっとも眠った気がせず、

「タク、オーズ(仮面ライダー)が始まったら起こしてくれ…」

とタクに頼んでまた寝直したのであった。

「たっくんねえ、映画みたいんだなあ…」

ちょうど番組の合間にばんばん流している仮面ライダーの映画のCMを見てタクがおねだりしていたが、それには返事せず布団の中に潜り込む。僕はもう映画を観てるんだい。

すなわち、睡魔の休日である。

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■地震雷火事オバケ。
2011年04月10日(日)
もう2日も前の話になってしまったが…。

夜中に大きな余震が起きた日、家では僕以外全員寝ていた。

「ぎょえっぎょえっ。ぎょえっぎょえっ」

唐突に携帯が鳴り響き、恐怖新聞がやって来たぐらいに驚く。すなわち寿命が100日縮まりそうなくらいビビる。ジャングルの奥深くで謎の怪鳥が交尾しているような不気味な音は本当に不快。

気付かせることが最優先で敢えてこの音にしたのだろうけど、あんまりである。まだ僕が奏でる屁の音の方がカワイイ。メールを開くと

「宮城県か…」

遠くなので油断していたら、程なくヤバげな揺れがやって来て、慌てて寝室に。嫁も娘・R(7才)も息子・タク(5才)目を覚ましていて、子供達は怯えていた。倒れ落ちて来る可能性があるのは電灯ぐらいなのだが、とりあえず部屋の扉を開けておいて、嫁がタクを、僕がRを抱いて揺れが静まるのを待った。結構長くて

「しつこい…」

嫁が辟易した声でぼやいていた。ようやく揺れが治まり、東京でコレなら震源地はもっと…と思いテレビを点けたらやはり規模の大きい地震だった。

「もう大丈夫?」

まだ不安の色を隠せない表情のRとタクがかわいそうで、

「もう大丈夫だよ。今、夜の11時半だよ。すごいね!こんな時間に起きてることないよね!」

と、多少テンションを上げてみたら

「11時?オバケが来る!コワイ!」

タクは更にマジで怖がってしまい、布団の中に潜ってってしまい逆効果になってしまった。

僕も子供達には「大丈夫…」と言いつつも、実はまだ余震が来るんじゃないか…爆睡している間に来たらどうしよう…と、なんとなく不安になってしまい、子供達が寝た後でも眠れなくなってしまった。

更に地震の時の初期対応も…。本当に出口の確保は必要なのか?お屋敷住まいじゃあるまいし、玄関はすぐなので必要ないのかもしれん。そして揺れが治るまで家でじっとしているべきなのか?

先程はバタバタと外に出る人達の物音が聞こえた。だだっぴろい広場だったら安全だろうけれども、このへん貧乏長屋街だし…。

そんなことを考えながら不安になってしまったが、ふと、開けておいた扉を閉める時、キッチンにチョコボールを発見した。甘い物でも食って気を紛らわせるか。チョコレートは精神安定の効果があるとかないとか。

地震だけに、クエイク、クエイク、クエイク、チョコボール。

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■春は進級でセンキュー。
2011年04月09日(土)
娘・R(7才)が自分でフスマに頭を挟んでいた。

「あたまをはさんでもらうと、あたまがよくなるんだよ」

そりゃ獅子舞だ。

そんなRも小学2年生になってしまった。ついこないだ入学したと思ったのに…。感覚的には半年前はまだ幼稚園にいた…みたいな光陰矢の如しである。2年生最初の登校の日の朝、

「もう2年生か。早いもんだね」

しみじみRに声をかけるながら

「ということはタクも…」

息子・タク(5才)の顔を覗き込むと

「そうだよ。たっくんは年長だよ!」

やっぱり早いなあ…。入りたての頃は泣きながら幼稚園の門をくぐって行ったタクがもう最上級生。

「ちょうちょ、ちょうちょ、僕のちんちんにとーまーれー」

と歌っているタクが最上級生。大丈夫か…。とか考え込んでるヒマがないほど朝は忙しい。

「パパ、いっしょに行って来ますしよ」

Rに急かされて一緒に

「いってきまーす」

と家を出る。1年生のシンボルだったランドセルの黄色いカバーが取れ、赤いランドセルなのがまだ違和感がある。Rは家の前で近所の子が出て来るのを待つ。これまでは僕も一緒に待っていたのだが、電車の間引き運転の影響でもっと早い電車に乗らなければならなくなり、

「じゃ、がんばれよ〜バイバイ」

ひとりでぽつんと待つRを置いて行くのは後ろ髪引かれたが、ちょうどRの同級生が家から出て来たので出掛けることにした。

子供達はガンガン成長し、世の中もどんどん変わっていく。しかし僕だけは何も変わらず、ただ目先の忙しさに忙殺されるばかりで、周りの成長・変化から取り残されているような焦りも感じるのである。

子供達は進級。
僕バタンキュー。みたいな。

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■ラブレターフロム娘。
2011年04月08日(金)
思い出したように手紙魔になる娘・R(7才)。

夜、仕事から帰って来ると机の上にお手紙が。折り紙を可愛くたたんで、シールで飾り付け「パパへ」と書いてある。

『パパへ
 いつもあそんでくれてありがとう。
 これからもしごとをがんばってね♥
 Rはパパのことがだ〜いすき♥
 パパはRのことだ〜いすき?
                  Rより』

なんて直球なラブレターなのだろう。ご丁寧なことに、手紙の下の方に

「Rちゃんへ」

と枠が囲ってあり、ここが返信欄ということなのだろう。

「とってもとってもとってもとってもとってもとってもだいすきよ」

と書いておいた。マジで涙する5秒前なんだもん。娘からのストレートな愛情表現に心を揺さぶられない父親はいない。もしかして、これってちょっと前にRが

「Rちゃん、好きな男の子誰にするか決めた!」

と言い放った時、僕があまりにもショックをうけたさまを見てフォローしてくれたつもりなんだろうか…。と思ったら嫁にもタクにも手紙を送っていた。ちぇ。

翌朝、

「手紙ありがとうね」

とRに返事を書いてやりつつ、タクに送った手紙も読んでみたら

『たっくんへ
 いつもけんかしてるけど
 Rちゃんはたっくんの
 おねえちゃんでよかったとおもうよ』

な、涙が出て来てしまった。飾らない、隠さない、素直なRの言葉。Rはタクのために我慢することが出来る。譲ってやることが出来る。泣いていたらなぐさめてやることが出来る。タクとほとんど背が同じで双子とか言われるけど、立派な姉なんである。

タクは僕への手紙を見て

「どーしてたっくんには『だいすき』って書いてくれないのー!」

とダダをこねていたが

「こらこら、『たっくんのおねえちゃんでよかったとおもうよ』っていい言葉だぞ」

と諭すと、後でタクもRに

「Rちゃんへ。いつもやさしくしてくれてありがとう」

という返事を書いていた。姉弟ってやっぱりイイなあ。

僕もこんなお姉ちゃんが欲しかったよ。

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■単一求めて単一行動
2011年04月07日(木)
娘・R(7才)と息子・タク(5才)はピアノを習っている。

しかし貧乏長屋住まいなので家にピアノなんか置けるわけない。ほとんどおもちゃと言ってもよいキーボードで練習している。そのせいで特にタクなんかは鍵盤のタッチが弱過ぎて、セクハラオヤジが

「肩凝ってないかチミ〜」

とソフトタッチするみたいな何となくエロい手つきになっているので、本物のピアノを弾いてみると蚊の泣くような音である。

そんなタクが今日もキーボードで練習している最中、僕がその横を通り過ぎようとしたところ

「キーック!」

練習に飽きたタクにいきなりケリを入れられたので、よろけて電源コードに足を引っ掛けてしまった。

「こら!練習中にふざけるな!ちゃんとやれ!あと親を蹴るヤツがあるか!」

タクを叱り練習を続けろと命じたのだが、キーボードの音が出なくなってしまった。

「あーあ…きっと断線してしまったに違いない…」

専用の電源コードは取り寄せないと手に入らないだろう。少なくとも何日かはかかる。その間は電池を入れてやるしかない。

「電池何個いるんだっけ…」

キーボードを裏返して電池が入るところを調べてみたら、

「ひいいいいい!単一が6本も!今時どこにも売ってないぞ!」

よりによってこのご時世に単一!しかも6本!震災以来電気店やコンビニの電池コーナーがカラになっているのをよく見かけた。あまりにも電池の在庫がないので

「単三ありますか?」

店員に問い合わせてみたら

「キリンレモンでよろしければ」

と言われたほどである。(これはウソだが)

「でも最近は見かけるようになったよ」

という嫁の言葉を信じて何軒かドラッグストアやコンビニを回ってみたが、やはりダメ。スッカラカンのところ、単二単三はボチボチあるところ、在庫は店によって違ったが単一はどこにもなかった。

「あーあ、コレじゃ練習できないぞ!ふざけちゃ行けない時にふざけるからこうなる!」

改めてタクを叱るとぶあああああと泣き出した。でもタクは反省して泣いているのではなく、単に叱られて悲しいから泣いてるだけなんだよなあ…。その証拠に5分後にはまたいつものお調子者に戻っている。

ただ家で練習出来ないと話にならないし、Rもとばっちりを食ってしまい可哀想である。

「こうなったらローラー作戦しかないな!」

そう思った時はもう夜中になってしまっていたが、近場のコンビニを当たりまくった。何軒めかでようやく単一を発見!しかし

「おひとりさま2個まで」

の貼り紙が。

「これこれこういうわけで、どうしても6個必要なんですが…」

と店員に泣きついたが

「入ってもすぐなくなってしまうんで…」

「ですよねー…」

もっと深刻な状況の中で本当に必要としている人がいるはずである。それに比べたらウチの優先順位など下位の下位だろう。とりあえず2個買って、あと集めなければならないのは4個である…ってドラゴンボールじゃねえんだぞ!

結局それから5軒目ぐらいの店でまた在庫を発見し、ようやく6個揃えることが出来た。これは運が良かったのだろうか。しかしこんな状況じゃなきゃコンビニなんかで電池なぞ買わない。高いから。タクのケリ一発。高くついたなあ…。お年玉から徴収してやろうかしらん。

ウチに帰って来ると嫁はとっとと寝ていた。この苦労を聞いて欲しかったのに!

そして僕のプラス極と嫁のマイナス極をくっつけたかったのに!

愛の直列繋ぎ。なんつって。

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■もう恋なんてしないなんて言っとくれよ絶対。
2011年04月06日(水)
「パパ、『こい』って何?」

息子・タク(5才)が唐突に聞くので

「公園の池にいるじゃん」

と答えたら

「ちがう!」

とキレられた。何か意味を含んだような問いかけだったのでやはり「恋」のことなのだろう。タクが分かりやすいように噛み砕いて話さなければなるまい。

「恋っていうのは、男の子は女の子を、女の子は男の子を好きになって、ドキドキするぐらい大好きになっちゃうことなのだ」

こんな感じで説明してみたものの

「はて…」

必ずしも異性間限定とか限らないのでは…と迷ってしまった。現にタクが一番好きなのは男の子である。ちっちゃくて可愛い子なのは確かなのだが、タクの可愛がり方は度が過ぎていて、会う度に

「○○た〜ん。カワイイ〜」

抱き付くわ頬擦りするわで、僕は「タクには孫を見せてもらえないことになるのか…」と観念したほどである。なので

「でもタクは○○くんに恋してるってことになるのかな?」

と聞いてみると

「好きな女の子ができた!」

「えええええー!」

ウチの子は両刀だったのか…。

「誰よ。教えてくれよ。カホちゃんか?」

以前娘・R(7才)の友達の中で、やたらとタクが甘えていた女の子がいた。その子の名前を出してみたが違うと言う。

「じゃあ誰よ!」

「教えない」

「えー。ケチ」

「あとでママにだけコッソリ教えるね」

僕には絶対教えないと言い、横にいた嫁にニンマリと笑みを向ける。

「なんでパパには教えてくれないんだよう」

「ないしょ!」

「教えろ」

「やだ」

しばらく押し問答が続いたが、名前を聞いたところで

「僕が知っているはずないではないか…」

ハタと気が付いてわりとどうでもよくなった。ところが僕らのドタバタをずっと端で見ていたRが何を思ったか

「Rちゃんも好きな男の子決めた」

急に声高らかに宣言するので

「ええええええー!」

僕、心臓が喉から、うんこがアナルから飛び出しそうなぐらいびびった。遂にRに初恋の人が…。

「R…ほんとか…。誰だ」

「おしえなーい」

「教えなさ…い、いや、いいや…」

ううう…これ以上この事実を掘り下げる勇気がない。知りたくない。現実と向かい合いたくない。

Rも先程のタクと同じ「好きな人がいる」発言なのにどうしてこんなに衝撃が段違いなのか…。タクの場合は

「誰が好きなんだよー。教えろよー」

小学生の修学旅行の夜みたいなノリだったのに、Rの場合は深刻すぎる。もう僕が姥捨て山に放り投げられたような疎外感のズンドコである。

いやいやしかし、敢えて「決めた」と言っているあたり、無理矢理感があるので本当に好きではないと見た…とか、出来るだけ安心する解釈をしてみたり。そして2秒後ネガティブ妄想の反動をモロにくらってみたり。

オヤジなんて、娘にいくら愛情を注いでもどこぞの馬の骨に持ってかれるのさ。とにかくこんなヘヴィな事実、シラフでいられるかっつーの!

R大好き オヤジの恋は 恋は恋でも 酒持ってこい!

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■お好みっく・アニマル
2011年04月05日(火)
昨日の浅草日記の続き…。

予定では弁当でも買って花見をしながら食べるつもりであったが、寒くてとてもじゃないけれどもそんな気になれず

「どっか店で食うべ」

ということになった。しかし娘・R(7才)と息子・タク(5才)が公園の遊具ですごい熱心に遊んでいてなかなか離れようとせず、ようやく浅草の街に出て店探しを始めても、今度は嫁がパンダ焼きの店とかメロンパンの店とか名物っぽいものが売ってる店にいちいち立ち寄ってしまい、更にお土産屋で雷おこしを物色する始末で寄り道ばっか。

「あら、雷おこし試食出来るわ」

一斉に試食用の雷おこしに群がってボリボリ食う嫁とRとタク。この光景、さっき隅田川を遊覧する屋形船から、誰かが放った食べ物にうじゃうじゃ群がっていたカモメそっくりであり、情けなくなった。

「そんだけ腹減ってるんだから早くメシ食える店探そうぜえええ…」

とケツを引っ叩いても浅草寺は素通り出来ず、お賽銭を入れてお参り。

「たっくん、何をおいのりしようかな〜」

タクが迷っていたので

「そうだな、タオルから卒業できますように、ってお祈りしとけば?」

いつもハンドタオルを手離せず、口元に当ててふんふんしているので、そのクセを止められればいいね、と言ったところ

「タオルふんふんがやめられますよーに」

その通りに手を合わせていた。5分後

「もうやめられたかな?」

と真顔で聞くのでひっくり返りそうになった。5分で願いが叶うとか、どんなインチキ新興宗教だってそこまで言わないぞ。

そんな感じで、もやもやさま〜ず並みのダラダラ散策が続き、

「もうここでいいや」

と、もんじゃ&お好み焼き屋に入った時は既に15時近くなってしまった。こんな中途半端な時間だし空いてるだろと思ったらとんでもなく、結構待たされて驚いた。もんじゃって浅草名物だからいつもこうなんだろうか。

「Rちゃん、お好み焼きひっくり返した〜い」

お好み焼きはほぼ初体験のRは興味津々でなんでもやって見たいお年頃。結果ぐちゃぐちゃになってしまったがまあご愛嬌である。

タク
タクはびびってやらなかったがポーズだけはしたかったようで。

僕らの席の隣には女子大生風の3人組の客がいて、やはり大学生バイト風の店員の兄ちゃんと親しげに話していた。雰囲気からして3人のいずれかの彼氏なのだろう。

兄ちゃんはマメに働き、普通、客が自分で焼くもんじゃを焼いてあげたり、

「次は今○○と××と△△持って来て焼いてあげるよ」

メニューにもないオススメを勧めていたり。いくら彼女へのサービスとはいえ、すいぶん一見さんとの差を見せ付けてくれるじゃないか…。

ま、お好み焼きだけじゃなく、世話も焼きたい彼氏心なんだろう。

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■春の、あんまりうららじゃない隅田川
2011年04月04日(月)
桜を見に隅田川沿いの隅田公園に行く。

ウチの近所でもまだ全然咲いていないけれども、次の週末は忙しくて花見どころじゃないので今日決行することにした。電車で浅草駅に着くと地下鉄駅の構内がトイレ臭くて、娘・R(7才)と息子・タク(5才)が

「今、朝だから〜、朝、臭いから浅草なんだね!」

と父譲りのダジャレをかますので頼もしいやら情けないやら。

隅田公園の桜はやはりまだ半分も咲いておらず、しかも寒い。体の底から冷えてしまいそうな…。それでもゴザを引いて花見をしている人達で公園の空きスペースがなくなるぐらい埋まっていた。

Rとタクはまだ昼前だというのに「おなかがすいた!」と絶叫。確か昔来た時は松屋デパートで花見団子を買って食べたんだよなあ…と思い出し、松屋に入ってみると、どこにも花見団子が売ってない!ただパン屋の前を通りかかると

「パンがいい!パン食べたい!」

ということでパンを買い与えた。「花より団子」どころか「団子がなければパンを食べればいいじゃない」になってしまった。嫁は嫁で

「せっかく隅田川に来たんだから長命寺の桜餅とか言問団子が食べたいわあ」

とスイーツ(笑)なことをほざき、こちらも花より団子。その店まで隅田川沿いをずーっと向島方面に歩いて行き、往復で20分ぐらいかかってしまった。夜は花よりちんこにしてもらわないと割が合わない。

桜餅と言問団子
そんなわけで桜餅と言問団子。言問団子の「言問」は伊勢物語の東下りで有名な

「名にし負はば いざこと問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」

による。ここでの都鳥は都はるみより有名だ。ただしそこからどうダンゴに繋がったかは分からなかった…。

じっとしていると寒かったが、子供達は公園内の遊具で遊びまくっていたので暑いくらいになっていた。更に興奮していたのはアサヒビールのビル、すなわち「うんこビル」である。

スカイツリー以上に大受けし、大爆笑黄金のオブジェを指差しながら

「うんこだ!うんこうんこ!うんこだあああ!」

これでもかというぐらいうんこを連呼。ホントに子供ってうんこ好きなんだな…。

タク
あまりにも興奮していたのでうんこと写真。一方Rは

「うんこと写真なんかイヤ」

と拒否していたのは女の子らしさなのだろうか。

花よりうんこになってしまった。

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■ごめんくさいやさい。
2011年04月03日(日)
僕は偏食家である。

以前もブロッコリーが食べられないという話を書いたばかりで恥ずかしいのだが、このところやたらと嫁が出してくる苦手な菜っ葉がある。ほうれん草のようだがそうでなく、出枯しのお茶っ葉のような茶色の菜っ葉で、口に入れると腐ってるんじゃないないかってぐらいの生臭さと酸味があって超ダメ。

初めのうちは嫁に残したら怒られると思ったので、イヤイヤ口にしていたが、あまりの不味さに最近は手を付けていない。作ってくれた人に申し訳ないのは重々承知だが、理屈じゃどうにもならず我慢の限界であった。

好き嫌いが多い僕は当然野菜が苦手だ。ただキャベツやレタスといった、わりと味も匂いもひねりがなくやさしめの、野球の球種で言えばストレートな素直な野菜は我慢して食べられる。しかしブロッコリーとかこの正体不明の菜っ葉とか、球種で言えばダルビッシュのフォークボールレベルの変化球のような、野菜嫌いにとっては味・見た目共ひと癖もふた癖もある、即死系の毒草にすら見えるひねくれた野菜だともう手も足も箸も出ぬ。

嫁もそのへんは分かっていて、昔だったらキャベツレタスレベルぐらいの野菜で留めておいてくれたのだが最近は毒草系野菜をばんばん出してくる。これは

「あなたに合わせていたら子供達も偏食家になる」

娘・R(7才)や息子・タク(5才)が僕のようにならないよう気を配り始めたためだ。そうだよな。変化球も打てなければプロにはなれぬ。

今日の朝ご飯でもまたこの菜っ葉が出ており、ちょうどタクが

「たっくん、この菜っ葉にがてだから残しちゃった…」

しかめっ面をしていたので

「パパも残したぞっ!」

思わず仲間!みたいなノリで同意してしまったら

「何言ってんの!これはお父さん(嫁父)が作ってくれた菜っ葉なんだから!」

嫁にズギャアアアアと怒られてしまい、僕とタク半ベソ。一方Rは

「Rちゃんは食べられるもーん。Rちゃんは野菜好きだもん」

優等生なセリフを吐き得意顔。そして

「こないだおじいちゃん(これも嫁父のこと)家に泊まった時も、パパがだいちょうけんさしなきゃならなくなったのは『やさいを食べないから』っておばあちゃん(嫁母)が言ってたよ」

なんてことも言うので僕は口をあんぐりと開けてしまった。だって、大腸検査のことなんか、嫁実家には言ってないのに。

「な、なんでおばあちゃんが知ってるのー!Rが言ったのか!タクが言ったのか!」

「ちがうよ」(R)

「ちがうよ」(タク)

「言ってないし」(嫁)

えー…。じゃあ誰が…。嫁実家は風魔の忍びでも使っているのか。八王子城の近くだし。

「うーん。菜っ葉を作ってくれるお父さんと、料理してくれるお前には申し訳ないのは分かってるが、頼むからもう少しおとなしめの野菜にしてくれないか…」

野球初心者にいきなりダルビッシュの変化球は打てないし、童貞にいきなりア○ルセ○ク○も無理である。いや、大丈夫かも…。ともかく嫁に懇願したのだが、

「ダメよ!こないだドッサリ送ってきたんだから!」

大きめのタッパーにビッシリと菜っ葉が!

「ひいいいいいいいい!」

思わず裸足で栃木の実家まで猛ダッシュしたくなった。僕の偏食の原点、栃木の母の手料理を求めて…。

子供と一緒に野菜キライとか言ってる親なんてダメダメもいいところなのは分かってるんだけど…。正直この菜っ葉があるだけで食欲自体がなくなっちゃうんだよなあ…。しかしいい大人なんだから吐いても食べるべきなんだろうね。嫁父が作ってくれたものだし。どっさりあるし。

気合いを入れて食べるだけに、勇気野菜なんだろうな。なんつって。

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■帰って来た子供達のつうこんのいちげき!
2011年04月02日(土)
嫁実家から娘・R(7才)と息子・タク(5才)が帰って来た。

僕が夜会社から帰って来た時には既に寝てしまっていたが、なんとも懐かしい寝顔のふたり。嫁実家ではホームシックになって泣いたりナーバスになったり、ということは全然なかったらしいが、嫁によると

「全然片付けをしなかったタクが爺ちゃん(嫁父)に思いっきり怒られたんだって」

それでタクはギャンギャン泣いたらしい。嫁父は詩吟をやっているだけあって声がデカイしよく通るからさぞびびったろうなあ。僕なんか叱ったとしても

「やーめーろーよー」

いじめられっ子が必死の抵抗をしているような情けない叱り方なので、マジで怒鳴られるのに慣れていないのである。

昨日までは寂しくて仕方がなかった寝床だが、それも今は元通り。僕の布団の中にはRが寝ていて、RとRのぬくもりが籠った布団。

いつも通りの幸せを噛み締めつつ落ちて行った眠りの世界は、まだ暗い内に無情にもタクによって叩き起された。

嫁はすぐ目を覚ましたようなのだが、タクはおしっこを漏らしたため目を覚ました。そして、トイレや着替えを済ませた後、

「あっ。パパがいる!パパー!ひさしぶり!パパといっしょにねる!」

僕の頭を思いっきり引っぱたいて僕の布団に強引に入って来た。痛いわ眠りを妨げられるわ、Rも起こされて

「たっくんやめてー」

と泣き叫ぶわ、さすがの僕も嫁父じゃないけどマジギレしそうになった。

改めて起きた朝、今度はRが

「あああ、パパだあああ」

僕の胸元に顔を埋め、ふんふんふんふん匂いを嗅ぎまくって

「パパのにおいだああああ」

と興奮していた。僕のスメルが好きだということは、将来

「オヤジ!くっせんだよ!」

とか言われずに済むのだろうか。それとも将来僕がもっと加齢なるスメルを発するようになり、結局はクサオヤジ扱いされるんだろうか。

初めて親がいない環境で過ごした数日間は、何らかの新しい経験を生んだであろう。たまには親元を離れてみるのも精神的な成長促進になっていいのかもしれない。

すなわち、子は貸すがいい!

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■スウィート・チルドレン・オブ・マイン
2011年04月01日(金)
娘・R(7才)と息子・タク(5才)はまだ嫁実家から帰って来ない。

Rとタクふたりで初めてのお泊まり。実質3泊4日なのだがもう3年も経っているような…帰って来たら身長20センチぐらい伸びてるんじゃないかしら、ってぐらいの感覚になっている。。

今日も仕事から帰って来たらちょうど嫁がRと電話しているところだったので変わってもらい、

「パパー、きょうはおばあちゃんとクッキー作ったよ」

「へえ。よかったね」

「パパとママにあげるね」

「うん。待ってるよ。で、たっくんは?」

「もう布団のお部屋で寝てるー」

そんな話をした。残念ながらタクとは話せなかったが、嫁が昼間にも電話をしたところ、

「きのうはガスト行った。今日は夢庵行った。シールもらった。3枚集まるとアンパンマンのお皿がもらえるんだ」

と淡々と話すだけ話して

「じゃあ切るね」

とっとと切ってしまったという。電話口のタクって、会話というより一方的な報告であることが多い。

「それにしてもガストなんて…うちの近くにもあるのになんでわざわざ」

「だって私の実家から一番近い外食店だもの」

嫁は笑って言う。そう。嫁の実家は東京といっても田舎なので、都区内ではあまり見かけないようなマイナーなファミレスもチラホラ見受けられる。

だからどうせファミレスに行くなら何処にでもあり、何の面白みもないすかいらーく系より「馬車道」を選びたいところ。ここは店員の女の子が袴姿なんである。文明開化の袴ッ娘はいい!

というわけで、嫁父と嫁母に可愛がられて特にホームシックにもなっていないようだ。喜ぶべきなんだろうけど寂しいような。

ともあれ、早く帰って来てくれないと寂しいし布団が冷たいしぬくもりに飢えた聖帝サウザー状態になってしまう。

ああ、早く子供達の顔が見たいなあ…と首を長くして待つ僕であった。

ついでにどうせ子供達がいないなら…と、嫁が僕の布団に入って来るのを、ちんこも長くして待っている僕であった。

来ないし。

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