職業婦人通信
DiaryINDEX|past|will
2005年03月24日(木) |
ミッドナイト沖田総司 その3 |
【これまでのあらすじ】
親知らずに虫歯が発覚、抜歯を宣告された千代子。 「脳が飛び出るほどの痛み」だと友人に脅かされ、怯みまくったが 緊張して臨んだ施術は意外なほどにあっけなく終了。 噂に聞いていた「麻酔切れ後の痛み」もなく、千代子は安らかに その日を終わったのであった・・・
<お察しの方もいるかと思いますが、 本日の日記は若干生々しい表現を含んでおりますので その手のものがダメな方はご遠慮ください>
----
その日の夜、まったく抜歯のダメージは残っていなかったが 歯医者のいいつけを守り、酒も飲まず風呂にも入らず、 千代子は早めに床についた。
こうして安らかな睡眠に入った数時間後。
内容は忘れてしまったが 途方もなく悲しくて苦しくてやるせない夢を見てうなされ、 千代子は咳込んで目を覚ました。
まだ頭の中は夢の内容がいっぱいでぼーっとしている。 しばらくぼんやりしてから起き上がった千代子は 咳込んだあげくに枕にべったりヨダレを流していたことに気付き、 「やあねぇ」と独り言を言いながら 暗がりでティッシュを探し、口と枕を拭き・・・んんんんんん?????
枕がニュルっとベットリ・・・血だらけ!!!!???
(きぃゃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)←千代子心の絶叫
飛び起きて電気を点けてみれば、 枕はべったりと血に汚れ、 さっき咳込んだときに飛び散らせたのであろう血が 点点と掛け布団にもパジャマにも飛んでいた。何コレ?
鉄の味のする口のあたりをもう一回ぬぐってみると もちろんクチビルのあたりも血まみれ。 (クチビルが切れたのかしら・・・) と思い、鏡でクチビルを点検してみたが、クチビルは全然、痛くもなければ 切れてもいない。
そこでやっと思い出されたのが例の抜歯のこと。
鏡で奥歯方面をのぞき込もうとしたのだが、 その時突如、出たね血が。吐いたね血を。
「ゴボゲホッカハッ」とかいう謎の咳込み方をした瞬間、 尋常ない量の血が奥歯方面から噴出。 色々考える間もなく洗面所へ走り、バッサバッサ血を吐いたのであった。
「血が滲む」などという生易しいものではなく、 口いっぱいに血が詰まっているのをガバガバ吐き 以降は断続的に血が噴出した。
止血しようにも手だてもなく、 泣きながら千代子は血を吐きつづけたのである・・・
いやぁ出るわ出るわ、ジャンジャン出るわって感じで まさに出血大サービス。
いったん血を吐いた後に (新撰組の沖田総司もこうやって幕末に血を吐いたんだろうか) などとバカなことを考えているうちにも 口の中の水位は着々と嵩を増しているありさまである。
自分でも血には強いほうだと思っていたが、 こんなに大量の血を見たのはもちろん、吐いたのも初めてだし、 口の中に鉄の味がずっとするからホントに気持ち悪くなってきた。
おまけに、吐いた血の中には謎の血塊(数cm大)が。
この血塊のせいで洗面台の管が詰まってしまい、 どんどん吐く血で洗面台の水位が半分くらいになってしまった。
血の海の中に、レバーみたいなやつが いくつも含まれてニョロニョロしてる有様は 気色悪いことこのうえなかった。おぅぇぇぇぇ・・・。
血の味が口の中で気持ち悪い(口をすすぐとさらに血が出る) ↓ 血の海(レバー風血塊を含む)が視覚的に気持ち悪い ↓ なんか・・・ちょっと貧血かも・・・
という状況を経た後、 スッと手足が冷えて、周りが白っぽく見えてきて頭が重くなり、 その場に座りこんだ。立ちくらみというヤツであろう。
こうなると立ちあがることもできず、 ゴミ箱を引きずってきて、ゴミ箱の中にコンビニ袋を設置し、 ついにはその中に血を吐きつづけるうちに 朝を迎えた。もうゲッソリである。
出社するなら支度をする時間だが 会社には行けない。行けるわけがない。
「今日休みます」という電話すらも かけるのは至難の技であった。 (しゃべると血が口の中でいっぱいになるから)
「歯医者・・・歯医者に行かねば・・・とにかく止血してもらわないと・・・」 という思考は辛うじて働いたが
思えば歯医者は勤務先のそばで、 結局家からは1時間かけて電車で行かなきゃならないのである。
無理。絶対無理。
電車で血を吐いたりでもしたら大変なことになってしまう。 乗客の皆さんに迷惑かけてはいかんし・・・
でも、このまま血をいっぱい出したら死んでしまうかも・・・
----
こうして結局、行ったこともない近所の歯医者(隣のマンションにちょうどあった)に這い込み、 レーザーかなんかで歯茎を焼いて血を止めてもらったのだが 待ってる間もずっとタオルとコンビニ袋に血を垂らしていたので すごく怖がられた。
それにしても不思議なのは 血が噴出したのに、肝心のキズ(抜歯跡)はまったく痛くなかった、ということである。 なんで痛くなかったんだろう。あんなに血が出たのに。
2005年03月22日(火) |
ミッドナイト沖田総司 その2 |
(これまでのお話) 約10年ぶりの歯医者で 親知らずの抜歯(虫歯により)を宣告された千代子。
痛いと評判の抜歯に対する恐怖は いや増すばかりであった・・・
----
親知らず抜歯の経験者に聞いた情報を集計してみると
○麻酔注射が痛い ○麻酔の後は口が痺れてご飯食べられず、酷い場合はよだれが垂れる ○抜歯は死ぬほど痛い ○歯を割って抜歯する瞬間、骨を折る音がする ○麻酔が切れた後はさらに痛い(眠れなかったとの証言多数) ○腫れたり、熱が出たり、血が出ることも
という悪い情報ばかりで、「痛くなかった」などという話は一切なく 唯一の良い情報といえば
○上顎の親知らずを抜歯するほうが下顎の抜歯より痛くない
という、「ホントかよ!?」と言いたくなるものくらい。 (今回私が抜歯するのは上顎)
こうしてついに数日後、 千代子は蹌踉とした足取りで 歯医者へと向かったのである。
歯医者は 「じゃ、麻酔かけるからねー」 と、妙に嬉しげな態度で椅子を倒し、
緊張のあまり硬直しまくっている千代子の口をこじあけて 麻酔注射を・・・ブスっと・・・
・・・・・。 ・・・・・・・・あれ? 別に・・・あんまり痛くないんですけど・・・
麻酔注射は予想よりもはるかに痛くなかった。 インフルエンザの注射程度というか、ちょっとチクっとしただけである。
しばらくすると口の奥が妙な感覚になってきて 歯医者が奥歯をコツコツ叩いても何も感じなくなり、
「じゃあ始めますから口をおーーーっきく開いててねー」 と言われて口をおーーーーーっきく開いた後も
歯医者がガツガツ親知らずを割り、 ぐいぐい引っ張って摘出するに至るまで (見えないから工程は想像するしかないけど) 私は「なんかやってんなぁ」くらいの感じで まったく、ホントに痛みを感じなかった。いやマジで。
痛かったのといえば、歯医者に口をおーーーっきくこじあけられ、 クチビルがちょっと切れて血が滲んだことぐらいである。
所用時間はたったの30分足らずであった。
----
しばらくは口の奥にうっすら血の味がしていたものの 歯医者から会社に戻った頃には そんなこともなくなり、まったくのノーダメージ。
眠れないほどの激しい痛み、歯茎の腫れ・・・などの 恐ろしい情報を鵜呑みにしていた私には ちょっと拍子抜けするくらいのあっけなさで
1時間後にはラーメンを食べ、 会議でも普通に発言し(麻酔の影響はまったくなかった) 社会生活には何の支障もないままに その日を無事終了したのであった。
(でも続く)
2005年03月18日(金) |
ミッドナイト沖田総司 その1 |
ここ1か月というもの、かつてないほどの落ちこみウェーブに飲みこまれ 粛々と会社にこそ行ってはいたものの 全くもってダウン、ダウナー、ダウネストな日々を送っていた。
普段悩んだりしないもんだから たまに落ちこんだり悩んだりすると 普通の人の数倍ダメージを受けるのである。いやーまいったまいった。
とはいえ、何事も長続きしない性格ゆえに 悩むことにも飽きてしまい、 最近はだいぶ復調しつつある。
もうすぐ春だし。アゲてかないとね。
----
10年ぶりに歯医者に行った。
女子大生時代に、歯医者と合コンして 色々歯医者の内幕話を聞いてしまってからというもの 歯医者の世話にだけはなるまいと心に決めていたのだが
ここ数か月、どうも上奥歯が冷たいものにシミるので しぶしぶ会社のそばにある歯医者へ行ったのだ。
すると歯医者はニコニコしながら
「あー初期虫歯がいくつかあるけど シミてるのは間違いなく親知らずだねぇ・・・」
と言い放ち、
「そもそもこの親知らずはヘンな方向に向かって生えちゃってて どう頑張っても歯ブラシが届かないようになってたもんだから 虫歯になったのも無理ないよ。 それにしても、よくここまで我慢したねぇ。すっごく進行してるよコレ。 もう抜くしかないねっ! 来週抜歯、抜歯、抜歯(←なぜか「抜歯」を繰り返す)しましょう、いいよねっ?」
と、ライトな笑顔で宣告したのであった。
・・・抜歯・・・抜歯・・・抜歯・・・(薄れゆく意識)
とこりさんも以前に書かれていたが 「親知らずの抜歯」といえば 激痛のメッカ、激痛の巡礼地だって言うじゃな〜い、残念!!(←古い) との噂である。
同僚にも友達にも彼氏にも 「ありゃ痛いよ・・・もうね、麻酔の注射から激痛の嵐」だの 「麻酔の切れた後の激痛で2日は眠れなかった」だの 「熱が出て大変だった」 などと脅かされまくり、
さらに、そんな時に限って、偶然にも同僚のエツコちゃんが 親知らずを抜いた後に高熱を発し、会社を休んだのである。
翌日、頬を腫らして出社したエツコちゃんは 「ずーっとズキズキしててさ・・・脳が飛び出そうな痛みだよ・・・」 とのコメントを発し、昼ご飯も食べられないまま帰って行った。
「脳が飛び出るほどの痛み」という言葉の意味はよくわからぬが 現在進行形で抜歯の痛みに耐える友人を見ていると (まだ抜いてないのに)もう痛くなってきたような気がしてくる 単純な千代子であった。
----
それじゃなくても精神的にがっちりメゲてる時期だったのに さらなる抜歯への恐怖で 私の酒量は右肩上がりに増えつづけながら 翌週の処刑を怖れる日々が続いた・・・。
(つづく)
|