職業婦人通信
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相方、リョウスケは不思議な男である。
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官僚の家の長男に生まれ、ドイツで育ち、 帰国して御三家と呼ばれる都内屈指の私立中学に入学し、 名門大学を卒業、超大企業に勤務・・・という話だけ聞くと、
上司と喧嘩しては転職を繰り返す父親の家に生まれ、 公立幼稚園〜県立高校にいたるまで 一貫して地元公立学校(しかも高校は地元で札付きのバカ高校)→ 三流私立女子大を卒業、中堅企業でヒマOL生活をエンジョイする千代子からすると 「ハーそりゃすごいねぇ、まいったまいったケッ、あっち行って」って 感じの経歴なのである。
が、この男、 ○ドイツで育ったくせに、帰国した瞬間すべてのドイツ語を忘却 ○中学校に入った瞬間勉強を放棄して高校へのエスカレーター進学が危ぶまれ ○高校で早くも留年の危機 ○一浪後大学に進学も、また勉強を放棄して2年留年(卒業したときには25歳) ○重度の虫歯を患い、通院中 ○コンタクトを何ヶ月も洗わず連続装用し、カビが生えて眼科通いに ○最近、耳の穴から毛が生えた
この脇の甘さというか詰めの甘さというかが、 彼の最大のチャームポイントである(誉めてるつもり)が、 実家で彼は「不肖の息子」として評価されている。
そんな彼の評価がとんだ事件を巻き起こしたのは昨日のこと。 昨日、相方の母にかかってきた一本の電話を再現してみよう。
相方母 「ハイ、○○でございます」 相方 「もしもし、リョウスケだけど・・実は母さんに相談があるんだ」 相方母 「なに?」 相方 「実は・・・K大学(相方の卒業学校)の先輩に頼まれて、 借金の保証人になったんだけど、先輩が返せなくて、 しかも相手がヤクザだったんだよ・・・ それでオレが返さなきゃいけなくなって・・・」 相方母 「なんですって?まったくアンタって子は・・・」 相方 「だから、今すぐお金を振り込んで欲しいんだよ」 相方母 「いくらなの?」 相方 「・・・70万」 相方母 「だからアンタって子は!昔から親にばっかり心配かけて! 高校の時も〜〜の件で先生に呼び出されるし、大学に入ったら ぜんぜん学校行かないし・・・(以下説教)」 相方 「なに言ってんだよオフクロ!そんなこと言ってる場合じゃないんだよ! すぐに金を振り込んでもらわないとヤクザが・・・」
と、ここまでお読みいただいた方ならおわかりであろう。 そう、今流行の「オレオレ詐欺」に相方母はこの時点で引っかかっているということを。
もちろんこの電話をかけてきた相方は偽者。 大学の名簿が流出しているらしく、偽者は相方の名前と出身大学名を さりげなく会話に織り交ぜるなどして信憑性を高めていたというのだ。
相方のお母さんはこの時点まですっかりダマされ、不肖の息子に激しく説教を食わせたわけだが 前述の会話の最後、偽者の「何言ってんだよオフクロ!」の一言に不審を覚えることに。
○そもそも相方はヘタレ体質ゆえ、自分が悪くて叱られた場合に逆ギレできる男ではない (ホンモノの相方は「スマン」を連発して説教をやりすごすタイプ) ○母親のことを「オフクロ」なんて言ったことはない
というわけで、さすがに相方のお母さんも「これはもしかして」と気づき、
相方母 「・・・誕生日、言ってみなさい」 偽相方 「なんだよ、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」 相方母 「リョウスケじゃないでしょ」 偽相方 「息子を疑うのか?」 相方母 「じゃ、一回切って。こっちからかけなおすわ」 偽相方 「頼むよ、今すぐ振り込んでくれないとオレ・・・」 相方母 「やっぱり息子じゃないわ、じゃあね」(ガチャン)
危うくオレオレ詐欺の毒牙から逃れることを得たのであった。
しかしその後、一応息子に確認の電話が入り、相方はお母さんに 「お前ならやりかねないと思い、つい信用しそうになった」と言われ、 しかも、たまたま家にいてその電話を近くで聞いていた相方の妹からも 「お兄ちゃんならありえるって思ったよ」と言われたのだという。 相方一家は、相方の「不肖の息子」の評価ゆえに、 あと一歩でオレオレ詐欺に引っかかるところだったのだ。
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相方は 「オレってまったく信用ないんだよなー、ひどい話だよ」と、憮然とした表情で語っていたが、 千代子が 「じゃ、もし実家が70万円サギられてたら、リョウスケはどうした?」と聞くと 「うーん、『オレのせいでごめんな』って謝って、実家に70万円払っただろうなぁ」と言っていた。
本人にも結局、「不肖の息子」としての自覚があるようなのだ。ダメじゃん…。
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<追記> このように「オレオレ詐欺」の手口は巧妙化している模様なので 皆様もご両親に注意をうながしましょう・・・。 全国で頻発していて23億円もの被害が出ているらしいですしね。
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