妄言読書日記
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※ネタバレしています
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2012年03月21日(水) 『聚楽 太閤の錬金窟』(小)

【宇月原晴明 新潮文庫】

『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』の続編。
信長の死後、今度は豊臣秀頼を中心に、秀吉やら家康やらが右往左往といった感じ。
前作よりもとんでも感が増して、忍とバテレンのバトルって!とちょっと笑えました。
山田風太郎かと。

信長は死んでるのですが、信長の影響下にある秀吉、家康が二人とも同士として割と仲がよいというのが新鮮。
竹千代と信長、秀吉が瓜食べる回想シーンはよかったな。

やや前作より長くなって、まとまりに欠くような印象でしたが、面白いです。やっぱり。


2012年03月20日(火) 『ゴーストハント7 扉を開けて』(小)

【小野不由美 メディアワークス】

ついに最終巻ということで、シリーズ通しての謎が色々判明しますので、必然的に感想もネタバレ大量に含みますよ。

前作で満身創痍な面々でしたが、今回もやや尾を引いて。
ナルの正体が今回メインなんで、その他メンバーは割りと早々に退場させられた感じがします。
最終回なのに活躍の場がなくてちょっと残念な気も。

最初の頃から、夢の中のナルは第二人格が兄弟のどっちかなんだろなーと思いつつ読んでいたので、やっぱりかと。
で、第二人格はちょっと無さそうだぞ、と思っていたので、あとは兄弟と思しき夢の中のナルの生死と、麻衣の恋の相手は結局誰であることになるのか、という部分が気になっていたわけですが、なるほどなーと。
麻衣の片思いの相手がナルではなく、ジーンだというのはきっぱりしていていいと思います。
ここまで来て、ナルが好き!と言われても、こらこらと。

ナルの正体についてはあまり考えてなかったので、あぁ、そうかーと。
ぼーさんがただただ気まずい。

怒涛の伏線回収ですごいなぁという最終巻でした。
あと、心霊薀蓄毎回楽しい。言われて見れば、海外のホラーの幽霊は被害者じゃなく加害者だな!なるほどー。


2012年03月15日(木) 『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』(映)

【監督:ガイ・リッチー アメリカ】

前作でホモホモしいと怒られたのに全然懲りなかった、というかヒロインもいなくなって、更に加速した。
どういうことなの。
その辺のことはともかく、モリアーティ教授が登場したけど、なんだか印象薄いな。教授。
印象の薄い教授に代わって、兄上がそう来たか!という濃いキャラに。
マイクロフト、裸族だったのか……。

なんかまーいろいろ楽しかったです。
前作以上に英国感なくなりましたけど。


2012年03月05日(月) 『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』(小)

【宇月原晴明 新潮文庫】

タイトルから察せられるように『ヘリオガバルス または戴冠せるアナーキスト』と密接な関係にある小説。
なぜなら、ヘリオガバルスの作者アントナン・アルトーが登場人物の一人として登場するから。
アントナンの元を一人の日本人が訪れ、ヘリオガバルスと信長の共通点を語っていくという、近代の物語と、信長の物語が並行して進む。
作中、信長は両性具有として登場し、さらに、ヘリオガバルスとの比較で、ダブルという言葉が強調されるが、小説の構造もまた信長の時代と、二十世紀が重なりあの独裁者も登場してくる。

信長にまつわる様々なできごとを神秘的に解き明かすことだけなら、他の小説にもよくあるのだけれど、なにしろ美しかった。
信長もそうなのだけれど、信玄も謙信もその死が美しかった。
その中にあって、秀吉の存在が引き立っていて、珍しくいい秀吉だなぁと思った。

楽しかったな。

でも、武田の忍は軒猿じゃない。
なんか意味があって軒猿にしたのかな。


2012年03月01日(木) 『秀吉の枷 下』(小)

【加藤廣 日経新聞社】

あれ、結局枷ってなんだったんだろうなぁ、という。
歴史ミステリーに属するのでネタバレなんぞも含みつつ感想を。

下巻は信長のことはさして引きずらず、山崎以降の秀吉の天下取りから、死去まで。
一番、ミステリっぽい展開したのは終盤の、淀と、秀頼出生にまつわる謎と、秀次および一族が処刑されるに至るくだりと、真相。
結局、秀吉真相に至らないし。
ミステリ読みからすると、おい!という感じだし、歴史小説としてはうがっているというか、一つのことから広げすぎという印象。
まあ、でも淀の生んだ子が秀吉の子ではないというのは、そろそろなんらかの研究でわかりませんかねぇ。
浮気相手にどんな説があるのか、検索したら大野修理説が有力みたいだけど、この小説ではその大野修理が淀の陰謀にたどり着くという。
三成説はちょっと……どうよ、と思いますよ。

しかし、秀次の事件の解釈はおもしろかったな、と。

本多忠勝を謀臣と書いてるのが気になります。
本多正信と間違ってるのかなぁ。

下巻にはさっぱり官兵衛が出てこなかったけど、最終的には意外と一人勝ちと言えなくもないので、よかったかな、と。



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