妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2011年12月30日(金) 『黒田如水』(小)

【原田種眞 勉誠社】

序盤の方はじっくり書いているのだけれど、終盤になるにつれ一つ一つのエピソードがどんどんざっくり表記に。
文章もなんだか終盤は雑。
そして、途中から高山右近の方に比重が寄っていく。
丸々一章、如水いないけど!?みたいな部分もある。
歴史小説って脱線が多いのが常ですが。

本能寺で、秀吉に「御運が開かれましたな」と言った説を採用していないのが珍しいけれど、その後、似たようなエピソードを挿入してこれまたやっぱり秀吉の不審を買っている。
ただ、秀吉と如水が合わせ鏡のようであるという解釈は新しい。
もう一つ他と違ったのは、晩年、家康に毒殺されるというくだり。
若いといえば若い享年ですが、どうかなぁという気もします。

表紙がやたら怖いのでおうちには置いておきたくない気持ち。


2011年12月15日(木) 『風渡る』(小)

【葉室麟 講談社】

先日読んだ『風の王国』はこれの外伝だったらしい。
あれを読んで疑問だった、ジョアンと官兵衛の関係とか、官兵衛が本能寺を画策したという経緯がこちらでわかりました。
よくよく読むと、官兵衛が画策したというか半兵衛に走らされたというか。
松永久秀や荒木村重の謀反、信長狙撃事件も半兵衛が裏で糸を引いていたという。
え、半兵衛最強説?
さほど出番はないのに、なんだかインパクトのある半兵衛です。息子助けるから信長殺してくれって、すごいな!あの友情物語的美談がこんなことに!

官兵衛の十代の頃から書かれていて、厚さのわりに珍しい。
とはいえ、伴天連のジョアンのことの方がより書かれている印象でした。
いや、そんな、ジョアンってよく知らんしその上出生の謎とか提出されても……というのが今回も正直な感想。

若い官兵衛が鮮やかにロザリオ巻き上げて海賊船にさっさと乗り込むシーンが好きです。
悪い子!

小説としてはなんだかあっちこっちに視点が飛びすぎてどの人物も掘り下げ切れてないような気がしました。


2011年12月12日(月) 『うっかり戦国4コマかいこ 1・2』『Stranger』『蛟竜 風雲児黒田如水伝』(漫)

久しぶりに漫画の感想も……。相変わらず読んではいるんですが、書くの面倒で全然書いてないです。

【久川ちず 新書館】

WEB漫画の単行本化なので気になる人はWEBで見てみるとよいかと。
家紋の擬人化って書いてるけど、家紋がキャラデザの元になっている(読者的にはどの変なのかわかるのもあるしわからいのも多々)というだけで、普通に織田家とか豊臣家とかそれぞれにキャラあります。
本当に戦国武将好きで色々調べてるんだなーというのがよくわかって楽しい。
キャラデザに特徴があるけど説得力はある。
私はもちろん黒田家が好きです。うっかり官兵衛。

【琥狗ハヤテ プランタン出版】

全くBLだとは思えない表紙で、普通にウエスタンな内容に見える。
まあ、読むとBLだったけど。
絵が好き。
見た目ほど骨太な内容じゃなくさらっとしてましたが、主人公二人かわいかったからいいかな。

+++++++
【横山光輝 講談社漫画文庫】

三国志は吉川英治の三国志を元にしてたけど、これも吉川先生のを元にしてるような気がしました。
官兵衛が織田につくつかないもめてる時代から、荒木村重が謀反起こす直前辺り(つまり監禁すらされていない)までという短い期間の話し。
ここだけ見るととんだイケメン有能軍師です。いや、有能なんだろうけど、官兵衛は。
ならタイトル、如水ってつけるなよ、と思わなくもない。
あとここの時代だけ切り取って「チャンスに会わず、志もとげられず、恵まれない英雄であった」と言われても全然説得力ないので、あらすじ説明間違ってると思う。
ま、もっと先の時代まで描くつもりだったのかもしれないですけど。
読みやすくていいんだけど、なんだか不完全燃焼な短さでした。


2011年12月08日(木) 『センゴク兄弟』(小)

【東郷隆 講談社】

漫画『センゴク』のスピンオフだそうで。
漫画の方は仙石権兵衛久秀が主人公で、こちらは権兵衛が当主になって信長の麾下に入るまでの物語。
仙石家のことはほぼ知らない上に、信長にしてもまだ美濃を治めていないというマニアックな時代。
読者の大半がよくわかんない時代設定なんだから、もう少し軽めに書いても良かったんではないかなーと感じました。
色々と史料見たんだろうな、というのはわかりましたけど(参考文献載せればいいのに)。
史実の正確性より物語の面白さを読みたいので、合間合間に断りをいなれなくてもいいんだけど、というのは歴史小説にままあることですが。

とは言うものの、漫画の方も読んでみたくなりました。



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