妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2011年08月29日(月) |
『月光のイドラ』(小) |
【野阿梓 中央公論社】
端的に言うと山藍紫姫子みたいな感じ。 ミステリーっぽい少年愛ものかなぁと思いながら読んでると、諜報ものっぽくなり、しまいにはSFめいてきて、ついでにSMも入ってくるという眩暈のする内容。 そんなに色々つっこむから・・・・・・キャラ薄いんじゃないのか。 雅がどれくらい公彦に思い入れているのかわからなかったし、公彦が先生や澄於に対してどういう感情を持っていたのかも結局良く分からなかった。
あれよあれよという間に話しが進み、置き去りにされたまま話しが終わっていた。
【吉村昭 新潮文庫】
先日、三毛別羆事件のことテレビでやってたみたいですが、それは見てないです。 日本で起こった獣害事件で最も被害の大きかったもの、だそうですが、それを題材にした小説。 第一次世界大戦の直後の頃の話し。 まずは、この頃の開拓民の住んでいた家が藁で、扉がむしろだっていう描写に驚き、ついでにWikiにも当時の家の再現写真があってそれを見てさらにびっくり。 こんな家で、北海道の冬毎年越してたのか。 特に事件のあった集落は貧しい村だったのもあるけれど、きっとこういう村の方が多かったんだろうなぁ。 そりゃあ熊も侵入するよ。
羆の襲撃、冬の暮らし、そしてその前にあった蝗の大発生と、とにかく開拓時代の暮らしが過酷で、北海道民としては先人に感謝の念を抱きます。
羆が身近な生き物なだけに、村人たちがパニックになるのも理解できる。 今だって起こりえないとは言えない。 うまく共生したいもんです。
【乾緑郎 朝日新聞社】
『完全なる首長竜の日』はSFテイストのミステリで、急に時代物か、と思ったけど、読んだらSFテイストの忍者ものだったので、読んだ印象はそんなに変わらなかった。 夢と現、過去と現在が不確かな感じも同じだった。 同じだから悪いってことじゃなく、確かに同じ作者の作品だなぁと思ったという意味です。
伊賀忍者の文吾(後半になってようやく、ああ、石川五右衛門かと気づくトロさ)が主役だけど、話しの核と呼べる部分がいまいちわからず、どこに進んでいるのかいつまでたってもわからないのが難点。 新解釈本能寺がまた出てきた。 これはこれで面白いなと。
この人の温度低い文章はけっこう好きだけどな。 もうちょっと面白そうな表紙にしてあげればよかったのに。 『のぼうの城』作戦で。
2011年08月01日(月) |
『ゴーストハント3 乙女の祈り』(小) |
【小野不由美 メディアワークス】
麻衣は学校大丈夫かと心配になってくる3巻。 毎回、何かと理由をつけて全員集合させるのも大変だなぁとどうでもいいところが気になりつつ、女子高生の会話のノリの古さを適度に読み飛ばし。
なかなかナルのことが明らかにならないなか、ぼーさんの本職はミュージシャンだったと判明。 そこは、べつに、気になってなかった・・・。 引っ張るなぁ。 前回、実は陰陽師?と判明したと思ったら、あっさり違うと覆されるし。
今回はあまり怖いシーンはなかったけど、天井から降りてくる女の部分は想像すると怖い。
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