妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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【須賀しのぶ 角川書店】
女郎物ですが、舞台はハルビン。 しかも売られたわけじゃなくて、自分で海を越えて行っちゃった少女フミの物語。 須賀ヒロインはみんな本当に強くて逞しい。でも同じくらいもろいところもあり、そのもろい部分は隠して生きていく姿が時々辛い。 一緒に売られてきた、タエとの友情や、決して優しくはない姉さん達までもがかっこいい。 かっこいいだけに悲しい。 須賀ヒロインは絶対相手に頼らないから、たまには頼りなよ!と言いたくなる。
ヒロインとはまた別に、黒谷や山村もかっこいいです。
2011年06月24日(金) |
『ゴーストハント1 旧校舎怪談』(小) |
【小野不由美 メディアファクトリー】
長らく絶版だったものがリライトして復活。 1989年初出。うーむ古い。 そんなわけで、麻衣のノリも昭和テイスト。 携帯電話もポケベルもない時代ですからねー。 幽霊退治ものだからなくてもいいといえばいいのかもだけど、ナルがハイテク駆使するタイプなので全くないと時代を感じます。 でも、話し自体は古びてない。 小野先生らしいちょっぴり意地の悪いストーリー。 次の巻以降は本物が出てくるのかどうか。
2011年06月20日(月) |
『NO.6 9』(小) |
【あさのあつこ 講談社YA!ENTERTAINMENT】
まさかもう完結とは思わず。 なんとなく拍子抜けした。 ちょっと駆け足すぎないかな、と思いましたが、こんなものかな。
あさの作品の大人の頼りなさや存在感の薄さはいつも通りだけれど、まさか、火藍との再会シーンまで削られるとは。 あさの先生すげぇな。徹底してるよ。 紫苑が、帰りたい場所として思い浮かべるのももはや母親のいるところではなくネズミと過ごした場所だというのも徹底しているし。 そんな中、力河は大人キャラとしてがんばった方だよな。 BLにカテゴライズされかれない内容だったけど、私としてはだから何?という感じ。 別にいいじゃない。 『BANANAFISF』みたいなもんだよ。
もう少し、紫苑がNO.6のあとに作りたい世界がどんななのか具体的に見えるとよかったなぁと思いました。
2011年06月15日(水) |
『完全なる首長竜の日』(小) |
【乾緑郎 宝島社】
インセプション。
で、終わったら駄目なんだろうけど、選評でみんなインセプションのことをあげるくらいに、インセプションのことが脳裏をよぎります。 本作の方が映画より先なので、作者には気の毒ですけど。 虚構の中で繰り返される自殺と、夢の中で死ぬと覚醒するというあたりが重なってるだけなんですけれどね。
虚構と現実を行き来する物語は、虚構と現実の堺がわからなくなり、結局どっちだったのか、というのがわからなくなる、という定番のシナリオとオチしか待っていないので、いかにそこで引っ張るかという点が個性の出しどころなのだけれど、あまりセンセーショナルな出来事も起こさず、地味に地味に書いているあたりが意外にリアリティがあって展開がわかっていても最後まで読めました。 読めたけど、まあ、そうですよね、という話でオチなのであんまり満足感はないな。 おもしろくないわけじゃなくて、あまりにこの手の話し多いから飽きた、というのが近い。
2011年06月10日(金) |
『動物園で逢いましょう』(小) |
【五條瑛 双葉社】
鉱物シリーズでお馴染みの面子が登場する連作短編集。 五條の連作は好きなのですが、鉱物は長編で読みたいなぁ。読みたいなぁ。一体いつになったら…。 裏表紙のパンダカップは葉山が購入した物でしょうか。 なんで時々そういう可愛いことするんだろうか。
久しぶりの葉山がこんなに美人に描写されてましたっけ?という按配でびっくり。 白雪姫だったり兎だったりビーバーだったり色々言われておりましたが。 あと葉山さん、いつの間にかすっかりこの世界に馴染んで白黒使い分けるようになったのねぇとほろり。 エディは変わらず隙がなく、パーフェクト。
20ドル、30ドルはそれぞれ雑誌に載ったもので、今回の連作には直接関係ない内容ですが、坂下&葉山コンビが活躍。 30ドルの方、ラスト坂下も迷ったりする時が来るのかなぁと思うとときめくな。
街角の向日葵も、洪の話しなので直接流れには関係ないけど、好きな話しです。 一番引っかかっちゃいけない人に引っかかった彼の行く末が気になりますね。
2011年06月09日(木) |
『ブラック・スワン』 |
【監督:ダーレン・アロノフスキー アメリカ】
もっと周囲が嫌な人間で固められているのかと思ったのだけれど、本当にニナの心の葛藤の物語だった。 もちろん、周囲の人間はいい奴ではないのだけれど、監督はルロワは女癖が悪いとは言われつつも、舞台優先でありニナに下心があるわけでもなく、母親は過保護で娘の成功を祝いつつも妬むアンビバレンツな人物でありながら、それはニナを心配するからであるし、ライバルのリリーは土屋アンナだし。 憧れの主演を射止めながら、黒鳥の演技が出来ないプレッシャーにどんどん追い詰められるニナの戦うべき相手は常に自分自身で、中盤までけっこう覚悟が決まらないニナにじりじりする。 本番当日まで、悩みもがいて現実と幻覚の区別がつかないままに舞台に立ち、ようやく黒鳥をものにする。 見る前から、黒鳥をものにするのは予想できたのだけれど、そうしたあと歯口調は踊れなくなるのではないか、その辺はどうするのだろうなぁと思っていた。 ニナが刺した相手が誰かわかったとき、泣きながら、白鳥のメイクをし直すシーンのナタリーの覚って覚悟を決めて最後の舞台に挑む表情が美しくて泣けた。 葛藤して嫉妬しても、結局それを他者に向けられず自分を壊す方向でしか乗り越えられなかったニナは純粋で美しかったと思う。 また、ニナとナタリー・ポートマンの生き方を観ている人は自然と重ねてしまい、より一層ニナと言う役に説得力が生まれていた。
【五條瑛 双葉社】
革命8thまできました。 あと2冊ですねー。
前回から間空いてしまって、何の話しだったか思い出すのに苦労しつつ、各巻それなりに独立した話しなのであまり気にせず。 今回のメインは、国輝会、明奈、いつものすみれ&キラ組み。 亮司はすっかりサブに回っちゃいましたねー。サーシャにいたっては出ていませんが、存在はアピールしてます。 文庫化のときにまた、書き下ろしで出てくるといいですが。
新顔の、エリスと間代のラストがわぁおというもので、なんともなんとも。 鳩とエリスの関係にも、鳩、騙されてるって、鳩!とやきもきです。あと二巻なので、鳩がんばれ。
間代たちによって争いの火種が撒かれ、一触即発の日本ですが、サーシャはどこで何をしているのか。 この物語の終着はどこなのか、そろそろ見えてきそうです。
どっかで鉱物とリンクしませんかね?
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