妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2010年12月30日(木) |
『相棒 劇場版II』(映) |
【監督:和泉聖治 日本】
前作の劇場版と同じような気持ちで観に行くと色々と衝撃が大きい今作。 相棒スタッフは攻めの姿勢を忘れない、ということでしょうか。 いいことだとは思うけど、そんな重要エピソードを劇場でやっちゃったらドラマ派の人は困るだろうなぁ…というわけなので、ドラマを観てる人は早めに観ておくに限るとお伝えしておく。 ドラマ9−9話が伏線になってたな。それならいっそ、年始特番で…。
最近の相棒は上層部とか内部との対立が多いのだけれど、映画も上層部との確執の物語。 大事件というと、そういう内部にいる悪を題材にする方がリアリティがある昨今なので、しょうがないのでしょうが内部同士の対立って後味すっきりしないよねぇ。
ストーリーに関して言うべきこともあるような気がするのだけれど、色々と飛んでしまって上手くいえない。善し悪しも含め。わからん!
パンフが今回も凝ってて素晴らしい。一瞬、私、間違ってAERA買ったのかと思った。
以下ネタバレ。早々に。
ラストの衝撃が強くてストーリーが全体的に飛んだ。 影の管理官を突き止めるために立て篭もらなくてもいいんじゃないのかと、最終的には思えた。 あと、モールス信号はいくらなんでも犯人気づかないのか。私は初っ端から気づいたけど。あんな不自然な貧乏ゆすりって。 あとね、自首しなくても盗聴に証拠能力がないのははっきりしてるように思ったのだけれど。
でも正直、冒頭の神戸君と大河内さんのシャワーシーンで前半の意識が朦朧としてる私がとやかく言える義理もないです。 何あのサービスショット。ちょっと周囲のお姉さん方がざわっとしたよ。もちろん私もざわっとしたよ。 パンフでミッチーが「なんでカットされなかったんだろう」と言ってて笑った。いや、そこを残すのが相棒!
神戸君と大河内さんの関係、右京さんと小野田の関係が、二本の軸になっていただけに、いろいろとしんどかった。腐的に。なんかもう、ごめんなさい、と一時間くらい経過したあたりで思った。 こにたんの素敵な演技も霞まんばかりであった。
そしてようやく終わるなぁとほっとしたところに、小野田の死という衝撃。 全く予想だにしていなかったので、一瞬、またまたぁと思ってしまったよ。 まさか、回転寿司の食べかたをようやく覚えたというのが死亡フラグになるなんて誰がわかろうか…。 私は相棒の初期から見ているわけではないので、二人の確執もざっとしか知らないわけだけれど、ここで小野田が退場になって、今後特命係はどうなっちゃうのか。 益々目が離せないけど、官房長官がいないのは寂しいな。衝撃が去って、今じわじわと寂しい。 ラストの決断は右京さんらしいと思う。
2010年12月26日(日) |
『アリアドネの弾丸』(小) |
【海堂尊 宝島社】
田口&白鳥シリーズ。 前作の『イノセント・ゲリラの祝祭』が会議ばっかりだったせいか、ミステリーじゃないと言われ続けたせいか、東城大で殺人事件が。 今回は、医療問題薄めです。 ミステリー書くぞという意気込みはひしひしと伝わってきたのですが、トリックありきで書いているなぁと。 友野くんの方はともかくとして、北山のほうはなんでそんな危険な場所でそんな手間かけて殺さないといけないの、という部分がすっぽり抜けてる。 別に病院長室でもよいわけで。 MRIを使ったトリックがやりたかっただけ、と言われても仕方ないですね。
田口先生の活躍が少なくて残念だなー。 白鳥が出てくるととたんに田口先生がかすむんだよな。 でも白鳥出てこないとつまらないし。 二人ともが活躍できるように上手くやってほしいです。
2010年12月25日(土) |
『真昼の恋』『KOBAN』(漫) |
【草間さかえ 心交社ショコラコミックス】
町工場若社長(年下わんこ)×営業(年上好きファザコン)。 大事件が起こるわけでもなく、ゆるやかーに進行するふたりの関係がよいですね。 ほのぼの。可愛いです。
++++++++ 【石川ちか フュージョンプロダクト】
中村光の帯に引かれて。 身長192cmの新米お馬鹿巡査の千波と、優秀で若くして巡査長になったけれど、身長は防犯ボール22.6個分の武田の交番シュールギャグ。 帯にシュールって書いてあるけどそこまではシュールじゃない。 うふふっくらいの笑いかな。 それこそ中村光っぽい。荒川の方だけど。
身長差大好きなので、ちっさい武田先輩がかわいい。
2010年12月21日(火) |
『プリーズ、ジーヴス 2』(漫) |
【漫画:勝田文 原作:P・G・ウッドハウス 白泉社】
1巻の時は、原作の忠実な漫画化だなぁという印象で、正直可も無く不可も無くだったのですが、2巻になって勝田先生がバーティ、ジーヴスをものにしたな、という感じがひしひしと。 テンポもよくなり、漫画になった甲斐もあるというもの。 1巻の感想が、goodならば、2巻はgreat!とでも言いたい。 先生おみごとです。
今回は、ジーヴスが初めてウースター家にやってきた話と、ジーヴス視点の話しが入ってます。 どっちも原作で好きな話し。 特にジーヴス視点の時のバーティは超絶可愛いな!どうなの、子犬のように震える若主人!! 愛らしいなぁ。 ジーヴスはドSだしなぁ。英国って凄いなぁ。 執事ってもれなくS属性なんだな。 伝統?そうなの?
ジーヴスが若主人との二人の生活を守るためならなんでもする、というのがよくよくわかる巻であります。 がんばれバーティ、いろいろと。
巻末、短編小説も収録されてます。小説、漫画と二度楽しめるジーヴスシリーズは素敵ですね。
【西澤保彦 幻冬舎】
私が読んだのはハードカバー版なのですが、表紙が全てという気がします。
嵐の晩に村民14名が殺されるという第一章が一番おもしろかったなぁ。 そこが終わって、繭子パートになるともうなんだか面倒くさい。 早く思い出せよ、と。読者がとうに周知していることをなかなか思い出さないから大変イライラとする。
第一章にしても、省路視点なのだけれど、死体がばんばん発見される中でエロのことばっかり考えているというあたりに、もっとよく状況を観察しろ!と言いたくなる。 冒頭に限らず登場人物がみんなエロのことしか考えていないのはこの小説に一貫してますけど。
書き方として気になったのが、語り手が誰かを目撃するあるいは出会って、すぐに誰か思い出せない→数ページ後に思い出すというパターンが多い。 登場人物同士のニアミスもやたら多い。運命の皮肉さみたいなのを書きたいのかもしれないが、世間が狭すぎるだろう、と。
みんなたまにはゲンキのこと思い出せよ。本当に。
以下ネタバレ。
事件の生存者が極端に少なく、アリバイという点からもすぐに犯人が割り出せるのだけれど、割り出せるけれど納得できない。 なんなのその暗殺者みたいな身のこなし。 田舎の一介の中学生女子が?
マイケルの家族サイドの設定もわけわからないし。 いや、なんの組織なんですか!?ジャネットってなんなんすか!! そんな突飛な設定持ってこなくても充分成立する気がします。
ミステリとして書かないで、百舌シリーズみたいな感じで書けばよかったのに。いっそ。いや、百舌もミステリか。
2010年12月13日(月) |
『謎解きはディナーのあとで』(小) |
【東川篤哉 小学館】
ディナー前に解いてもらいたいもんですが。 お嬢様刑事が事件を家に持ち帰って、毒舌執事が解決という設定。 執事が若いのが気に入らないです。 西之園萌絵と諏訪野が謎解きした方がまだよい。 あるいはバーティとジーヴスか。
金持ち刑事も、執事が謎解きも、まぁそれほど目新しくはないのだけれど、コミカルさが特徴と言えるのか。 麗子がお嬢様のわりにあんまり品がないのとか、執事ももうちょっと忠義心あるほうがいいとか、私としては不満の多い設定。 麗子の相棒たる上司も、お金持ちのぼんぼんというのは目新しい気もする。 バカ上司のように書かれているけど、意外と質問内容は妥当。むしろ賢そう。
コメディ部分が私の笑いツボじゃないのが痛いな。 あと、p186の「マゾヒスティックな視線が投げかけられる」は明らかにサディスティックの間違いだろう。
さくっと読めるミステリーですが、23時頃にドラマでやってそうな感じですね。悪くないけど好みじゃないの一言に尽きる。
2010年12月04日(土) |
『神様のカルテ 2』(小) |
【夏川草介 小学館】
せっかく二巻なのでタイトル変えたらよかったのでは、とちょっと思ったり。 これからも3、4といくのでしょうか。
前回は、森見登美彦と海堂尊を足して二で割ったような印象だったのですが(いい意味で)、2になって作家らしさが出てきてより良くなりました。
一の働く病院にかつての学友が赴任してくるという話し。 職務を全うするためにどこまで私を犠牲にするべきか、できるのか。 医師って本当に過酷な仕事です。 そら恐ろしいほどに過酷。 もちろん、年中無休、24時間働く人は医者以外にもいる。それらも含め、どこまでやるべきなのか、は働く人の共通の悩みですね。
一とタツはそこで、「良心に恥じぬということだけが、我々の確かな報酬である」と何度も引用する。 まさにその通りだと思う。 思うが、あまりに制度側がその良心に胡坐かいてる気がしてしまうな。 一とかタツや、次郎たちの行く末が古狐先生のようであるのはあまりに悲しい。
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